月、火星、そして地球低軌道。NASAのこれからの計画まとめ
先日、無事地球に帰還したアルテミスII。
およそ50年ぶりに、人類は地球低軌道の向こう側を飛行しました。人類が月の向こう側を飛ぶのも初めてだし、人類が地球から最も遠くへ旅した距離も記録更新。
アルテミスIIの宇宙探索は、地球人にとって新たな歴史の1ページとなりました。
アルテミスIIを成功させたNASAの計画はまだまだ続きます。アルテミスII打ち上げ前の3月下旬、昨年NASA長官に就任したジャレッド・アイザックマン氏が、アルテミス計画含めNASAのこれからのビジョンを語りました。これから最も注力するのは、月面基地です。
宇宙への中継地、月面基地!
NASAのこれからの計画で、最も大きなスポットライトが当たるのことになるのは月面基地の建設です。今年後半に予定されている2つの打ち上げミッションを皮切りに、月への無人ミッションを定期的に行い、月面基地のベースとなる設備を整えていく予定です。
そして、来年からは計画をスピードアップし、2027年には10ミッション、2028年には12ミッションを予定。
これは、月への設備輸送を民間企業に任せる商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services)の一環。1度は中止に追い込まれた月面探査車Viperが、Blue Originのミッションの一部として2027年に月面着陸する可能性もあります。Viperとともに月へ向かうのは4機のドローンMoonFall。探査車では到達しずらいエリアはこのドローンが担当します。
探査車を月に送り込んだあとは、月面基地建築に適したエリア探しがスタート。2032年には月面基地建設エリアを決定し、2032年から2036年には、人類の月面長期滞在ミッションのための住居(基地)を整備したい考え。
月周回有人拠点「Gateway」は中止に
月面基地計画で大きな皺寄せがくるのがLunar Gateway、月周回有人拠点です。これは月の周回軌道上に構築予定されていた月面探査のための中継基地ですが、月面基地がこれの代わりとなります。
アイザックマン長官は、Gateway計画を一時停止し、月面基地のサステナブルな運営のインフラ設備に注力することは、別に驚くことでもないと、その背景を語りました。
2月後半には、オリオン宇宙船と着陸船のドッキングテストを2027年に地球起動上で行う計画をアイザックマン長官が発表。そのぶん、有人月面着陸は予定より後ろ倒しになり、2028年へ。2028年には、アルテミス4、そしてアルテミス5として2回の月面着陸ミッションを行なう可能性も語られました。
Gatewayミッションの指揮をとっていたNASAのカルロス・ガルシア=ガラン氏は、新たに月面基地ミッションへ。月周回有人拠点には宇宙探査の大きな意味があるものの、今すぐ実現する必要はないとし、今フォーカスすべきは月面だと強調しました。
月、そしてその先へ
月が盛り上がりを見せる一方で、火星探査も忘れてはいません。NASAの計画では、2028年までに原子力をエネルギーとする宇宙船を火星へと打ち上げ予定。惑星間移動での原子力エネルギーの有効性をデモしたい考え。
原子力火星探査船の名前はSpace Reactor‑1 Freedom。火星に到着すると、火星探査ヘリコプターミッション、スカイフォールが始動予定。これは、火星の探査ヘリ、インジェニュイティの活躍があってこそです。インジェニュイティと異なり、スカイフォールは1機ではなく6機からなるヘリ部隊。それぞれが個々で火星の地に降り立ちます。
地球低軌道上の人工衛星
月で盛り上がるNASAですが、昨今では多くの人工衛星が飛行する地球低軌道上も、常に視界に入れています。
地球軌道といえば、国際宇宙ステーション(ISS)。2030年までにISSは引退する計画で、大気圏再突入によってISSの大部分は焼失する想定です。
そんなISSの後継を引き受けるのは、民間宇宙企業が担う次世代宇宙ステーション、2021年発足のCommercial Low Earth Orbit Destinations(CLD)プログラムでした。が、現時点ではこの予定を実現するのは到底不可能。
NASAのAmit Kshatriya氏は、ISSは世界中の政府が連携し30年も運用してきた非常に複雑な仕組みで、産業界にはそもそもないシステムだとして、民間ステーションへの移行の難しさを語っています。
民間宇宙ステーションに関しては、2つのプログラムに資金を提供する予定だったものの、現状では1つですら難しいとし、CLDプログラムの中止を発表。今後は、ISSに商業モジュールをくっつける形で技術革新と運用を行う計画を立てています。ISSからの移行が現実的なものになれば、そこでやっとモジュールをISSから離して、単体活用すればいいというアイディアです。
ということで、ISS引退は2030年から2032年頃に延期されそうです。
Source: NASA

GIZMODO テック秘伝の書
