WESTで暫定首位の名古屋。生命線の得点力が結果に比例。チームの成長曲線が急上昇してきた感がある。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 第15節のガンバ大阪戦の勝利をもって、暫定ながらJ1百年構想リーグWESTで首位に立った名古屋グランパスだが、やや混戦模様のリーグを得点力でもって席巻しているのが何とも特徴的だ。

 15試合でのチーム総得点25は、両リーグを通じても暫定ながらFC東京に次ぐ2位で、木村勇大の7得点と山岸祐也の6得点を筆頭に、10選手が得点を挙げている。14節のV・ファーレン長崎戦では過密日程を考慮したフルターンオーバーを敢行し、36歳のベテラン永井謙佑の2ゴールを守り切って見事に勝利。スタメンを固定しがちと言われるミハイロ・ペトロヴィッチ監督を大いに満足させる選手層のクオリティを示してもいる。

 4月25日に幕を開けた5連戦は3勝1PK戦負けで勝点10の荒稼ぎで、選手たちは連戦の締めとなる京都サンガF.C.とのホームゲームで1位の座を盤石にすべく意欲を燃やしている。

 苦い経験が彼らを強く、逞しくさせた。昇降格がないこの百年構想リーグは、その点で真剣勝負の度合いが薄まって感じられるところもあり、PK戦で必ず試合の決着をつけるために、90分を引き分けた後の“読後感”がいつもと違う。

 一番極端なのが、土壇場で追いついてのPK戦の勝敗で、「負けていたところから何とか追いついた」という通常の結果が、逆転勝利の試合後の風景になっていることがある。

 何が言いたいかというと“5分け”のうち3つをPK戦負けしている名古屋は、15試合のうち6試合を負けているような感覚があり、それだけ嫌な思いをしたからこそ、自分たちの課題に強く向き合うことになった。

 90分間をほぼ完璧に支配し、しかし最後の最後で失点を喫して2−1の勝利となったG大阪戦のあとも、和泉竜司は言っていた。「しっかりゼロで終わらないといけない試合だった。岡山戦もそういう形で失点して、PKで負けているので」。
 
 今回は2−0からの1失点だったので致命傷にはならなかったが、直近にそういった痛い目に遭っているからこそ、勝ったことだけにフォーカスはしない。

 和泉はまた「失点してもまた得点できる自信は自分たちの中にはあるけど、ゼロで終わらなきゃいけない試合はゼロで終わらないと。タイトルがかかった試合や、今後も上位で戦っていくためにも大事なところになるので、みんなでもう1回、気を引き締めてやっていかないと」と、快勝にも危機感をのぞかせた。

 連戦に入る前、キャプテンの稲垣祥はチームの成長について「今までの“痛み”が今になって花開いてきている部分がある」と語っており、彼らの取り組みが「攻め勝てばいい」という短絡的なものではないことを示唆してもいた。

 同時に、新体制の始動から4か月が経過して、チームの成長曲線が急上昇してきた感もある。いわゆる“ミシャ式”の導入から始まり、3人単位のコンビネーションという基礎、守備時3−4−3、攻撃時4−1−5の可変システムの構造と意図、ピッチのどこに意識をもっておくべきかというセオリーの浸透と、タイミングを合わせて動くことの重要性。

 そういった土台となる部分が固まってきて、時折顔をのぞかせるぐらいだった“それっぽい攻撃”の割合が増え、それがより意図的になり、その意図にコミットしてくる選手の数が増えた。

「攻撃でもっとアイデアを出せ」と口酸っぱく選手に伝えるミシャ監督だが、基本的な攻撃パターンの流れ自体には明確な答えがあり、これをやれば正解、というベースがあるから選手たちから徐々に迷いも消えていった。

 試合結果として不安定だった序盤8試合は、その点での戦い方のばらつきがあった印象で、そこからの7試合は得点の仕方も試合結果も、アベレージがかなり上がってきた。今、分けた8試合と、7試合での得点数を比べるだけでも、8戦11得点、7戦14得点と得点力増は明らかで、序盤8試合の中にはアウェー福岡戦の5得点も含まれるからなおさら。