「密入国」韓国人少年が米オリンピック選手に

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14年前にカナダの国境を超えて密入国した少年が、米国の五輪代表選手に選ばれた。

韓国の「ukopia.com」によると、米紙「ワシントンポスト」は13日(現地時間)、18年前米国に密入国した少年サイモン・チョ(韓国名:チョ・ソンムン、18才)が、バーンクーバー冬季五輪のショートトラックに米国の代表選手として選ばれ、「アメリカンドリームをつかんだ」と報じた。

記事によると、サイモンの父親であるジェイ・チョは1993年に就業移民として米国に渡り、永住権を取得するため7年間米国で待機しなければならない身であった。しかし、家族と離ればなれになってしまったジェイ・チョは7年という月日に耐えられず、家族をカナダのバンクーバーに呼び寄せてモーテルで1週間一緒に過ごしたあと、夜中にこっそり密入国させる決断を下す。真夜中の国境越えに成功した一家は、その後メリーランド州で寿司食堂を開き、生計を立てて暮らした。

サイモンがスケートで頭角を表すようになったのは、2007〜08年頃。当時15才だったサイモンは、米国ショートトラック代表チームの選手に最年少で選ばれた。しかし、08〜09年のシーズン代表選抜で脱落してから、毎年オリンピック委員会から支給される支援金4万ドルが途絶えることに。さらに、追い打ちをかけるかのごとく不景気の煽りで父親の事業が傾き始め、サイモンのスケート人生は終わりを告げたかのように見えた。

だが、家族はサイモンのために寿司食堂を売り払い、サイモン自身も高校を中退して訓練に専念する道を選んだ。このようなサイモンに救いの手を伸ばしたのが、ショートトラック選手のアポロ・アントン・オーノであった。オーノはサイモンがスケートを辞めないよう助け、その結果サイモンは昨年9月に開かれた米国代表チーム選抜大会で、見事500メートルの部で1位に輝いた。

現在は、オーノを含める5人の代表選手と共に練習を重ね、バンクーバーでは500メートルと5000メートルに出場する予定だという。

「ワシントンポスト」は、これを特集記事で詳しく紹介しており、サイモンは同紙のインタビューに「誰も私が代表選手になるとは思っていなかった。私ですらそうだった」と答えている。

韓国ではこの話題に「五輪で是非メダルを獲得してほしい」「大変な人生だったがよくやった」と応援する声が多いが、一方で「これを見て密入国を考える人がいそうで心配だ」「密入国しても異邦人が暮らすには大変なところ。何の対策もなく米国に行こうとする人は考えるように」「密入国を美化してはいけない」といった意見も多く見られる。

参照:「密入国」韓国人少年、米オリンピック代表選手になった - ukopia.com

(文:林由美)

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