「こんなに仲がいいのに、どうして」水谷豊が初めて明かす、及川光博との“不仲説”の真相と『相棒』の知られざる舞台裏
〈36歳で再婚→38歳で父親に…「蘭さんに声もかけられなかった」水谷豊が明かす、愛娘・趣里の名前に込めた意味〉から続く
ドラマ『相棒』での共演中、水谷豊と及川光博の“不仲説”は繰り返し報じられた。しかし2人の関係は、噂とは正反対だったと水谷は語る。
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「芝居は、仲が悪くなるとできない」と断言する水谷が初めて明かす、及川との知られざる3年間。『水谷豊 自伝』(新潮社)より抜粋して紹介する。(全4回の3回目)

水谷豊 ©︎文藝春秋
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不仲説が囁かれた「2代目相棒」卒業の“真相”
シーズン7の最終話から登場して3年、神戸尊は右京の相棒となり、数々の事件を解決に導いてきた。『相棒』ファンは亀山薫ロスから立ち直り、尊の活躍を見守ってきたものの、シーズン10を最後に、尊の卒業が発表された。
亀山薫が右京の相棒だった期間はプレシーズンを含めて8年半、神戸尊は3年、と半分以下の時間だったため、無責任な憶測が流れた。主役の水谷との不仲説である。
「光ちゃんがね、『なんで僕たち、いつもこんなに仲が悪いふうに書かれるんですか』とよく言ってましたよ。『こんなに仲がいいのに、どうして』って。『2人の仲がいいことはドラマを観ていれば分かるよ』と答えたけど、なんだろう、あれは。人が不幸な方が楽しいのかな。光ちゃんとも、これ以上仲良くしなくてもいいでしょ、っていうくらい仲が良かったのにね」
及川が3年で卒業したのは、スタート時から既定のことだった。
「光ちゃんは、歌手でもあるからコンサートのツアースケジュールが大変なんですよ。それのスケジュールを削ったり、調整してこっちに来てくれるんです。『相棒』のためにツアーを犠牲にするのも限界があるだろうし、こちらも出てもらっているという気持ちがあるので、3年くらいシーズンを頑張ってもらえたら充分だと思っていた。実際によく頑張ってくれました」
「芝居はね、仲が悪くなるとできないんですよ」
共演者との不仲はありえないことだった。それは及川に限った話ではない。
「芝居はね、仲が悪くなるとできないんですよ。現場の空気が濁っていれば、観ている人に分かります。そもそも、僕は役者同士の仲が悪くなるという現象が理解できない。芝居をしているときは、みんなで一つのことに向かっているという意識があるから、連帯感のようなものが生まれるんです。みんな同じ台本を持って、ああしたらいいか、こうしたらどうだろうとアイデアを出したりして創り上げていく」
及川光博の『相棒』ラストシーン
神戸尊は、古巣の警察庁に異動するというかたちで特命係を去る。
シーズン10の最終話「罪と罰」で、右京を結果的に欺くような行為をしたことから「自分はもはや特命係にはいられない。上層部の意向があったとはいえ、杉下さんが大事にしているものを踏みにじってしまった」と覚悟したのである。必要があればいつでも特命係に顔を出せるというポジションへの異動ではあるが、ラストシーン、愛車で送ろうとする尊を断った右京の言葉には哀愁が漂う。
〈〈やめておきます。ようやく一人に慣れてきたところですから〉(『相棒 season 10下』)〉
及川は『相棒』を卒業するにあたって、こんな言葉を残している。
〈〈『相棒』という作品を通して、表現者としてタフになったと思いますね。もちろん、そういったことは全部、水谷先生に教えてもらったことです(中略)。主に撮影の待ち時間ですけど、人間について、人生についてもおしゃべりさせていただきました。待ち時間が長い時は、結構深い話もできたんですよ。苦労も努力もひっくるめて、とにかく人生を楽しまないとって、教えていただきましたね(中略)。水谷さんが日々口にしていらした“台本以上”という言葉を胸に、僕はこの作品を卒業します。台本に書かれている世界をより面白く表現すべく、創意工夫と努力を忘れずに今後も精進していきたいと思っています。3年間、ありがとうございました!〉(『オフィシャルガイドブック相棒vol.3』産経新聞出版)〉
別れ際、及川光博がどうしても伝えたかった“一言”
別れ際、水谷は及川からあることを頼まれた。
「光ちゃんが『最後までずっと我慢していました』と言って、『熱中時代』の劇伴(サントラ)のアルバムを出したんです。『これにサインしてください』って。可愛いところがあるんですよ」
亀山も神戸も上からの命令で特命係にやってきた。3代目になる相棒は彼らと違い、右京自らが選んだ相手である。しかも、右京とは親子ほども年の差があった。
〈「蘭さんには打ち明けて、僕には内緒にしていた」娘・趣里が父・水谷豊に隠して芸能の道を選んだ理由と、“激怒報道”の真相〉へ続く
(水谷 豊,松田 美智子/Webオリジナル(外部転載))
