貯蓄3000万円あっても不安な人々。最大のリスクは「長生き」か!?

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 人生100年時代の到来とともに飛び交う「老後資金は3000万円説」。その数字を耳にするたび「絶対無理!」と頭を抱える人も少なくないはず。先日、金融庁が年金だけだと2000万円不足するとの報告書をまとめて物議にも。老後の安心とは、一体いくら必要なのだろうか?

◆まもなく生涯現役時代が到来。最大のリスクは「長生き」か!?

 40代にして老後資金3000万円を貯めた人々は、3000万円あってもなお「老後は不安」が大多数。では、一体いくらあれば安心できるのか?

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Q 貯蓄3000万円あれば老後も安心だと思いますか?

・まったく安心じゃないので貯め続ける…80人
・働き続けられれば安心…16人
・安心…4人

※個人年収500万円以下(世帯の場合は妻の年収200万円以下=世帯年収700万円以下)の30代後半〜50代前半の男性。既婚50人、独身50人
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 まずは現在の40代が60代となる20年後の社会状況を予測してみよう。まず経済アナリストの中原圭介氏は「日本の景気は楽観的に見ても現状維持が精いっぱい。加えて、生産年齢人口も減少するので、20年後には高齢者の定義が変わっているはずだ」と指摘する。

「現在進行形で高齢者雇用安定法の改正案が審議されており、政府は将来的に雇用が70歳まで義務化される道筋をつけたいのでしょう。つまり、安倍政権の言う『一億総活躍社会』とは、“70歳までは現役で働きなさい”ということ。そして、『70歳まで現役』という社会的コンセンサスが形成されれば、高齢者や老後の定義が変わってくる。現在、WHOの基準で60歳以上が高齢者とされていますが、今後は70歳、場合によっては75歳からが高齢者となっているでしょう」

 20年後には老後の入り口が10年引き上げられ、年金支給開始年齢も70歳以上を覚悟しなくてはならない。その分、60〜70歳での雇用が流動化し、スキルのある人材は転職が当たり前となり、スキルのない人材は薄給で会社にしがみつくことになるというのが中原氏の見立てだ。

 一方、老後不安を煽る材料のひとつである「日本破綻」のシナリオだが、経済学者の郄橋洋一氏はこう断言する。

「保険という設計上、年金や介護、医療制度が壊滅的に破綻することはあり得ません。また、根強い『日本デフォルト説』(=財政破綻で国債が債務不履行になること)ですが、とんでもない政権運営をしない限り非現実的でしょう。むしろ、国債よりも他の金融商品に誘導したい思惑が透けて見えます」

◆最大のリスクは「長生き」

 そんな中で今後の最大のリスクは、「長生き」だと郄橋氏。

「そもそも70歳くらいで亡くなれば、老後をそこまで憂鬱に捉える必要はない。長生きを考えるほど悲観的になるという状況は、もはや矛盾しています。長生きしたければ、その分、長く働けばいい。老後資金の正しい捉え方は、『貯める』のではなく『長く稼ぐ力を身につける』ことなんです」

 20年後は「生涯現役」がスタンダードとなるのだ。

【中原圭介氏】
経済アナリスト。アセットベストパートナーズの経営アドバイザー。著書に『AI×人口減少 これから日本で何が起こるのか』など

【郄橋洋一氏】
経済学者。嘉悦大学教授。大蔵省(現・財務省)に入省し、内閣参事官などを歴任。著書に『未来年表 人口減少危機論のウソ』など

取材・文/週刊SPA!編集部
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