震災乗り越え…前向きに楽しく「新天地の長崎で 地域の素材生かした商品を」《長崎》
今年の4月16日に、本震から10年を迎えた熊本地震。
東日本大震災と熊本地震で2度の震災を経験し、県内で再出発した夫婦がいます。
【NIB news every. 2026年4月15日放送より】
◆“どこで生きるのか”… 移住先の熊本で被災
和と洋を掛け合わせた、モダンな佇まいが印象的な大村市西本町にある「ちわたや」。
県内の素材を使った、色とりどりのジェラートなどを提供しています。
しかし この店をオープンするまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
店を営むのは、前野 高宏さん、麻琴さん夫婦。
もともとは、千葉で暮らす会社員と主婦でした。
2011年、東日本大震災。
東北だけでなく、関東エリアも大きな揺れに見舞われ、被害も多数でました。
(前野 高宏さん)
「まだ子どもが小さかったこともあり、当時の原発事故などの影響を心配して、九州に移住しようというのがきっかけ」
“どこで生きるのか”…
家族で考えた末に選んだのは、熊本への移住。
当時、被災者の受け入れが充実していた熊本市で、新しい暮らしをスタートさせました。
少しずつ、形になり始めた新しい人生。しかし…
2016年4月。
わずか28時間の間に最大震度「7」を、2度も観測。
前野さん一家が暮らす南阿蘇村も、甚大な被害を受けました。
(前野 高宏さん)
「正直言って、もう命が助かるかどうかさえわからない状態だったので、家族とここから離れようという、それだけしかなかった」
(妻 麻琴さん)
「とにかく子どもを守らないといけないというのと、何が起こってるのかわからないパニック。現実じゃないみたいな感じ」
崩落した阿蘇大橋の近くにあった店舗兼自宅は、大規模半壊の認定を受けました。
積み上げてきた暮らしが失われた2度目の震災。
それでも…
(前野 高宏さん)
「幸いなことに、家族全員がケガもなく体だけは無事だったので、スイッチを切り替えることができた。新しいところでイチからやり直そうと、当時も前向きな気持ちにはなっていた」
◆新天地を求め 長崎へ
選んだのは、パン屋としての再出発。
悩み続ける中で見つけた新天地は、長崎の東彼杵町でした。
熊本地震からちょうど1年の、2017年4月14日がオープン初日。
再出発の場として開いた「ちわたや」には長蛇の列ができ、多くの人が詰めかけました。
(前野 高宏さん)
「今からオープンします!よろしくお願いします」
(妻 麻琴さん)
「(お越し頂き) ありがとうございます」
(妻 麻琴さん)
「まさかこんな所で こういう事になっているとは、1年前の自分は思っていなかった」
地域に支えられながら一歩ずつ、積み上げてきた日々。
“ちわたやのパン”は、やがて評判を呼び、多くの人が訪れる店へと成長していきました。
そして去年7月、新たな挑戦として隣り町の大村市に店を移転。
ジェラートや茶バターなど、地域の素材を生かした商品が中心の新しい形の店へと進化しました。
(妻 麻琴さん)
「自分たちが良いと思うものをお客さんに食べてもらいたいのは、最初から変わらない。
地震の後から現実味を感じずに、ただひたすら必死にやってきた店なので、これからも本当に長く続けていきたい大事な場所」
◆熊本地震から10年の節目に…
震災を越えて、ようやくたどり着いた “平穏な日常”。
熊本地震から10年という節目に、かつて暮らした熊本で、初めての催事出店の話が舞い込みました。
会場となったのは、熊本市内の百貨店。
その一角に並んだのは、そのぎ茶を使った抹茶ジェラートなど、長崎で生まれた商品です。
(前野 高宏さん)
「すごいお客さんが多くてありがたい」
(妻 麻琴さん)
「ちょうど10年の節目で、ほんとにこの日付で呼んでもらえたというのが不思議な縁だと思う。少しでも、長崎にこんな店があるよ、こんなお茶があるよっていうのを、知ってもらいたい」
2度の震災を乗り越えてきた、前野さん夫婦。
(前野 高宏さん)
「あれだけ大きな地震だったので、過去こんなことがあったということを思い出して、家族と一緒に過ごしやすいように、生きたいように、前向きに楽しく生きていこうと今、思っている」
