母が娘に「結婚準備の足しに」と家電をいくつか買ってあげるそうです。現金を渡すわけではありませんが、こうした援助でも贈与税の対象になることはあるのでしょうか?
親が結婚準備で家電を買った場合、贈与税はかかるのか?
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。ただし、母が娘に結婚準備として家電を買ってあげる場合、通常は贈与税を心配しすぎる必要はありません。
親が子どもの結婚後の生活を支えるために、家具や寝具、家電製品などを用意する場合、通常の日常生活に必要な範囲であれば、贈与税の対象にはならない場合が多いです。例えば、新居で使う冷蔵庫や洗濯機、炊飯器、掃除機、電子レンジなどは、生活に必要な家電といえるでしょう。
今回のように、母が娘の新生活に必要な家電を購入するケースであれば、一般的な価格帯や数量の範囲に収まっているかぎり、課税対象になる可能性は低いと考えられます。
家電を買ってもらうときに確認したいポイント
ただし、すべての家電が無条件で非課税になるわけではありません。ポイントは、「通常の日常生活に必要といえるか」です。例えば、一般的な価格帯の冷蔵庫や洗濯機であれば問題になりにくい一方で、高額な家電や、主に趣味で使うなど通常の生活に必要とは考えにくい機器は、生活費の範囲から外れる場合があります。
非常に高額なオーディオ機器や大型の高級テレビなどは、税務上、結婚後の生活に必要なものとは見なされにくい品といえるでしょう。また、一般的な家電であっても、必要以上の台数をまとめて受け取ると、結婚後の生活に必要な範囲を超える場合があります。
さらに、家電ではなく現金をまとめて受け取り、使わなかった分を貯金した場合も注意が必要です。生活費として受け取った金銭であっても、実際には生活費に使わず、預貯金や株式、家屋の購入費用などに充てた部分は贈与税の対象になる場合があります。
なお、生活費の範囲を超え、贈与税の対象になると見なされた場合でも、すぐに税金がかかるとはかぎりません。贈与税には、1年間にもらった財産の合計額から110万円を差し引ける基礎控除があります。そのため、1年間の贈与額が110万円以下であれば、原則として課税されない仕組みです。
現金でも家電でも、使い道と金額の記録を残すと安心
家電を買ってもらう場合は、後から説明できるように記録を残しておくと安心です。具体的には、購入した家電のレシートや領収書、注文履歴、配送先が分かる書類などです。
現金で援助を受ける場合は、使い道が分かるようにしておきましょう。「家電購入費として受け取った」「実際にその金額を家電購入に使った」と説明できる状態にしておくことが重要です。
例えば、母から30万円を受け取り、そのうち冷蔵庫と洗濯機で28万円を使った場合、領収書があれば購入内容を説明しやすくなります。残りの2万円を生活用品の購入に充てた場合も、記録を残しておくとよいでしょう。
なお、家電費用として100万円を受け取り、実際には40万円しか使わず、残りを預金した場合は注意が必要です。通帳や入出金明細には100万円の入金が残るため、生活費として使っていない部分について説明を求められることがあります。生活費として使っていない金額は、贈与税の対象になる可能性があるためです。
こうした不安を避けるには、必要な家電を親が直接購入する方法が分かりやすいでしょう。現金で援助を受ける場合は、購入額が分かってから実費を受け取る形にすると、使い道を説明しやすくなります。
贈与税の基本を押さえて安心して結婚準備を進めよう
母が娘に結婚準備として家電を買ってあげる場合、新生活に必要な範囲であれば贈与税の対象にならない可能性が高いといえます。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなど、日常生活に使用する一般的な家電であれば、通常の生活費の援助として考えやすいでしょう。
ただし、高額すぎる品や通常の生活に必要とはいえない品、余った現金を貯金や投資に回す場合は、贈与税の対象となる可能性があります。家電を買ってもらう際は、購入目的と金額が分かる記録を残しておくことが大切です。税金面の基本を押さえておけば、親子ともに安心して新生活の準備を進められるでしょう。
出典
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
