静岡・伊豆の絶壁に建つ「珍物件」...シャンデリアまであるチグハグな「バブル期の元食堂」の全貌

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まるで要塞のような物件

静岡県伊豆半島の南端にある小さな港町。穏やかな入り江に漁船が浮かび、背後には緑深い山が迫る。ところどころに「急傾斜地崩壊危険区域」に指定された崖の斜面が露出しているが、その一角にひっそりと「珍物件」が建っている。実際にこの物件を調査した、YouTubeチャンネル「内見ゴリラの珍賃貸」を運営する内見ゴリラ氏が語る。

「'71年に竣工したこの建物は元々、食堂として使われていたようです。海辺の急峻な岩肌にコンクリートの巨大な基礎を打ち込み、その上に店舗兼住宅を載せるという、現代の建築基準法では考えられない方法で建てられた、まるで要塞のような物件でした」

おカネがあり余っていたバブル期の遺産

入口の階段を何段も上ると、2階には開けたスペースが広がっている。かつて店舗として賑わっていた名残で、業務用キッチンや、シロップの分量などが記されたホワイトボードが今もそのまま残されていた。

「驚くべきは3階の居住スペースです。むき出しの木でできた壁に囲まれているのに、部屋の真ん中にはシャンデリアがポツンと吊り下がっている。物件全体に一貫性がなく、元のオーナーが自らの趣味と野心を注ぎ込んだ結果ではないかと思います」(同前)

なぜ、このような物件が生まれるのか。内見ゴリラ氏はその背景をこう分析する。

「この他にも、壁が斜めになっている部屋、パチンコ店の上にポツンと建つ家など、いくつもの珍物件を見てきましたが、多くは築年数が30年以上のものです。おカネがあり余り、法規制も今ほど厳しくなかったバブル期だからこそ生まれたのではないでしょうか」

「珍物件」が建てられた時代と人々の野心に、思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

「週刊現代」2026年5月25日号より

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