違法な勧誘を受けた被害者から預入金返還訴訟を起こされるなど動向が注目されていた

 (株)西山ファーム(TDB企業コード:718014417、資本金3100万円、登記面=岡山県赤磐市西軽部1116-2、代表山崎裕輔氏)は、10月10日に岡山地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人には、妻鹿安希子弁護士(岡山県岡山市北区南方1-7-21 SUMIKAビル2階、みどり法律事務所、専用電話086-803-2188、専用URL:https://hasan-nishiyamaf.kagoyacloud.com/)が選任されている。

 当社は、2004年(平成16年)4月創業、2015年(平成27年)1月に法人改組された果実の卸売業で当初は就労継続支援A型事業所を運営していたが、その後、同業務は(株)西山ファーム福祉サービスに移管していた。本店および大阪・名古屋・東京の各オフィスを拠点として、桃やいちご、ブルーベリー、ぶどうなどの果実を主体に、ドリンクやジャムなどの加工品の卸売りを手がけていた。また、1万6000平方メートルほどの敷地で、季節の果実の収穫体験ができる観光農園「西山ファーム」や、各種スイーツなどを味わえるカフェを運営し、観光客や家族連れを中心に人気を集めていた。さらに、飲食事業への参入や販売代理店の開拓を進めるとともに、グループ会社との連携を通じて積極的に事業を拡大し、2016年12月期に約16億3100万円だった年売上高は、2018年12月期には約104億7700万円にまで急成長していた。

 しかし、売り上げを急激に拡大させる一方で、新規出店に伴う先行投資が重荷となり、収益性は低調に推移していた。こうしたなか、当社が主体的に関与したかのような形でのマルチ商法まがいの勧誘があったとして、風評が悪化していた。その後、今年5月28日には出資法違反などの疑いで本社や関係先が愛知県警より家宅捜索を受ける事態となった。取引先が警戒感を強め、資金繰りが不安定となり仕入先への支払い遅延が発生し、連絡が取りづらい状況のなか、違法な勧誘を受けた被害者から預入金返還訴訟を起こされるなど動向が注目されていた。

 当社が公表した2018年12月期決算時点の負債は約9億3800万円だが、変動している可能性がある。

 なお、観光農園については6月下旬に別会社が運営を引き継いでいる。

※代表の「崎」は、正しくは立つ「崎」です。