「そんなにヤバい感じはしていない」先発ローテ半数離脱もコーチに悲壮感なし “代役”ではなく“新戦力”を作る、新生DeNAの「独自プラン」に迫る

DeNAは相川新監督の下、将来を見据えた新たな計画を試行している(C)産経新聞社
ケイ、バウアー、ジャクソンが抜け、新戦力もアクシデントが重なった先発ローテの「穴」
相川亮二新監督となった今シーズンのDeNA投手陣は、計438.4イニングを投げたアンソニー・ケイ、アンドレ・ジャクソン、トレバー・バウアーの外国人投手3人が退団。先発ローテーションの再構築が必須となっていた。
【動画】レギュラー奪取へ DeNA林が見せた決死のダイブキャッチを見る
オープン戦から戦力を見極め、開幕ローテーションは実力派はラインナップされた。エースの東克樹を筆頭に、3年目右腕の石田裕太郎、阪神から獲得したジョン・デュプランティエ、そして新外国人左腕であるオースティン・コックス、昨夏から台頭したドラフト1位右腕の竹田祐、そして中継ぎから配置転換された入江大生の6人である。
しかし、入江は開幕から2登板連続でゲームメイクできずに早々にファーム降格。デュプランティエはインフルエンザを罹患し、コックスも上半身のコンディション不良で復帰の見通しがつかない状況となっている。
早々とローテから半分の名前が消えた。加えてリーグワーストとなる先発防御率3.93という数字を見ても危機的状況と言っても過言ではない。しかし、投手陣強化を任されている小杉陽太チーフピッチングコーチの表情は、驚くほど晴れやかだった。
計算外の主力の離脱を「このタイミングでドドドってまとまった時期に来てしまいましたね。デュープは一回飛ばし、コックスもどうなるか。大生もファームで投げてもらってますから」と冷静に受け止めている小杉コーチは、「こういうことがなくても、一回は抹消したり、登板感覚を空けようと思っていました」と言及。当初は固定するプランではなかったと力説する。
4月7日の中日戦でデュプランティエの代役として急きょプロ初登板を迎え、4回1失点という及第点の内容で投げた高卒5年目の深沢鳳介も、小杉コーチ曰く近い時期に使うプランニングを描いていた。そこには「いないから使うということではない」というチームの思惑があった
「元々、若手の戦力化を図るために投げる予定だったんですよ。だからその時期が思ったより早く来たなっていうぐらいの感覚です。いいピッチャーはたくさんいるので。そんなにヤバいって感じはしていないですよ。
コックスも早い時期で良かったくらいに考えています。(復帰が)いつぐらいになるかはわからないですけど、焦らないで、先発が苦しくなってきたときに戻ってくてくれればいいです。こういう時期に若い選手を使っていくほうが重要だと思います」
「絶対に大事」と強調したDeNAの狙い
今年のうちに戦力化したい若き逸材を、当初のプランニングよりも前倒しで1軍のマウンドに上げる。その戦略はアクシデントによって空いた枠を仕方なく埋めるのではなく、あくまでもポジティブなパラダイムシフトだ。小杉コーチは、さらに前向きに語り続ける。
「ファームで頑張っている若いピッチャーをどんどん使っていこうと思っています。すごい楽しみですね。今後、片山(皓心)や篠木(健太郎)も使っていきます。ファームで経験を積んでいるピッチャーを(1軍の)戦力にさせることは絶対に大事なので。将来に備えて、投げさせないといけないですから」
当面は東と石田、そして間もなく復帰予定のデュプランティエが柱となる。そこに実績のある平良拳太郎を入れ込んでいく。ゴールデンウイークに向かうに連れ、連戦が続くところで期待の若手を抜擢し、先発陣の活性化を図っていくというわけだ。
無論、リリーフ陣もチームの生命線。ここにも“活性化”は必要となる。
ここまでセットアッパーとして機能しているショーン・レイノルズは7登板で防御率1.13、WHIP0.75、奪三振率12.38と圧巻の投球を見せ、守護神の座を奪回した山粼康晃も5登板で防御率1.80、WHIP0.40、4セーブと安定している。ただ、小杉コーチは「レイノルズは回またぎもしてくれたりと結構投げています。ヤスも久々の緊迫した場面で投げていますので、相当疲れもあると思います」と負担を懸念する。
当然ながら負担軽減もコーチのタスク。先週は連戦予定だった金曜日の中日戦が雨で中止に。さらに今週も地方遠征による移動日があり、比較的余裕のある日程もアタマに入れる小杉コーチは、「ベンチから外したりとかも考えて、休ませたいですね」と漏らす。
その余裕も生み出しているのも新戦力に手応えがあるからこそ、だ。
「(ハンセル)マルセリーノも橋本(達弥)も堀岡(隼人)もいいです。吉野(光樹)はオープン戦からずっと頑張ってきて、ちょっと出力が落ちてきたので再調整させました」
伊勢大夢、坂本裕哉、中川虎大らに加え、ファームに目を向ければ、昨季に1軍でも台頭した宮城滝太やベテラン左腕の石田健大がいる。さらに夫人の出産に立ち会うために一時帰国しているホセ・ルイーズも近々復帰予定だ。
コマが揃ってきている布陣に小杉コーチも「リリーバーもローテーションが組めればすごくいいですよね。それができれば偏りがなくなりますから」と目を細める。リーグ優勝を果たした1998年のようなタレント揃いのブルペン陣を理想とし、この先の戦い方も示した。
ここまでの投手陣の仕上がりに相川新監督も「インフルエンザも怪我も付き物です。そういうものにどう対処していくかもチーム力に入ってきます。ここからいるメンバーでどう戦っていくか。考えていますよ」と悲壮感はない。
離脱を「ピンチ」と捉えるのではなく、強くなるための「加速装置」と変換させることで好調なファームと一体となり、より強固な投手陣構築を目指す。相川ベイスターズのこれからが、より一層楽しみになってきた。
[取材・文/萩原孝弘]
