『風、薫る』佐野晶哉&林裕太は“愛されキャラ”になる予感 高橋文哉、戸塚純貴に続くか
国民的ドラマである「朝ドラ」で飛躍するのは、主演俳優だけではない。主人公を演じる者たちと同じくらいか、あるいはそれ以上に、注目度が急上昇する俳優がいたりするものだ。
参考:『風、薫る』佐野晶哉が気になって仕方がない 『カムカム』松村北斗に続く飛躍なるか?
放送中のNHK連続テレビ小説『風、薫る』でヒロインの一ノ瀬りんと大家直美を演じる見上愛と上坂樹里はいままさに、広くその名を知らしめているところである。今作で彼女らとともに飛躍するのは誰だろうか。非常に気になるのが、“シマケン”こと島田健次郎を演じる佐野晶哉と、槇村太一を演じる林裕太だ。
本作は、激動の明治の世を舞台に、ふたりの“トレインドナース(=正規に訓練された看護師)”の活躍を描いていくもの。りんと直美が看護の世界に足を踏み入れ、修行の日々が続いている。
そんな本作においてシマケンと太一の物語は、りんと直美の物語とは付かず離れずで繰り広げられている。いや、“繰り広げられている”というのは言い過ぎか。『風、薫る』の重要なトピックとして語られるほどのものは、いまのところ彼らのエピソードに見受けられないし、そもそも太一の出番はまだ多くない。
けれども、これからの『風、薫る』においてはそうなりそうな気がする。次代を担うポップスターの佐野が扮するシマケンは“小説家志望”というユニークなキャラクターであることが分かったし、太一を演じる林はいまもっとも注目の若手俳優だからである。
とはいえいまはまだ、“勝手に期待している”というのが正直なところではある。しかし、過去の「朝ドラ」を振り返ると見えてくるものがあるのではないか。
『風、薫る』の前々作にあたる『あんぱん』(2025年度前期)で高橋文哉が演じた辛島健太郎は、初登場時から最終回まで、同作においてもっとも愛すべきキャラクターのひとりだっただろう。高橋は柔らかな演技で親しみやすい健太郎像を立ち上げ、これが作品全体の柔らかさにも影響を与えていたほどだ。少し間の抜けたところは“変わり者”としても映ったものだが、物語の展開が深刻なところへ進んだとき、彼の茶目っ気が救いになった。同じように感じている方は多いことと思う。
さらに遡ると、『虎に翼』(2024年度前期)で戸塚純貴が演じていた轟太一の存在に思い至る。彼は登場するたびに注目を集め、話題を呼ぶキャラクターだった。最初のうちはヒロインらとの摩擦を起こす問題児的人物として描かれていたが、しだいに影響を与え合うような重要な存在に。戸塚の豪快で繊細な表現から生まれたいくつものシーンを、いまもよく覚えている。
もっと遡れば、『らんまん』(2023年度前期)で前原滉と前原瑞樹が演じた波多野泰久と藤丸次郎のコンビも、ここまで記してきた系譜に連なる存在だっただろう。主人公と影響を与え合い、物語に変化をもたらし、作品の印象を左右するほどの重要なキャラクター。それが波多野と藤丸だった。ふたりの前原は演技巧者としてポジションをこの時点で確立していたが、やはり『らんまん』に出演して以降の飛躍ぶりには目を見張るものがある。ちなみに“コンビ”でいえば、前作『ばけばけ』(2025年度後期)で錦織丈と正木清一を演じた杉田雷麟と日高由起刀もそうだ。
さて、“島田健次郎=佐野晶哉”と“槇村太一=林裕太”もまた、彼らのような存在となり、飛躍していくこととなるのか。佐野は『20歳のソウル』(2022年)や『か「」く「」し「」ご「」と「』(2025年)といった同世代の若手俳優が集う作品で経験を積み上げつつあるし、『愚か者の身分』(2025年)で先輩俳優たちと共闘してみせた林は、先述しているように最注目の若き演技者だ。『風、薫る』でもその存在が光る瞬間がやってくるに違いない。親友同士であるシマケンと太一の日常がよりクローズアップされるその日を、いまはただ待つばかりだ。(文=折田侑駿)

