Excelで「なぜ自動計算されない?」パニックにならないための対処法と活用の基礎知識

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Excelは、さまざまな集計を行うシートを作成する。
・売上表
・入場者数の集計
・経費の計算
など、簡単な集計からマクロを利用した複雑な集計まで、業種に限らずもっとも多く使われている。

こうした集計表でもっとも基本となるのが、入力された数字を合計するSUM関数だ。
なかでもオートSUMは、表に入力されている数値が変更されても、適宜、自動で再計算し、常に最新のデータを集計できるため、便利だ。

ところが、この便利なオートSUM機能が働かなくなったら、どうすればよいのか?

筆者は、先日、Excelの使い方を解説する記事を作ることになり、表を作った。
「表内の数値が変わってもほら、自動で計算し直してくれるでしょ?」
という手順のスクリーンショットを撮っていたときのこと。

表の数値を入力し直しても合計が変わらない!
なぜ?どうして?

何度も違う数値を入れてみたり、違うセルを修正してみたりしたが、いっこうに再計算されないのだ。
狐につままれた状態になりつつ、画面をくまなく見てみた。

すると画面左下に「再計算」と表示されていることに気がついた。
別のPCで同じことをやってみると、「再計算」という文字は表示されず、合計は瞬時に更新された。

ということは、この「再計算」という文字に秘密が隠されているはずだ。


画面左下に表示される「再計算」の文字


取りあえず、この文字にマウスを合わせてみた。すると、
「自動計算を行うように設定されていないため、数式の計算結果が最新の状態でない可能性があります。手動で再計算するには、ここをクリックするか、F9キーを押してください。」
と表示された。


マウスオーバーすると、自動計算されない設定になっている旨のメッセージが表示された


指示に従って「再計算」の文字をクリックしてみると、見事に再計算され、正しい合計額に更新された。


最初の合計(上)、3月の数値を変更するも合計額が変わらない(中)。「再計算」をクリックすると更新された(下)


Excelは、自動的に計算結果が更新される「自動更新」の設定がオンになっている。
メニューの「数式」タブの「計算方法の設定」を開けば「自動」と「手動」が選べるようになっているのだ。


計算の設定方法が「手動」になっていた


どうやら筆者のExcelは、設定が「手動」に変わってしまっていたようだ。
なぜ、このような状態になってしまったか?
原因は不明だが、複数のブックを開いたときにそういう現象になるケースがあるとのこと。

たとえば、手動計算の設定になっていたAというブックを開いたとしよう。
すると、その後に開いたBというブックが自動計算の設定になっていたとしても、最初に開いたブックAの設定が使用される。Excelの仕様では、開いているブックはすべて同じ計算方法が適用されるのだ。

つまり自分で手動計算に切り替えなくても、人から受け取ったファイルが手動設定になっていると、その後に開いた自分のファイルも手動設定になってしまうというわけだ。

こうした自動計算が手動計算に強制変更されるワケを知っていれば、
いざ、そうした事態になっても、慌てることはない。
落ち着いて「再計算」という文字をクリックするか、「F9」キーを押せばよい。
そして、設定を変更すればよいからだ。


ところで、なぜ「手動計算」という設定は存在するのかだろうか?

実は、「大量のデータを頻繁に変更する」といった場合の作業効率をアップのためなのだ。

SUM関数はシンプルだが、
・複雑な関数式を使っている
・数値を頻繁に修正、再計算する
こうしたケースでは、入力する数値の変更のたびに再計算することになる。
それでは、何度も再計算するので、処理にも時間がかかってしまう。

こういった場合は、一旦「手動計算」にしておき、変更する数値の入力が終わった段階で「再計算」や「F9」キーを押せば、計算は1度で済み、時短になるというわけだ。

作業の状況にあわせて、「自動計算」と「手動設定」を使い分ける、これが作業効率をアップさせるには必要なのだ。


内藤由美