by Lucas França

学術出版社大手のエルゼビアは世界中の論文を収集した学術雑誌を出版していますが、購読料が高すぎるという批判を大学や研究機関などから受けています。エルゼビアは有料の学術出版サービスに対抗する形で生み出された海賊版論文サイト・Sci-Hubを非難し、対決姿勢を打ち出していますが、「エルゼビアが出版する論文にすらSci-Hubへのリンクが含まれている」との指摘がされています。

Elsevier threatens others for linking to Sci-Hub but does so itself | Martin Paul Eve | Professor of Literature, Technology and Publishing

https://eve.gd/2019/08/03/elsevier-threatens-others-for-linking-to-sci-hub-but-does-it-itself/

2019年7月、論文などに記載する引用や参考文献リストなどを作成するサービス「Citationsy」が、エルゼビアの弁護士から「海賊版露文サイトであるSci-Hubへのリンクには法的な手段で対処する」と通知されたことが判明。エルゼビアはSci-Hubに対して断固とした姿勢を取っています。





ロンドン大学のマーティン・ポール・イブ教授は、「Sci-Hubは著作権を侵害しているウェブサイトであり、ペイウォールの背後にある学術出版物への不正アクセスを可能にします。これは倫理的に問題がありますが、Sci-Hubの利用を止めることが非常に難しいことも証明されています」と述べています。既にSci-Hubは多くの研究者が使用するツールであるとイブ氏は指摘。

また、イブ氏はエルゼビアとSci-Hubとの問題に関連する「面白い事実」を発見したと主張し、「エルゼビアによって出版されている、またはエルゼビアが運営するサイトに掲載されている論文ですらSci-Hubを参考文献に挙げている」という事例を紹介しています。

イブ氏が例として挙げたのは、エルゼビアが運営する論文検索データベース「ScienceDirect」に掲載された以下の論文。

Phase Transformations and Magnetocaloric Effect in Ni-Mn-(Co)-In Heusler Alloys - ScienceDirect



参考文献をチェックすると、堂々とSci-Hubへのリンクが貼られています。



同様の事例は他の論文でも確認可能。イブ氏によると、エルゼビアが出版した論文がSci-Hubへのリンクを貼っているケースは紹介しきれないほどあったとのこと。



以上のケースから、イブ氏はそもそもエルゼビア自体が論文を出版する際に参考文献をしっかりチェックしておらず、結果的にエルゼビアが出版する参考文献からSci-Hubへの導線ができていると指摘。エルゼビアは他のウェブサービスを批判する前に、自社のチェック体制を整えるべきだとイブ氏は主張しています。