iDeCo改正で掛金上限が大幅拡大 老後資産形成はどう変わるのか

写真拡大

 2026年12月より、iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正が施行される。今回の改正では、特に会社員や公務員の掛金上限額が大幅に引き上げられ、これまで以上に老後資産形成の手段として活用しやすくなる見込みだ。

【こちらも】夏ボーナスで始める新NISA 一括と積立、初心者に現実的なのはどちらか

 新NISAがスタートして以降、「資金拘束があるiDeCoよりNISAの方が使いやすい」という声も多く聞かれていた。しかし今回の改正によって節税メリットが大きく拡大し、これまでデメリットばかりが注目されがちだったiDeCoも、現実的な選択肢として再評価される可能性が高い。

■変更点概要

 今回の改正で注目される主なポイントは、積立上限額の引き上げ、そして掛金拠出における年齢制限の緩和だ。

 毎月の積立上限額に関しては、会社員や公務員といった第2号被保険者が共に6万2,000円と、従来の約2.7倍もの積立が可能になった。もともと積立枠が優遇されている自営業者に関しても、7,000円アップの月7万5,000円となっている。

 年齢に関しては職業区分を問わず、これまでの65歳未満から70歳未満に引き上げられた。

■積立枠と節税額は具体的にどのくらい変わる?

 例えば企業年金のない会社員が、35歳から65歳まで30年間積み立てた場合の差額は以下のようになる。

【改正前】月2万3,000円 × 12か月 × 30年=828万円【改正後】月6万2,000円 × 12か月 × 30年=2,232万円

 次にiDeCo最大の魅力、「掛金全額が所得控除対象」というシステムに関する変化を見ていこう。

 (例)課税所得に対する所得税・住民税の合計税率が20%の場合【改正前】 年間掛金:2万3,000円 × 12か月=27万6,000円 年間節税額:27万6,000円 × 20%=5万5,200円 30年累計:5万5,200円 × 30年=165万6,000円

【改正後】 年間掛金:6万2,000円 × 12か月=74万4,000円 年間節税額:74万4,000円 × 20%=14万8,800円 30年累計:14万8,800円 × 30年=446万4,000円

 簡単にまとめると、積立枠は30年で1,500万円弱、節税額は同期間で300万円弱も増える計算となる。

■iDeCoの改正によって恩恵を受ける人と受けない人

 今回のiDeCo改正で特に恩恵を受けるのは、掛金上限が大幅に引き上げられる会社員や公務員、および高い税率が適用される高所得者だ。シンプルに運用額を増やせるため、節税効果と老後資産形成の両面でメリットが拡大する。

 ただし、会社が企業年金を実施している場合、掛金上限は合算になるので要注意だ。企業年金側の拠出額によっては、iDeCoを掛け持つメリットが薄くなる場合、あるいはそもそも兼用できない場合がある。

 また、「所得的に税控除の影響が薄い」「毎月の支出的に万単位の積立が難しい」といった人には、今回の改正の恩恵はさほど感じられないだろう。

 それでも、掛金の少なさや自由度の低さから敬遠されがちだったiDeCoが、此度の改正で多くの人にとって投資の主要な選択肢になったのは事実だ。

 まずは生活防衛資金を確保し、そのうえで新NISAとiDeCoを目的に応じて使い分けることが、これからの資産形成では重要になるだろう。