「2日に一度しか寝られない」極貧生活も…津田寛治が明かす「下積み時代に事務所を辞めた“決定的な一言”」
そんな津田さんに、自身の名前をタイトルに配した主演作であり、リアルと虚構が入り交じっていく異色の“サスペンス”となった最新映画『津田寛治に撮休はない』の舞台裏に始まり、現在の「俳優・津田」につながるエピソードを聞いた。
--北野武監督の『ソナチネ』で映画デビューし、本当に多くの作品に出られてきました。成功後も、メジャー作品だけでなく、短編やインディーズ系の映画にも積極的に出演されていますが、ポリシーがあるのでしょうか。
津田寛治(以下、津田):いろんな仕事やってる人はかっこいいなとは思います。「売れたらこの仕事はやらないんじゃないか」とか選ぶようになったら、自分自身がつまらないなと。普段の生活にしてもね、たとえば「付き人がいて車移動でしょう?」とか思われたりすることもあるんですけど、普通に電車を使っているんですよ。車にしたこともあったんですけど、それだと家から目的地に着くだけなんで、予想外のものが飛び込んでこなくなるんです。それってつまらないなって。
--主演を務められた映画『津田寛治に撮休はない』は、それこそ、観客にとっていい意味で“予想外”の、リアルと虚構が入り交じる不思議な“サスペンス”になっていきます。「津田寛治」を演じられましたが、萱野孝幸監督からの事前の取材は一切なかったと聞いて驚きました。
津田:そうなんですよ。でも、脚本を読んだとき「やっぱり自分にすごく近い」というか、あんまり人に言ってないことも書かれてたりしていて驚きました。それに何よりすごく面白い脚本で。相当真剣にこの作品のことを考えていただいていたんだなというのが伝わってきて嬉しかったですし、監督の中で一番本当にやりたかったのっていうのがサスペンスなんだろうなというのも感じました。
◆監督の演出に「あ、俺は今『津田寛治』なんだ」と納得
--人間ドラマだと想像していたので意外でした。
津田:虚構と現実の境が分からなくなってしまった俳優が起こしていくサスペンスです。僕は知らなかったんですけど、WOWOWさんで同じ感じのタイトルのドラマシリーズがあるんですね。『だれだれの撮休』みたいな。
--ご存じなかったんですね。
津田:僕は知らなくて。ただ一般的には、そうしたドラマのタイトルも浮かぶし、一見それのパロディかと思いきや、全然違うサスペンスになっていくと。そうした計算も、監督の中にはあったのかなと思います。
--「自分を演じる」という体験は純粋にいかがでしたか?
津田:撮影中に、「いや、俺はその音量でここは喋んないけど」と監督に言ったことがあったんです。「俺は……津田は喋んないですよ」みたいに言ったら、「いやいや、津田さんじゃなくて津田なんです。(この映画の登場人物である)津田はその音量で喋るんです」って。「あ、俺は今『津田寛治』なんだ」ということはありました(笑)。
◆「映画を観るほど暇じゃない」極貧生活よりも辛かったのは
--津田さんは、ご著書『悪役』も出されています。「役者をあきらめようと思った瞬間はない」と書かれていますが、それでも若い頃の貧乏体験は相当過酷だったようですね。
津田:貧乏な時って、東京という街から“拒絶されている感”が半端ないんです。「俺ここにいちゃいけねえのかな」と感じてしまう。一間の部屋に毛布と、(福井県から)上京してきた時に持ってきたズタ袋があるだけ。冬は寒くて寝れなくて、2日に一度しか寝られないんです。お金かかるから電気は契約もしてなくて、夜はコンビニで買ってきたろうそくを立てて、本を読んでました。
