5月5日のこどもの日の朝、長野県阿智村で母親(50)と長女(13)、次男(10)が遺体で発見された。

【画像】事件が起きた住宅の様子

 発覚のきっかけは午前3時すぎ、長男が「母親から暴力をふるわれた」と交番に駆け込んだことだった。警察が駆け付けた際には家の中から応答はなく、その後、室内で子ども2人が窒息死、母親が浴槽内で溺死しているのが確認された。当時父親は不在だったという。警察は母親が無理心中を図った可能性もあるとみて捜査を進めている。

 ABEMA的ニュースショーが阿智村に入ったのは事件から3日後。静かな村で起きた事件。村人たちは不安な様子だった。

 一家に一体何があったのか。近隣住民に話を聞くと「何も知らない。子どもたちは学校で関わりがあるんだけど、お母さんのことは全く知らない。全然わからない、面識が無い」と、家族について詳しく知る人と出会うことはできなかった。

 それでもこんな話を聞くことができた。「(一家とは)お付き合いはあった?」という質問には「最近全然ない」と答え、「(一家は)ずっと阿智村に住んでいる?」と問いかけると「(阿智村に)来てから7年か8年。そこが駐車場、子どもが(車に)乗ったり降りたり、遊びに行ったり。川にもよく行っていたみたい」と証言。近隣住民によると、家族は7、8年前に阿智村に引っ越してきて、子どもたちの姿もよく見ていたそうだが、特に変わった様子はなかったという。

 亡くなった長女の同級生の父親に「(親御さんと)面識はありました?」と尋ねると「会えば会釈するくらい。特別何かを話したりはほぼ無い。(習い事など)自転車で子どもを送り迎えしている姿も見かけた」として「子どもに何かするような感じではない。お子さんに対して割といろいろな面で配慮されたと思う。本当に信じられない」と語った。

 9日、規制線の範囲は自宅・現場前にまで縮小。そこで母親と事件の4日前に食事をしたという女性に話を聞くことができた。

「事件が起こったことを聞いただけで、体が震えました。(警察から)物音がしなかったか、いろいろ聞かれた。全然そんな気配はわからなかった。4日前にもこの地域のつながりで、お日待ちという行事があった。そこで一緒に食事をして、みんなで雑談してニコニコしていた。いつもお父さんが参加するが、その日に限ってお母さんだった。『お父さんが早く仕事に出るから私が代理で来ました』と言って、一緒に楽しく2時間くらい過ごした。何の異常も暗いところも見えなかったし、朗らかな笑顔を見せてくれていた」(母親を知る近所の女性)

 犯罪心理学者の出口保行氏は、今回の事件を無理心中とはまだ特定されていないことを踏まえたうえで、一般論としてその背景をこう読み取る。

「一家の誰かを殺害することありきで殺害して後追いするというパターンなのか、自分が自殺しようと思っている時に巻き込むか。形態的には同じだが、目的は全く違う。(経済状態などで)この子たちを残していたら生きていけないと思い、道連れにするパターンもある。家族内のいさかいがあり殺人を起こすパターンも当然ある」

 出口氏によれば、殺人事件のおよそ5割が家族間や親族同士だという。警察庁の統計では令和2〜4年で44.7〜47.1パーセント、令和元年(2019年)には54.3パーセントとなっている(警察庁の資料より)。

 「家庭は逃げられない。お互いが離れられない中でストレスがたまっていって、憤まんや不満が蓄積する一方になってしまう」と語った出口氏は、家の中から発せられたSOSを第三者が気づくことは困難だとして「家庭内でどういうストレスが発生する状況にあったか、外部の人にはわからない」と語った。

 今回警察は母親による無理心中の可能性との見方を示しているが、元徳島県警捜査1課警部の秋山博康氏は「心中」という言葉は真実を覆い隠す言葉だとして「無理心中は殺人罪。お母さんが子どもを……自殺の意図もない、同意も全くない。自分が死ぬために子どもも道連れに殺害して自分も自殺する。(家族を)殺害したという、重い大きな殺人事件」と指摘した。

 母親を知る女性によれば、近所付き合いはあったものの言葉数は少ない女性だったとして「誰だって悩みはあるけど、誰にでもすべてオープンには話さない。何も手助けできなかった自分たちがね、悔しく思います」と胸中を吐露した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)