SNSが飲食店の売り上げを左右する時代。巷には、フォトジェニックな食べ物が溢れている。

それは、お肉の世界も例外ではない。

驚ろくべきビジュアルと未知なる味を兼ね備えた、「映えるお肉」が話題なのだ。

とっておきの5軒を紹介する。




選ばれし大人だけが知る、秘められたスペシャリテ
『蕃 YORONIKU』の「シャトーブリアンのロゼカツサンド」

ヒレ肉の最高級、シャトーブリアンをカツサンドにするという大胆さ。まず、誰もが驚かされるのはそこだろう。

それもコースの後半、クライマックスに登場するひと皿が、である。

だが、ひと言でカツサンドと片付けてはいけない。

?焼肉屋の概念を変えた〞とも評される『よろにく』の創業者が、細部にまでとことんこだわった渾身の逸品なのだ。

肉はじっくりと低温で火入れした後、極薄の衣につけて高温で一気に揚げられる。

その間、眼前のロースターでは、名店『CENTRE THE BAKERY』の食パンに、いい塩梅に焦げ目がついていく。




待つこと10分。最高のタイミングでカツが登場。サンドされ、特製ソースが滴り、いざカットへ。

シルキーで艶やかなピンクに染まった断面がついに現れたその瞬間、テーブルは歓声に包まれる。

この「シャトーブリアンロゼカツサンド」¥20,000〜(税別、「OMAKASE」限定 スペシャルコースのひと皿)は、あわせて5cm以上の厚みをもつが、その後味は驚くほど軽やか。

大人を本気で夢中にさせる、罪作りなひと皿だ。





缶に詰まった「夢のコラボレーション」が口福の極み!
『焼肉 うしみつ 恵比寿本店』の「缶詰のユッケ」

レストランで缶詰。その想定外の出来事に驚ろくのも無理はない。だがビジュアルはもとより、その食べ方もまた斬新だ。

通常よりもひと周り大きい手のひらサイズの缶詰は、供されるときにはしっかりとシールドされている。

客は自分の手でプルトップを開けて初めて、中身が何かを知るのだ。

うに、いくらのしょうゆ漬け、ホタテ、キャビア……。ふたを開けても一見、肉の姿はどこにも見えない。

だが、手渡されたスプーンで缶を底からすくうと、現れるのはピンクに輝く山形牛のユッケだ。




フレンチで修業した経験のある料理長が「日常的に身近にあるものの中から、非日常的な高級食材が出てくるのが面白いと思って」と、わざわざ海外から缶を取り寄せて作ったという。

幾重にもサプライズがレイヤーされたこの「缶詰のユッケ」¥7,980(サ別)〜のコースの一品 (期間限定)だが、最大の驚きは他でもない。

これはコースをオーダーした全員へのサービスメニュー。

ただゲストを喜ばせたいという熱い想いだけで作られた、採算度外視の夢の缶詰だ。





一目で大人を虜にする禁断のコンビネーション
『西麻布 けんしろう』の「和牛うにとろドッグ」

成功者にとって、金額の多寡はさほど重要ではない。それ以上に求めるのは、本能を刺激し、感性に響く既視感のない新しいものである。

とくに西麻布という地においては、その傾向は顕著だ。

オープンして約3年。?人に教えたい〞という客の心理を突いたメニューを武器に、『西麻布 けんしろう』は駆け上がってきた。

メニューに存在していない「和牛うにとろドッグ」¥4,000〜(サ別、時価)も、元は客を喜ばせたくて出したアドリブ的な一品だったという。

だがSNSでの投稿が拡散するにつれ、最近では「インスタで見た?あれ〞が食べたい」と指名する客まで登場。

いつのまにか店の隠れた名物となっている。




サシと赤身のコントラストが見事な山形牛に、黄金色の濃淡が美しい利尻産のムラサキウニ(取材時)を大胆にも1列乗せた背徳感たっぷりのコンビネーション。

酢飯とともに、瀬戸内の厳選した海苔で巻いたら、かぶりつく。押し寄せる旨みの洪水と共に、静かなる口福に身を委ねたい。


超美麗なお肉の絨毯も!




とろける口どけの、お肉のレッドカーペットに悶絶
『代官山焼肉 kintan』の「プラチナタンとサーロインユッケのハーフ&ハーフ」

『KINTAN』といえば、サーロインユッケである。

極薄にスライスカットされた黒毛和牛のサーロインに、卵黄を絡めた甘く濃厚なタレが絡み合うこの看板メニューは、肉を焼く前のウォーミングアップとしてハズせない。

言うまでもないが、ふぐ刺し同様に、箸で豪快にすくって食べるのが正解だ。口の中に入れたあとは、一瞬にして舌の上で溶けていく。

そして、ほのかに余韻を残す甘い香りが本能を刺激。

「もっと食べたい!」「ひとり占めしたい」と、欲望が止められなくなる危険に満ちた悪魔的なひと皿なのだ。




そんな人気メニューをさらに強化したのが、希少性の高い国産の牛タンも同時に味わえるハーフ&ハーフだ。

生のタンは見知ったタンとは到底思えないほど、柔らかさとまろやかさに満ちた口溶けで、目を見開くこと必至。

現在はリッチコース¥8,800〜(サ別)のコースでのみ、ハーフ&ハーフを味わえるが、単品でオーダーできる日は、きっとそう遠くないはずだ。





もはや芸術性すら感じる、贅を極めた美しき丼
『焼肉 うしごろ 銀座並木通り店』の「ユッケと生雲丹、ヤンニョムのTKG」

何人も触れるべからず。皿がそう主張する完璧なバランスのひと皿である。

TKGが脚光を浴びてから数年、もはや少々の仕掛けでは驚かなくなってしまった。

だが、完璧なバランスをシンプルに極めた結果、箸を入れることすら躊躇する、美しき「ユッケと生雲丹、ヤンニョムのTKG」¥2,592(サ別)が生まれた。

昨秋のオープン時に限定メニューとして登場したものが、SNSを中心に話題となりレギュラー化。

訪れるゲストの9割がオーダーする不動の1品へと上りつめた。




これを新しきTKGたらしめるのが、韓国の調味料?ヤンニョム〞だ。

細かく刻んだ九条ねぎにごま油や韓国唐辛子を独自の配合で混ぜたタレが、すべての具材の要として機能。

厳選部位のユッケや北海道根室産(取材時)の雲丹、徳島県阿波育ちの鶏卵、こしひかり。

さらにスタッフが、黒毛和牛のしぐれ煮、韓国海苔、ごま油までをサーブ。すべてが渾然一体となり、それぞれを引き立たせている。

美しきビジュアルから、美味なるマリアージュが生まれる。食べる過程までも心に残るひと皿だ。