ノーノー献上も今季のロッテはひと味違う? サブロー監督がチーム改革に活かす「意外すぎるレジェンド」の金言 ダントツ最下位からの下剋上なるか
投打のかみ合ったチーム
オープン戦最下位だった千葉ロッテマリーンズが開幕カードを勝ち越しでスタートした。ペナントレースはまだ始まったばかり、また、3月31日には日本ハムの細野晴希(24)にノーヒットノーランを献上してしまった。しかし、他球団のスコアラーたちからは「ロッテ打線は脅威」の声も出始めており、昨年の「ダントツの最下位」からの再出発と、サブロー新監督(49)のチーム変革は順調と言ってよさそうだ。
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「開幕投手にドラフト2位ルーキーの毛利海大(22)が抜てきされ、勝利投手になりました。WBCに出場した種市篤暉(27)がコンディション不良で離脱した結果とはいえ、新人左腕の勝利がチームを勢いづけました」(スポーツ紙記者)
今さらではあるが、種市が健在であっても毛利が起用されていたかもしれない。というのも、春季キャンプ最終日のこと。キャンプでもっとも頑張り、目立った選手名は誰か――指揮官に問う、恒例の質問事項がある。サブロー監督は、
「(1位ルーキーの石垣)元気(18)って言いたいところだけど、毛利かな。いいボールを投げていたし、期待が膨らみました」

と、含みのあるコメントを返していたのだ。
「キャンプ中、石垣と毛利が同時にブルペン入りした際、監督が長い時間を掛けて見ていました。てっきり監督のすぐ近くで投げていた石垣を見ていると思ったんですが、視線は奥で投げている毛利に向いていました」(チーム関係者)
指揮官を惹き付けたのは、常に腕を振り切る強気な投球スタイルだという。毛利のオープン戦の登板は3月13日、20日。サブロー監督は早い時期から決めていたのかもしれない。大舞台を経験させることで、もっと大きく育てよう、という思いも込められていたようだ。しかし、チームの連勝スタートはルーキーの好投だけによるものではない。
「開幕カードの3試合とも、1番から6番まで同じメンバーがスタメンを務めました。とくに1番・郄部瑛斗(28)、2番・藤原恭大(25)、3番・西川史礁(23)は脅威。ミート力の高いバッターが続くと打線がつながりますし、3人とも走れるのが大きい。正捕手の座に返り咲いた松川虎生(22)も大量リードの試合となった第2戦で集中力を切らさず、完封リレーのリードをしました」(他球団スタッフ)
11対0の大勝となったその第2戦で対戦したのは、リーグを代表する左腕、埼玉西武ライオンズの武内夏暉(24)だった。ロッテ打線は6番まで同じメンバーで固定された新打順で、4番・ポランコ(34)、5番・ソト(37)、6番・寺地隆成(20)と続き、6人中4人が左バッターだ。相性の悪い左投手との対戦ということで、打順を変更したくなるところではあったが、サブロー監督はあえて動かなかった。
「打順は固定し、昨季の阪神のような打線を組むのを理想としているようです」(前出・スポーツ紙記者)
練習メニューの秘密
サブロー監督は就任会見で「伝説のキャンプ……(巨人の)伊東キャンプを超えるようなキャンプができたら」と語っていたが、実はその猛練習には“阪神エッセンス”も加えられていた。
打撃練習ではフルスイングが厳命されていた。「ティー打撃では120パーセント、フリーでは100パーセント、ゲームでは80パーセントから60パーセントでいい」との指導だったが、それは川藤幸三氏(76)の助言だという。どのような経緯で阪神OBである川藤氏と話をしたのかは現時点で不明だが、サブロー監督は他にも、現役時代の恩師や先輩たちの助言をもとにキャンプの練習メニューを組み立てていた。
「入団直後にコーチ、監督としてお世話になった、故・山本功児さんには特に強い影響を受けたようです」(前出・球団スタッフ)
サブロー監督が指導者としてスタートを切ったのは23年。16年の引退から6年が経っており、その間は楽天イーグルスのファームディレクターも経験した。二軍監督として古巣のユニフォームを再び着ることになり、迷わず背番号に選んだのが、山本氏が付けていた86番だった。
「山本氏が二軍打撃コーチだったころ、早出特打ち、居残り練習、夜間の素振りと徹底的にバットを振らされたのがサブロー監督でした。山本氏は早出、居残りのどちらも最初から最後まで立ち会っていました。サブロー監督のほうからお願いして練習したときも同様でした」(前出・同)
サブロー監督は「そこは見習いたい」と話していたという。また、フルスイング同様、昨年の秋季キャンプから続けているのは「マシン打撃のときはボール球でも打つこと」。これはオリオンズ時代の大先輩である、落合博満氏(72)から習ったもの。その狙いは「どこに来るか分からないボールにどう対応するのか、多少のボール球でもヒットにできるようにする」ことだそうだ。
また、ボビー・バレンタイン監督(75)時代のデータ解析、作戦編成も参考にしている。猛練習の裏にはこうした先人たちの教えがあったわけだ。
「ルーキーイヤーから一軍の試合に出ていたキャリアの持ち主ではありますが、若手時代は外国人選手の加入などで、出場機会に恵まれなかった期間もあります。その間、ファームでお世話になった山本氏や、結果を出し続けている先人を見て学んだのだと思います」(前出・同)
厳しいだけでなく、明るさも
ルーキーイヤーに一軍を経験し、2年目以降にプロの厳しさを知り、再び這い上がってきた……といえば、今季、開幕マスクを任された松川もそうだった。昨季の一軍出場は僅か6試合でノーヒット。課題は明白だったが、今季はバットだけではなく、リード面を称賛する声も多く聞かれた。とくに11対0のワンサイドで勝利した第2戦を指して、「集中力を途切れさせず、登板した4投手を完封リレーに導いた」と、他球団のスタッフも褒めていたのは上述の通りである。
「サブロー監督は昨季途中に二軍監督から一軍ヘッドコーチに配置換えとなり、右バッターの被打率の高さで悩んでいた小島和哉(29)に、打者目線でイヤだと思う左投手の特徴を話したり、西川の打撃指導を行ったりもしていました。登録は捕手ですが、外野守備に就いてブレイクした寺地は、二軍時代に鍛え上げた一人です」(前出・スポーツ紙記者)
監督就任時の会見から掲げていた“昭和の猛特訓”だが、打撃練習では4班に分け、フリー、ティー、ロングティー、ベースランニングをさせた。練習メニューが多く、一日が長いチームはたくさんあるが、選手たちはその合間に着替えと称してコッソリ休憩を挟んでいる。だが、ロッテは4班に分かれた全員がグラウンドにいる形態なので中身の濃い練習となった。さらに「ガヤーズ」と命名し、ノック待ちの選手にも声を出させた。
「厳しいだけではなく、明るさも」がサブロー監督のチーム改革である。最下位からの逆襲は始まっている。
デイリー新潮編集部
