【NBA】5人全員がスーパースターに― “完全体”となったウォリアーズに死角はあるのか?
ウォリアーズはカズンズを加え脅威の“ビッグ5”が誕生
1チーム5人でプレーするバスケットボールにおいて、5人すべてがスーパースターだったらどうなるのか?オールスターゲームのようなエキジビションではなく、シーズンを通じてプレーした場合にはどれだけの強さを発揮できるのだろう?ほとんどファンタジーのようなそんな問いに、今季、答えが出されようとしている。
昨季まで2連覇を果たしたゴールデンステイト・ウォリアーズは、オフにリーグ屈指のビッグマン、デマーカス・カズンズを獲得。昨年1月に手術を受けた左アキレス腱のリハビリを続けてきたカズンズは、1月中旬に満を持して戦列復帰を果たした。ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンと合わせ、ここで脅威の“ビッグ5”が誕生したことになる。
「(カズンズが)このチームに加わり、新しい武器を得られたのは凄いことだ。彼はウチの選手たちと一緒にプレーすることを気に入っているし、他の選手たちにとってもそれは同じことだ」
1月24日、ワシントンDCで行われたウィザーズ戦の際にスティーブ・カーHCがそう述べた通り、これまでのところカズンズは他のスターたちと楽しそうに共存しているように見える。
ウィザーズ戦ではチーム全体で57%という高い成功率でFGを決め、大量126得点。カリーが38得点を挙げたのを始め、デュラントが21得点、カズンズが17得点、グリーンが15リバウンド、7アシストと主力がそれぞれの役割を果たしていた。
ウィザーズに勝った時点で、ウォリアーズは今季最長の9連勝。26日のボストン・セルティックス戦、28日のインディアナ・ペイサーズ戦にも勝ち、連勝記録は11に延びた。この期間中の平均得点差は18.4という圧勝続き。今季序盤戦では近年にないスロースタートだった王者だが、ここに来て鋼の強さを印象づけている。
ケミストリーを懸念する声も、杞憂に
カズンズの復帰前、チーム内のケミストリーを懸念する声は少なくなかった。どれだけスーパースターを揃えようと、ボールは1つだけ。1つのポゼッションでシュートを打てるのも1人だけ。精神面のムラっ気が指摘される28歳のビッグマンが、チームプレーが自慢のウォリアーズにフィットするかは未知数に思えたのだ。
しかし、最初の5戦(全勝)を見る限り、そんな心配は杞憂だったようにも思える。
「このチームには(ポストで)ボールを渡して、仕事を果たしてくれる選手がいなかった。まだ完全に適応するためにはやるべきことは残っているけれど、噛み合うまでは時間の問題だよ」
グリーンのそんな言葉にある通り、ウォリアーズにほぼ唯一欠けていた“ローポストの得点源(=カズンズ)”という新たな武器が手に入った意味は大きい。周囲にカリー、トンプソン、デュラントといった超絶シューターを擁するチームは、これまで以上にガードするのが難しくなった。5人のスターが一緒にプレーした時間帯では、最初の4戦でのplus minusも+31とまずは順調なスタートを切っている。
ケミストリーはおそらく問題ないのだろう。カズンズとウォリアーズは1年500万ドルという短い契約で、デュラントも今季終了時にはFAになる権利を得る。この“ビッグ5”体制は長続きするものではないが、短期間ならエゴが邪魔する余地も少ない。少なくとも今季中に関しては、それぞれが力を合わせて勝利を目指すに違いない。
案の定、これまでのカズンズはポストプレー以外にもペリミターのディフェンス、パスワークなどで貢献。おかげでウォリアーズはより隙のないチームになった感がある。
“タレントの一極集中”には批判的な声もあるが…
こうした“タレントの一極集中”には批判的な声があるのも事実ではある。これほどのスーパースターたちが一丸となって勝利を目指せば、死角はほとんど見当たらない。精神的な支柱でもあるカリーの故障離脱といったアクシデントがない限り、正直、ウォリアーズが3連覇を逃すシナリオは想定しがたい。シーズン中のみならず、プレーオフでも王者が圧倒的な強さで突っ走っても驚くべきではあるまい。
ただ……それでも今季後半戦、プレーオフのウォリアーズをスポーツファンは見逃すべきではないのだろう。前年のオールスターに選ばれた5人がスタメンを務めたチームは、NBA史上でも1976年のセルティックスだけ。ジョジョ・ホワイト、チャーリー・スコット、デイブ・コーウェンス、ポール・サイラス、ジョン・ハブリチェックというボストンの“ビッグ5”も、一緒に先発で出場したのは2戦のみだった。
ウォリアーズの5人はすでに5戦で共存し、今後も歴史を積み重ねていく。優勝争いはほとんど予定調和だとしても、注目に値することに変わりはない。今季の彼らの軌跡と強さは、これからも、いつまでも、永く語り継がれて行く可能性が十分にあるからだ。(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)
