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よりアルファ・ロメオらしく進化

アルファ・ロメオのミドルサイズSUVを担当する『トナーレ』。3月17日、ビッグマイナーチェンジが施された新型が日本に導入され、都内でメディア向けの発表会が開催された。

【画像】アルファ・ロメオらしさを強調!イタリアらしい美と情熱が感じられる新型『トナーレ』 全86枚

2022年に『ステルヴィオ』の妹分として、扱いやすい大きさのCセグメントに属するトナーレが誕生。初代トナーレのデザインは、アルファ・ロメオというブランドの先入観で見ると、おとなしい印象だった。


3月17日、都内で新型トナーレのメディア向け発表会が開催。    上野和秀

しかし新型トナーレでは、ブランドの伝統と血筋を色濃く受け継ぐアグレッシブなスタイリングとされたのがなによりの特徴だ。アルファ・ロメオ・ファンにとっては、より好ましい姿になったといえよう。

新型トナーレは、イタリア本国では数多くのバリエーションが存在するが、日本にはベーシックな装備の『スプリント』(受注生産)とフル装備版となる『ヴェローチェ』が導入される。どちらもパワートレインは1.5L直列4気筒マイルドハイブリッドの前輪駆動となる。

また、新型トナーレからマイルドハイブリッド車の呼称が『イブリダ(Ibrida)=イタリア語で混ぜ合わせるの意味』に変更され、他のモデルも換えられてゆくそうだ。

2026年は実行の年と位置付け

発表会は、アルファ・ロメオCEOのサント・フィチーリ氏のビデオ・メッセージで幕を開けた。アンベールに続き、ステランティス・ジャパンの成田仁社長は、「2026年は実行の年と位置付け、成長と革新を確かな成果としてカタチにしていきます」と宣言。

「この動きを力強く牽引しているのがアルファ・ロメオ。昨年新型ジュニアを導入した結果、アルファ・ロメオの前年比は171%という大きな成長を記録しました。2025年における日本の主要輸入車中で、最も高い成長率です。

効率や実用性が重視される中、美や官能、情熱といった人の心を揺さぶる感性の体験が求められており、アルファ・ロメオはこれまでもその期待に応えるブランドであり続けてきましたし、今後もそうありたいです」

往年のモチーフを盛り込んだエクステリア

新型トナーレは初代とほぼ同じディメンジョンだが、全長は10mm短縮され4520mmとなった。これはフロントオーバーハングを短縮したもので、拡大されたトレッドあいまってノーズの凝縮感が高められた。

まず目に入るのが、アルファ・ロメオを象徴する盾型グリルが変わったことだ。近代のモデルでは、ブラックの斜め格子グリルが採用されてきた。新型トナーレでは1971年に登場した2000GTVで採用され33ストラダーレでも用いられた横格子のモチーフにより、表情を引き締めた。


初代とほぼ同じディメンジョンだが、全長は10mm短縮の4520mmに。    上野和秀

盾型グリルの横に位置する『アゾレ』(イタリア語でボタン穴)と呼ばれる縦長のインテークは、往年のグランプリで大活躍したティーポB P3のラジエター回りのデザインを想起させる。

あわせてアグレッシブなロワーインテークは、ジュニアとのファミリー感を高めている。左右下に位置する大きな開口部は、ジュリアGTAとGTAmの象徴的な形状を受け継ぐ精悍な印象を放つ。これらはデザインだけではなく、本質である冷却効率を高めると共に乱流の低減を実現している。

エンブレムはクロームにブラックの構成

これまでフルカラーだったエンブレムは、ジュニアから始まったクロームにブラックというモノトーンの構成にされ、精悍なイメージ創りに貢献している。

ヴェローチェのエクステリアで最も目に付くのが『円』モチーフとしたホイール。アルファロメオ伝統のホイール・デザインである『円』を突き詰めた、3つの円で構成される20インチの『フォリ』と名付けられたホイールだ。アルファ・ロメオの力強さとダイナミズムを伝える印象的なデザインといえる。

ホイールの開口部から専用設計のブレンボ製ブレーキ・キャリパーがのぞく。3ホール・デザインにより、これまで以上にキャリパーが強調される演出がなされている。またブレーキシステムは、最先端の電動式のブレーキ・バイ・ワイヤ・システムが、先代から引き継がれた。

パワーユニットはマイルドハイブリッドを搭載

新型トナーレは、マイルドハイブリッド版のみが導入される。

ノーズに収まる1.5リッター直列4気筒DOHC直噴ターボエンジンは、最高出力160ps、最大トルク240Nmを発揮する。そこに20ps/55Nmを発生する電動モーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッド・システムを採用し、統合出力は175psに達する。


新型トナーレは、マイルドハイブリッド版のみが日本導入される。    上野和秀

スペック的には先代と変わらないが、可変バルブ・タイミングの最適化、変速タイミングの調整、ハイブリッド・コントロールの改良により、レスポンスが改善され、よりスポーティなドライビングを実現。これらの改良により0-100km/h加速は先代に較べ0.3秒短縮した8.5秒に向上している。

そこに7速デュアルクラッチ・トランスミッションが組合わせられる。マイルドハイブリッドのため走行用リチウムイオン・バッテリー容量は0.77kWhと少ない。

しかし、発進から約15-20km/hまでは電動走行が可能で、燃費のアシストのほか住宅地で早朝深夜の出し入れ時に気を遣わないで済むことも見逃せない。動力性能は欧州発表値では、0-100km/h加速は8.5秒をマークする。燃料消費率は16.6km/L(WLTCコンビネーション)となる。

サスペンションは前後マクファーソン・ストラット式を先代から受け継ぐが、前後トレッドが8mm拡大されている。走行安定性の向上に加え、見た目の安定感も高まった。

ステアリング・ギアボックスはラック&ピニオン式で、速度感応式の電動アシストが備わる。ヴェローチェには最もクイックな13.6:1のレシオが組まれる。

ベテランファンも納得のインテリア

インテリアは基本的に先代のデザインを受け継いでいる。往年の2000スパイダーや2000GTVを想起させるふたつのメーターナセルがアルファ・ロメオの血統であることを主張する。

ドライバー正面に12.3インチ、ダッシュ中央に10.25インチのタッチ式ディスプレイを配置する。速度計と回転計のグラフィックは往年のアルファ・ロメオのメーター・デザインを再現したもので、指針中央の金属部分の質感も見事に表現されており、ベテランファンも納得の仕上がりだ。


上野和秀

ヴェローチェのフロントシートはナチュラルレザーで、8ウェイ電動調整機能に加え、4ウェイ電動ランバーサポート、ヒーター&ベンチレーションを備えたプレミアムシートを採用する。

デビュー時は一般的な直動式シフトセレクターレバーだったが、2025年モデルからロータリーセレクト式に変更され、新型トナーレでも受け継がれた。センターコンソールにはアルファロメオに欠かせないDNAドライブモード・セレクターが備わる。その中央のボタンでダンパーの減衰力を変えることができる。

物理スイッチでコントロールできる

空調やオーディオなどは、物理スイッチでコントロールできるのはもちろん、分かりやすい表示のディスプレイ部分でも操作できる点は評価したい。人とのコミュニケーションを大切にするイタリア人の嗜好で作られたことが分る。

細かな点としては助手席正面のダッシュボードは、アルファロメオの象徴である『ビスチョーネ(大蛇)』の肌から着想を得た模様とされ、アンビエント・ライトにより淡い光が放たれ洗練された雰囲気を演出する。アンビエント・ライトのカラーは5色から選ぶことができる。

センターコンソール中央には、USB AとCのコネクターに加え、ワイヤレス・チャージャーを装備。携帯電話を保持するゴムマットにはビスチョーネが描かれマニアを泣かせる仕上げとされている。

ワイヤレス・アップル・カープレイおよびアンドロイド・オート、ソフトウェアを常に最新の状態に保つOTA(Over-The-Air)アップデートにより、完全なコネクティビティを実現した。

ボディカラーは5色を用意

日本に導入される新型トナーレは実質ヴェローチェの1グレードとなる。ボディカラーは新たにイメージカラーでスペシャル・メタリックのブレラ・レッドに加え、メタリックのモンツァ・グリーン、ヴェスヴィオ・グレー、ソリッドカラーのアルファ・ホワイト、アルファ・ブラックの5色が用意される。

シートはヴェローチェの場合ブレラ・レッドとモンツァ・グリーンではブラックのみとなるが、他の3色(グレー、ホワイト、ブラック)のボディカラーはブラックとレッドを選択できる。なおスプリントのシートはファブリックのみとなる。


こちらはモンツァ・グリーンで、合計5色が用意される。    上野和秀

安全面では、ユーロNCAPの5つ星評価が示す最高水準を確保。高度なレベル2運転支援機能パッケージ、レーンセンタリング機能付きインテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロール、渋滞支援システム、ブラインドスポット検知、後方横断物検知、ドライバー注意力監視に加え、交通標識認識システム、歩行者・自転車検知機能付き自動緊急ブレーキを備える。

オーディオは465Wのアンプと14個のスピーカーで構成されるハーマン・カードン・プレミアム・オーディオシステムを標準で装備する。

価格はヴェローチェが653万円

新型トナーレは3月17日から全国のアルファ・ロメオ正規ディーラーで発売となった。気になる新型トナーレの車両本体価格はヴェローチェが653万円、ベースグレードとなるスプリントは599万円と発表された。

なおスプリントは受注生産車となり、日本で受注後にイタリア本国にオーダーするため納期が長くなる。

日本で扱い易いCセグメントSUVカテゴリーに属する新型トナーレは、イタリアらしい美と情熱を感じさせるスタイリングと走りが魅力の1台といえよう。