ですが昨今の多様性尊重や男女の役割差をなくそうとする潮流により、女性が中心となり社会の中で戦うシーンも増えていきました。先人たちが壁を破り、あり得ないと思われていた女性首相が誕生した今、『もしかしたら、女性が中心となったこの設定もありうるんじゃないか』と受け入れられるようになったのでしょう」(脚本家Mさん/以下同)

◆いま「女性バディもの」を制作するメリット

要するに、時代の流れによる意識変化があったからだとMさんは言います。また、制作側としても、同じバディものを男性から女性に変えるだけで、ストーリーの幅が広がるという利点があるそう。男性主人公でやりつくされた企画でも、女性主人公であるだけで、目新しく華やかに見えるのだそうです。

「さらに女性主要キャラが複数いることで、前時代のドラマや社会の中で確立された女性像とは異なるキャラクターをしっかり描くことができます。『風、薫る』でも、主人公ふたりのキャラや背景は全然違いますよね。そこも今後楽しみな点のひとつです」

◆『ハコヅメ』『極悪女王』などのヒットがカギか

加えて、近年生み出されたシスターフッドを描いた作品が良質で、好評を得てきた成果もあるでしょう。

映画『あのこは貴族』、Netflix『極悪女王』、『その女、ジルバ』(関西テレビ/フジテレビ系)、『団地のふたり』(NHK)、『ハコヅメ』(日本テレビ系)、そして先日スピンオフも放映された朝ドラ『虎に翼』(NHK)にもシスターフッドの要素がありました。
 
「迫力がない、骨太さがない、おままごとみたい――などと、女性ダブル主人公の映画やドラマは企画段階で敬遠されているイメージでした。ですがこれらの作品の成功や高評価によって、女性バディものが受け入れられる土壌ができ、風向きも変わってきたようです。その流れで女性が立ったドラマが企画制作され、花開いた旬のタイミングなのでしょう」

隆盛する女性ダブル主演ドラマ――まさに2026年春クールドラマは、今の時代を象徴しているということですね。

<文/小政りょう>

【小政りょう】
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦