新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増えている。しかし、普段とは違う働き方で生産性が下がると感じる人も多いようだ。

パーソルが昨年11月に実施した調査によると、職場に出社したときの仕事の生産性を100%すると、テレワーク時は全体平均で84.1%。100%未満と答えた人が計64.7%となり、出勤時より生産性の低下を実感する人が多いようだ。

ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「テレワークの生産性は、環境面のほか個人の資質が影響していると考えられます」と話す。

「あの件、どうなった?」が気軽にできない

テレワークを導入したもののシステムの都合上自宅で行える業務が限られている場合もある。自宅のネット環境が悪い、ローテーブルやリビングのテーブルしかなくて作業がしづらいなど、環境が整っていないために仕事の進行が遅くなったと感じる人もいる。

「出社時は雑談の中で『あの件、どうなった?』と聞き、反応がすぐもらえます。しかし在宅だとメールやチャットツールなどで文章を考えて打ち込む必要があり、反応もすぐ返ってくるとは限りません。この手間や指示・反応待ちに時間を取られていると感じる人も多いでしょう」

子育て世代だと「子どもが帰ってきたら何をしなきゃ」「子どもが塾だからこれを持たせなきゃ」といったタスクも増える。出社時よりスムーズに仕事ができていないため生産性が下がっていると感じる人も多いようだ。

中には、誰も見ていないため、スマホを触ったり仮眠を取ったりする人もいる。しかしこれはテレワークだから、というわけでもないようだ。「そういう人は出社時も指示待ち時間などで同じようなことをしていたとも考えられます。一概にテレワークだから生産性が下がったわけでもない可能性もあります」とのこと。

自身と家族が"テレワーク"に慣れることが重要

その上で、一見だらけ気味に見える状態でも業務の滞りがなく、成果が出せているのであれば「"生産性"は気にしなくてもいいのではないでしょうか」と提案する。

「テレワークで働き方は大きく変わりました。自宅で仕事をしながら隙間時間で家事やプライベートなことを行うのは気分転換になり、新しい発想を生む場合もあります。これもひとつの"新しい働き方"ではないでしょうか」

パーソルの調査によると、コロナ対策がきっかけで初めてテレワークを行った人の生産性は平均82.2%だったのに対し、以前からテレワークを行っていた人は89.4%だった。井上氏は「テレワークの継続でその状態に慣れ、結果的に生産性が上がるとも考えられます」と話す。

「テレワークが続くことでシステム環境やネット回線など業務環境が整い、スムーズに仕事ができるようになっていくでしょう。この働き方に慣れ、家族がいるなら例え子どもでも『この時間は親に話しかけない方がいい』などテレワークへの理解を得られたりして仕事時間が増えることもありますね」

テレワークで生産性を上げるには、適切なテレワーク環境を整える、自己管理をして仕事とプライベートをしっかり区切る、家族の理解を得るといったことが必要になると話す。

また、今回の調査では全体の3分の1(35.2%)が、出社時より生産性が上がったと回答している。「このタイプは自分でメリハリをつけて働ける人。自宅・サテライトオフィスのほうが捗る人はフリーランス向きともいえますね」と分析する。テレワークの自分の働き方次第では、今後の働き方を考えてもいいのかもしれない。