心身の障害や疾患があっても、多様なジェンダーや性指向の人を含めて、それがパートナーの性の健康を侵さないかぎり、生のよろこびを必要であれば、サポートしなければならない―――。

そんな想いで、産婦人科や泌尿器科、精神科の医師、看護師、臨床心理士などの第一線で治療に当たる専門家たちが執筆しまとめたテキストが、金原出版から発売された。

タイトルは、「セックス・セラピー入門 性機能不全のカウンセリングから治療まで」。編集は日本性科学会。A5判、総448ページ。

同書は、心理的療法を中心に、身体的診断・治療も含め、かつセックスが本来影響を受ける関係性や社会性を考慮した、全人的治療について解説。

執筆者のひとり、大川玲子氏「性はQOLのなかでも重要」

このテキストの執筆者のひとり、日本性科学会 大川玲子理事長がメディア向けセミナーに登壇。

同書について大川理事長は「従来のセックスセラピー概念は、心理学的療法が中心だった。現在は、医学的治療も重要で、このテキストでは適切なバランスを考慮した。また、性はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)のなかでも重要という認識から、医療の多方面から性への働きかけをする参考になる構成に」と伝えた。

また、読者ターゲットについて大川理事長は、「医療関係者や心理職のほか、こうした分野に関心のある一般の人たちにもすすめたい。性の問題に悩んだり、興味をいだきつつも正確な情報を選別する手段がないといった人たちにも助けになる内容。機能不全・障害に特化した、読みやすい専門書」とも話していた。