金正恩氏と文在寅氏(平壌写真共同取材団)

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北朝鮮で韓国製品はご禁制の品だ。販売も所有も認められていないが、富裕層を中心に人気が高く、各地で密売されている。しかし、取り締まり基準は明確ではないようだ。

北東部の清津(チョンジン)にある全国有数の卸売市場、水南(スナム)市場で中国から韓国製のパソコンとテレビを取り寄せ、中期商人(電化製品販売商)に卸したり、客に直接売ったりしていた業者が清津市保衛部(秘密警察)に連行され、取り調べを受けているとデイリーNKの内部情報筋が伝えた。

取り調べはまもなく終わり、処罰が決定される見込みだ。暴言、暴行、拷問に苦しめられた挙げ句、「地獄の沙汰も金次第」ということで、かなりの額のワイロを要求されるだろう。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

この問屋は水南市場で電化製品を扱ってきたが、昨年末からサムスン製のノートパソコンとテレビを扱うようになった。

この問屋は韓国製品を中国からの仕入れることに成功し、長年の商売で築いた販売網を使って短期間に売りさばくために「最高の商品が入ってきた」と集中的に宣伝していた。逮捕を避けるためにロゴは外すが、この業者は外す代わりに韓国製であることを客にアピールするために隠す方式を取った。ところが、それが災いを招いた。

今年6月、韓流コンテンツを取り締まる当局のタスクフォース「109常務」が取り締まりの過程で、ロゴが隠された画質の良い製品を複数発見した。捜査は保衛部に移管され、販売ルートの追跡によってこの業者にたどり着いた。販売範囲は他の地域にまで広がっていた。

保衛部は、あらゆる種類のパソコン購入者を洗い出し、サムスン製の製品を買った人々を連行した。いずれも「知らずに買った」と供述しているが、商品はすべて没収となった。

同時に保衛部は工場、企業所、女盟(朝鮮社会主義女性連盟)などで「韓国製品を買うことは反逆行為」「買い物をするときは韓国製かどうかよく確かめよ」などと宣伝しているが、庶民の側は、むしろ知らずに買って韓国製だったら喜ぶかもしれない。

一方、北朝鮮北西部の平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、現地の市場で韓国産のコメが販売されていると伝えた。

市場の売台(ワゴン)には「湖南(ホナム)平野のコメ」と書かれたコメが売られている。湖南平野とは、韓国南西部の全羅道(チョルラド)に広がる平野のことで朝鮮半島有数の穀倉地帯だ。

コメの入った麻袋には「大韓民国」と書かれ、産地も書かれている。町では「韓国からコメが入ってくる」との噂が立ち、しばらくして市場で売られるようになり、その後も時々入荷しているとのことだ。

値段は中国産より高く北朝鮮産より安い。デイリーNKの調査によれば、先月15日の価格は、北朝鮮産が4800北朝鮮ウォン、韓国産が4400北朝鮮ウォン、中国産が4150北朝鮮ウォンだ。(1000北朝鮮ウォンは約13円)。

通常、北朝鮮産や中国産より韓国産の方が高級品扱いで高く売られるが、食品の中には北朝鮮の消費者の口に合わないものもあり、必ずしも高値で売れるとは限らないようだ。

ただ、この市場で売られているコメが、本当に韓国産なのか確かめるすべはない。つまり、韓国産のイメージを利用した産地偽装の可能性もあるということだ。経済不況により懐が寂しい北朝鮮の消費者は、より安いものを買おうとする傾向が強いとのことだ。

韓国製品はご禁制の品だが、市場管理員は袋に「大韓民国」と書かれているにもかかわらず、一向に取り締まろうとしないという。それどころか、別の部署の取り締まり班が来る前に知らせてくれるという。

「当局は、韓国産の食べ物について、以前は市場に入ってこないように厳しく取り締まっていたが、3年前からはゆるくなって、買った人も堂々と持ち歩いている。中央から来た取り締まり班に見つかりさえしなければ問題ない。やって来ても隠しておけばいい。庶民の暮らしが苦しいのに、下手に取り締まると逆に面倒なことになる」 (情報筋)

つまり、当局は贅沢品に関しては厳しい態度を取る一方で、食品に関しては韓国産であっても大目に見ているようだ。