学校のガバナンスが問われる(中井哲之・前監督/時事通信フォト)

写真拡大

 昨年7月末に発覚した広島の名門・広陵高校における集団暴行事件。

【文書入手】広陵高校側が被害者の両親に渡した報告書

 同校は昨夏の甲子園大会1回戦勝利後に出場を辞退し、甲子園41勝の中井哲之・前監督も退任した。10月に発足した第三者委員会の調査結果が待たれるなか、新たな動きがあった。同校野球部OBが話す。

「野球部とは距離を置いていた中井さんが、中学生の勧誘(スカウト)のためクラブチームの現場を訪れたようです」

 そこで広島市内で練習するクラブチームを訪ねると、中井氏は広陵で選手勧誘を担当する外部スカウトと共にやって来たという。卒団生に現役のプロ野球選手もいる同クラブチーム関係者が話す。

「1年生の頃から広陵さんに注目していただいていた子が3年生にいるんです。選手勧誘に中井さん自らいらっしゃったのは初めてで驚きでした」

 中井氏らはクラブチームの指導者に、意中の中学生が広陵に進学し、野球部に入部するよう話した。中井氏の来訪を訝る保護者もいたという。

「あんな事があったのに、監督だった中井さんは一度も表に出て(説明をして)いませんよね。それなのにうちに来られても、という声は正直、ありました」(同前)

 同チームの中学生は広陵への進学を考えていないという。

 集団暴行の被害生徒と保護者は、暴行事件を公にしないよう中井氏にパワハラを受けたとも主張してきた。

 広陵高校は中井氏に対し、4月1日より副校長から参与への降格、2か月の減給という処分を下した。そうしたなかで、暴力事案への関与やパワハラ疑いも残る中井氏の野球部への関与をどう捉えているのか。

 飯盛豊理事長に連絡を入れると、「学校を通して連絡ください」とするのみ。学校に改めて問うと、「学校としての回答はいたしません」とした。

 中学生の勧誘に関わったからといって、すぐに野球部の指導に復帰するとは限らない。だが、中井氏の独断の動きならば学校のガバナンスに問題があるし、第三者委の結論を待たずに中井氏の野球部への関与を容認していたのであれば、学校は事件発覚以降、連絡を絶ってきた被害者らに説明責任を果たすべきだろう。

取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

※週刊ポスト2026年5月22日号