『冬のさ、春のね』否定派がやっとわかった主人公の意味。40代が感じた“懐かしさ”の正体とは
職業が小説家という浮世離れした設定だからかもしれませんが、だとしても主人公やその周辺の人々のライフスタイルは、現代のリアルとはかけ離れています。ただ、30代後半から40〜50代が青年期を過ごしていた90年代から00年代には、そんな空気感がありました。
20代の頃は自身も女友達もタバコも吸っていましたし、氷河期だったので有名大卒でも夢追いフリーターが周りにかなりいて、クラブやカフェ巡りをしたり、厳しい時代だった一方、美しい時間でした。
◆かつての若者にも現代の若者にも刺さるはず
以前、三谷幸喜氏は『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)を執筆の際に、あるYouTubeチャンネルで「今の時代の人々は自分は書けない(だから、80年代を舞台にした若者を描いた)」と語っていました。
それとは逆に、今泉氏は自身の時代のリアルを現代劇で貫き通したように思えます。結果、多くの人の心は掴まないけれど、刺さる人には強烈に刺さるドラマになったのではないでしょうか。
とはいえ、20代という年代は今も昔も不安定で自由な世代です。たとえ時代や環境が違っても、通じる想いはあるはず。実際、高評価のレビューの中には若い人の声も多数存在します。このキラキラした1時間を、現代の若者が「共感できない」「退屈」というだけで離脱するのはもったいない。
残り話数は少ないですが、物語の終わりの見えた今だからこそ、見やすくなっている部分もあるはず。各配信サイトなどで今からでも見て欲しい作品です。
<文/小政りょう>
【小政りょう】
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

