アイスランドでは「知的障害学生」をどう受け入れているのか、多くの人が知らない「実態」

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7人に1人、日本に約1700万人いるとされる「境界知能」の人たち。

言語化が苦手、仕事の段取りを覚えられない、行動がワンテンポ遅い、対人関係の距離感が極端、金銭管理ができない、ダマされやすい……困っているのに気づかれなかった人々の実態とは?

発売即重版が決まった話題書『境界知能の人たち』では、当事者を見てきた第一人者の医師が、全体像をわかりやすく解説する。

(本記事は、古荘純一『境界知能の人たち』の一部を抜粋・編集しています)

アイスランドにおける知的障害学生の受け入れ

アイスランドは、1980年代から「すべての子どもは同じ学校へ」という政策が実施され統合教育が進められてきました。一方、重度の知的障害や心身障害児などの教育の選択肢として特別学校は存続されています。

通常の学校に在籍する重度障害児には人員や経費を多く要することから、適切な配分がなされるようにという保護者らの要求にも応えたものです。

知的障害者の生涯学習の経験や高等教育への強い進学要求をふまえて、2013年に国立アイスランド大学教育学部に知的障害者のディプロマ(特定の教育課程修了証明)取得コースが設置され、正規に知的障害学生の受け入れが開始されました。

入学要件は高校における4年間の就学またはそれに相当する教育および職務経験があることで、知的能力に関係なく、学びたいという希望があれば進学できます。大学への通学が困難な場合は、大学教員が学生を訪れて授業をすることもあるようです。

知的障害学生は他の学生と一緒に勉強し、プログラムは各学生のニーズや興味・関心に応じて個別に計画されます。学習支援は、プロジェクト研究活動、講義への参加、ディスカッション、学校コミュニティへの社会参加を支援する、いわゆる「メンタリングシステム」(まだ慣れていない初心者をベテランが支えて協力するシステム)に基づいて行われています。

このような経験を積んで、大学を卒業したという自信が大きな力になっており、修了後に幼稚園教諭アシスタント、学校事務アシスタント、学童保育アシスタント、障害者福祉等のほか、彼らは全員なんらかの仕事に就いているとのことです。

さらに「日本に1700万人いるとされる「境界知能」の人たち…当事者を見てきた医師が明かす「その実態」」では、7人に1人いるとされ、知的障害と平均値のボーダーにある境界知能の実態に迫っていく。

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