【インタビュー】PassCode、 南菜生が語るシングル「Liberator」の無垢な強さと自由への決意「大事なのは“この4人である”ということ」

PassCodeが3月4日、フルアルバム『INSIGNIA』から約9ヶ月ぶりの音源となるCDシングルをリリースした。表題曲「Liberator」は2026年1月クール TV アニメ『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』のオープニングテーマ。重厚なバンドサウンドの中核を突き抜けるシャウトや壮麗なクワイアコーラスは素晴らしく、これまでの約10年の経験と、新たに進む真っ直ぐな道を重ね合わせた4人の現在地でもあるようだ。
はたして、ラウドロックを歌うアイドルなのか。アイドルの佇まいをまとったラウドロックなのか。「Liberator」はそんな概念を木っ端微塵に吹き飛ばす、痛快にして爽快な仕上がりだ。「歌詞は自分達にも重なる」とは、このインタビューでの南菜生の言葉だが、葛藤の中で確立した独自的なスタイル、ライブでのオーディエンスとの至近距離のやり取りの中で掴んだ自信、そして自らの未知を楽しみながら歩む決意が、“足枷を解いて羽ばたくの”という一節に凝縮されているようでもある。
CDシングル「Liberator」初回限定盤Blu-rayに映像収録された、日本武道館以来約3年9ヶ月ぶりのアリーナ公演『2025.11.9 PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 “DESTINEX”』を振り返りながら、PassCodeの今を南菜生に語り尽くしてもらったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■自然体でいられることが
■今の自信に繋がってます
──2025年11月に行われた横浜BUNTAI公演の映像を拝見したんですが、「セットリスト全曲を当てた方にオリジナル楽曲を書き下ろします」という企画についてのMCにびっくりしたんですよ。そもそもセットリスト全曲なんて当たるはずがないと笑いつつ、観客に楽曲をプレゼントすることを「豚に真珠」と表現されていたじゃないですか。あれが凄いなと思って。
南:はい(笑)。悪口が過ぎるっていう。
──悪口というよりは、観客と音楽に対しての態度が一貫して毅然としている方だなと思ったんです。ファンとの絆を大事にしつつもPassCodeの選択を委ねることはしないし、あくまでも自分達自身で道を作っていくという意志がはっきりと伝わってくるシーンだったし、そういう意志のもとに突き進んでいくライヴだと感じたんです。で、まさにそういう意味での強さがストレートに入っているのが「Liberator」だと思いましたし、理路整然としたポストハードコアをここまで直球でやった曲は、実は今までになかったんじゃないかなと。南さん自身は、どう感じている楽曲ですか。
南:2024年にバンダイナムコミュージックライブ(以下、バンナム)に移籍してからは、アニメタイアップが増えたこともあってPassCodeっぽいシャウトを抑えた爽やかな曲が多かったんですね。でも今回の「Liberator」は、『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』のオープニングテーマをいただくときに、「PassCodeらしいシャウトやメタルの要素が似合うと思ってオファーしました」と言っていただけたとのことだったので、それなら求められていることをストレートにやろうと思いましたし、今までやってきたことをアップデートできたらいいなって。そういう意味での強さがある楽曲だと思いますし、アニメの主人公に寄り添った歌詞ではありつつ、自分達自身の歌でもあると感じられるんですよね。嘘っぽくないというか。

──歌詞のどういう部分に対して、そう感じます?
南:この歌詞は、自分達の歩みもまた表している気がしていて。PassCodeを十数年やってきて今年メジャーデビュー10周年を迎えるんですけど、振り返ってみると、最初の頃は与えられたものを必死にやっているだけだったんですよ。でも今は、私達自身から出ているものをプロデューサーの平地(孝次)さんや作詞家の方が汲み取ってくれているので、曲と自分達が合致している感じがするんです。嘘っぽくならないし、制作でも難しさを感じる場面はそんなになかったですね。
──2000年代から2010年代のポストハードコアをドンとやっている曲で、PassCodeっぽさのひとつになっている強引なトランジションも少なく、行くところは行く!という展開で最後まで駆け抜ける。こういったストレートさも、ご自身が呼んだものだということですよね。だとすれば、今の自分達からはどんなオーラが出ているんだと思いますか。
南:PassCode自体が確立されてきたんやと思います。もっと言えば、私達4人のやることがPassCodeなんやっていう順番になってきたというか。平地さんは「ライヴを観た上で、ライヴに必要な曲を作っている」とおっしゃっていたんですけど、それはつまり、“女の子が踊りながら重たい曲をやっていたら面白いでしょ?”っていう部分が抜けて、純粋にPassCodeとして確立されてきたっていうことやと思うんです。まだ公開されていない、とある映像でも、平地さんが「アイドルが激しい曲をやるのが面白いっていう感じでやってきた。でも彼女達が10年続けてきた中で、純粋にライヴでやったら面白いと思う曲を書くようになった」とおっしゃっていて。昔は、平地さんが他のアーティストに楽曲提供するとヤキモチを焼くことがあったんですよ。その曲はPassCodeでもやれるやん、みたいな。でも今はそんなことがなくなって、なぜこの曲を私達が歌うのか、なぜあの曲はあのアーティストが歌うべきなのかが自分でもわかるようになってきたんですよね。用意された個性ではなく、自分達の意志を表現する場所がPassCodeになった。それが一番大きいことかなと思います。

──アイドルとヘヴィミュージックをかけ合わせることが面白いんじゃなくて、PassCode自身が面白いんですよっていう変化ですよね。その確立を感じられたのは、いつ頃のことですか。
南:どうやろ……ここ2〜3年のことじゃないですかね。(有馬)えみりが加入して新体制になったのが2021年ですけど、今の4人で固まってからの数年で急激に、与えられているのではなく自分達の意志で進んで行くっていうことが明確になってきました。2022年の武道館公演ももちろんポジティヴな要素ではあったんですけど、そういう大きなライヴによって何かが変わったというより、あくまで自分達自身の変化だと思うんですよね。メンバーが変わると、そのメンバーにいくら技術があったとしてもチームになるには時間がかかるじゃないですか。そういう意味で、今の4人とスタッフ全員がチームPassCodeとして固まったと感じられたから、余計なことを考えず、素直な自分達でやれるようになりましたね。そういう意味でも「Liberator」の歌詞は自分達にも重なるんですよ。大切にしたいものって、自分にとっての強さになるじゃないですか。『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』というアニメはそういうメッセージが込められている作品やと思うし、そこが、それぞれに大事なものがあるということを理解し合えているPassCodeにもフィットする部分なんですよね。それこそPassCodeの音楽性の話にも繋がる話ですけど、私達は激しい楽曲をやっているにもかかわらず、メタルを日頃から聴いているのはえみりだけなんですよ。逆に言えばヘヴィミュージックに対して本格志向になり過ぎないからこそ広いフィールドにアプローチできるのがPassCodeの大事な部分だと思っているんですけど、えみりはえみりで、メタルはこう在るべきや!っていう信念を持っていて。そういうお互いの気持ちがぶつかり合うのではなく、調和する方向で曲を作れているのが今なんですよね。型に縛られず自由でいられることの強さも、こだわりや信念を持っている人の強さもある。それがチームとしての強さに繋がるということを学んできましたし、個々に大事なものがあるから強い集団になってこられたのがPassCodeなんです。そういう意味で、「Liberator」はPassCode自身に重なる歌やなって思いますね。

──南さん自身の信念に重なる歌でもある。
南:はい。私自身は、自分のことを“何も持っていない人”だと思ってるんですよ。歌も上手じゃないし、曲を作れるわけでもない。足りない部分のほうが多い人間やと自認してるんですけど、でも私はPassCodeの一番のファンなんですよね。自分自身が何かを持っているわけじゃないけど、でもPassCodeのことを一番大事に思ってる。劣等感があるからこそ、PassCodeで表現できることがあると信じてるんですよね。それが私の強みになっているし、いろんなものを持ち過ぎていなくてよかったなって今は思ってます。何も持っていないがゆえに、いろんな挑戦ができるし。
──なるほど。先ほどおっしゃったPassCodeの確立とは、南さん自身の解放でもあるのかもしれないですね。ラベルを必要とせず、完璧ではない自分を素直に打ち明けて、自分のままでどこへでも行けるようになった。
南:そう思います。私自身の転機として思い当たることがひとつあって。……チームの人達は「あなたの思うことを正解にしていけばいいよ」と言ってくれるし、ここ2〜3年は特に、歌の重要なパートを私に任せてもらえることが多いんですよ。でも私はずっと「私でいいのかな?」っていう感覚を持っていたんです。で、バンナムに移籍して最初の曲(「WILLSHINE」2024年9月発表)の歌い出しを任された時も、こんな大事なタイミングで一発目に流れるのが自分の声でいいのかな?って思ってしまって。それまでは自分から言い出すことはなかったんですけど、その時初めて、「このパートは私で大丈夫なんですか?」って訊いてしまったんです。そうしたら「あなたの声だから意味がある箇所なので、自信を持ってやってください」と言ってもらったんですよ。私が自信を持てていなくても期待してくれる人がいるって、それはわかってはいたんですけど……改めてそのタイミングで、もっとPassCodeを信頼すべきだ、だとすればもっと自分を信じるべきだと思えました。そこが私個人のターニングポイントだった気がします。

──意外と最近のことなんですね。
南:特にライヴでは強い言葉で喋ってきたのに、本当は自信がない。でも正直に自信がないと言ってしまうと、PassCodeの南菜生はこうじゃないといけない!っていう部分が壊れてしまう気がしてたんです。だからこそ強い言葉を鎧にしていたし、事務所やチームからも「任せた」と言われて、矢面に立ち続けて……“私がなんとかしなくちゃいけない”と思って背負い込んでた部分がたくさんあったんです。でも、自分の自信のなさを告白できた時にやっと“メンバーやチームを頼っていこう”というふうに気持ちが変化したというか。そう思えた時に、本当に身軽になった感覚があったんですよ。だから今言われた通りで、身軽にどこへでも行ける状態になれて、自然体でいられることが今の自信に繋がってます。

■真面目な感じに見られたかった(笑)
■イロモノじゃなく見られたかった
──この4人であること自体がPassCodeの強さだと言い切れるようになったのも、南さんが南さん自身を赦せたからなんでしょうね。それによって、それぞれの大事なもの持ち込める場所になっていったというか。
南:そうですね。メンバーやチームのことが大事なのは昔からなんですけど、それぞれがより自由で楽しく続けられる場所にしたいと思うようになりました。これはあんまり話してないことですけど……今も、元メンバーの今田(今田夢菜/2021年に体調不良により勇退)と連絡をとったりご飯に行ったりすることがあるんですけど、やりたくてもやり切れなかったメンバーがいる中で、私達は新しいメンバーを迎えて続けることを選んでいるわけじゃないですか。そう考えると……こう在りたいとか、売れたいとか、いろんな気持ちがあるけど、何より、自分が楽しいと思えるPassCodeを作り続けることが一番大事やと思うんですよね。そういう意味でも、芯は変えずにいろんな挑戦をしていけたらいいし、続けたかったなって思ってもらえるグループでいたいじゃないですか。あんなグループ辞めてよかったとは思われたくない。それがこの先に対して考えていることですね。


──前作『INSIGNIA』の豊かなバラエティも、そういう感覚から生まれてきたものかもしれないですよね。ハイでバキバキでラウドな楽曲に留まらず、いわゆるJ-ROCK的な楽曲も、シンセよりギターがモノを言っている楽曲も増加している。先ほどの「鎧を着ていた」という話にも通じますが、実はいろんなジャンルの成功法を避けることでユニークさを演出してきたのが、今ではこの国におけるストレートな音楽性を真っ向からやれるようになってきた。今回の「Liberator」はまさにそうですけど、ストレートをやることがむしろ新しい世界に繋がるという逆説的な新鮮さが今のPassCodeにはありますよね。
南:本当に『INSIGNIA』(4thアルバム / 2025年6月発表)ではいろんなことができたと思っていて。振り返ると、インディーズの頃のほうがもっといろんな楽曲をやっていたと思うんですよ。可愛らしい楽曲もあり、ハードな楽曲もあり、おもちゃ箱みたいな感じだった。でもそれは、ただやりたいことだけを詰め込む遊びの延長線上だった気がしていて。そういう部分がアップデートされたのが今のような気がしますし、自由で身軽になったからこそ、シンプルなことも真っ向からやれるようになったんやと思います。
──そもそもアイドルとラウドミュージックの合体自体が節操のないことですし、音楽の起源や思想に関係なく、勝手に音楽を混ぜてしまえることが日本の独自性になってきたと思うんです。その中でPassCodeの音楽は特に、アイドルという器の中でレイヴミュージックとラウドミュージックとJ-POPをごちゃ混ぜにする音楽闇鍋ですよね。そういう日本的な音楽の節操のなさは長らく“ガラパゴス”と揶揄されてきたわけですけど、ストリーミングサービスが台頭して世界中の人が音楽を横並びで聴けるようになって以降は、その“ガラパゴス”が“世界唯一の独自性”に反転してきた。音楽の土壌自体が変化したというか。そうやって音楽の土壌を俯瞰してみても、この節操のない音楽スタイルで動きやすくなったところはあったんじゃないかなと思うんです。こう言われてみて、ご自身はどう思います?


南:この数年の土壌の変化でいうと、コロナ禍でのライヴが大きかったですね。人と人の間のスペースを空けて、ひとりでライヴに没頭せざるを得なかったじゃないですか。なのでアグレッシヴな音楽よりもひとりで没入できる音楽のほうが体験しやすい状況だったわけですけど、アグレッシヴな音楽を軸としてやってきたPassCodeはどうしたらいいのかな?と思って。その時に考えたのが、そもそもいろんなスタイルを混ぜてきたグループなんやから、このままのPassCodeでもいろんなお客さんにアプローチできるはずやっていうことだったんですね。それでライヴを続けて、実際に新しいお客さんも観に来てくれるようになったんですけど、コロナ禍前の感じでクラウドサーフをするお客さんと、それに慣れていないお客さんが共存するようになったことで、ライヴが上手く機能しない時期もあったんです。だけど私は対話することを大事にして。時にはお客さんと喧嘩することもありましたけど(笑)、誰よりも自由に音楽と人を混ぜる場所にしていこうと決意できたのはその時期でしたね。
──そういう対話であり、そういう喧嘩ですね(笑)。
南:はい(笑)。女の子だからとか、ヘヴィな音楽だからとか、そういうラベリングを取っ払って、とにかく自由な場所にしていきたいと思った。それが楽曲のバリエーションとか、さらに自由なスタイルに繋がっている気がしていて。逆に言うと、ずっと孤独な場所で活動しているグループだとは思うんですけどね(笑)。この先輩についていくとか、この界隈と仲よくするとか、そういうことがなく、本当に節操なく自由にいろんなものを取り入れて活動してきたから。もちろんそれが人の真似にならないようにすべきですし、その上で大事なのが、やっぱり“この4人である”っていうことなんですよね。用意されたものではなく、自分達自身が感じることを素直に発していくこと。やっぱりそれが一番のオリジナリティになるんやと思います。音楽的にも見せ方的にも“PassCodeはこうじゃないといけない”っていうのがなくなって、どんどん人間に根ざすようになってきたというか。なので、もし盆踊りみたいな曲がきても今は驚かないんじゃないですかね。

──盆踊り、いいじゃないですか。
南:はははははは。本当に、盆踊りをやったとしても驚かないくらい、節操なく自由なグループになってきたんですよね。実際、平地さんは、土着的な感じをやりたがってるんですけどね。沖縄の音楽とかが好きなので、平地さんは。昔はそういうトリッキーな曲が来たら“見られたいPassCode像と違うなあ”とか思ってたんでしょうけど。
──どう見られたかったんですか。
南:真面目な感じに見られたかったです(笑)。洗練された印象というか、イロモノじゃなく見られたかった。なぜかと言うと、散々イロモノ扱いされてきたので。女性アイドル、メタル、シャウト……今でこそ「節操なく自由にやりたいです」と言えますけど、いろんなものがゴチャっと混ざっている音楽はやっぱりイロモノとして受け取られることが多かったんですよね。だからこそMCや発信がストロングスタイルなものになっていたんでしょうし、正統派に見られたい気持ちが先にあって鎧を着てた気がするんです。でもそうじゃなかったんですよね。そもそもいろんなことができるグループだったわけだから。見られたい自分でいることよりも、どこにでも行ける自由な自分であることが大事なんですよね。どんどん新しいことをやって、いろんな仲間を増やしに行きたい。

■自分は自分の言葉に救われてた
■それこそ私がステージに立ち続ける理由
──そういうタイミングにドンズバな作品だなと、改めて感じました。「Liberator」は、Cメロまでシンセのビコビコが登場せず、ギターのヘヴィなリフとサビメロのコントラストで押し切っていくポストハードコア。対して「AWANE」はシンセのフレーズが軸になった十八番のダンスチューン。そして「Every time, I knew」はメタルから2ビートのセクションへ雪崩れ込むショートチューン。どれも、PassCodeの持っている要素を抽出してストレート化させた楽曲だなと思うんですが、これまでの楽曲でいろんな音楽を混ぜまくってきたことを思うと、“ストレートという新しさ”を感じさせるのが今回の作品のいいところだなと思いました。
南:プロデューサーから最初に上がってきたのが「Liberator」と「Every time, I knew」の2曲で、どちらも硬派じゃないですか。なのでもう1曲は、PassCodeらしい遊びのある曲がいいと思ってたんですよ。遊び心もまた、PassCodeにとって大事な要素なので。だから、持っているものをストレート化した3曲というのはその通りだと思います。それでも「AWANE」は変な曲っちゃ変な曲なんですけど(笑)、4人で歌ってみたらやっぱりPassCodeっぽくなるんですよ。それこそ、アイドルが重たい曲をやるのがPassCodeになるわけじゃなくて、この4人でやることがPassCodeになるっていうことですよね。それを実感できたのが「AWANE」であり、この作品なんじゃないかなと思います。私はずっと、自信がないゆえに“自分がPassCodeをやる意味”を探していたんですけど、ここ何年かは、この4人じゃないとこうならない!っていう実感が生まれてきて。自信を持ってPassCodeを全開にできている。それがわかりやすい3曲のような気がしますね。
──4人の人間的な部分に根差した楽曲であることは、何より音からも感じます。『INSIGNIA』辺りから片鱗はありましたが、オートチューンがかなり薄くなって、4人の元々の声質が歌のカラーに映るようになってきたことが印象的な作品でもあるんですよ。
南:確かに、そうなんですよね。
──で、4人のユニゾンはさらに塊感が増している。おそらくミックスの方向性自体が変化してきていると思うんですけど、その辺りはどう感じてらっしゃいますか。
南:年々、人間っぽくなってますよね。ライヴを観た上で曲を書いてくれているからなのか、サウンドにしても歌詞にしてもストレートなものがどんどん増えてる実感があって。言われた通り、昔は構成も行ったり来たりが多くて、Aメロ、Bメロ、Cメロ、Dメロ、Eメロ…何メロまであるの?っていう展開だったわけですよ。でも年々、ストレートで人間っぽい曲になってきたというか。脱ロボット(笑)。本当に、真っ向勝負を避けることでユニークさを作ってきたところはあると思うんですよ。だからこそ、ストレートをど真ん中に投げるのも面白くない?っていうことに気づけたというか。どの曲をライヴで育てていこうか?っていう部分でも、ストレートな曲を軸にするようになってきた気がするんですよ。『INSIGNIA』の最後に入っていた「Clouds Across The Moon」もそういう曲で、シングルのリードではなかったですけど、バーン!と終わるだけじゃなくてじんわりとした余白を残して終わるライヴもいいよねっていう話をして、半年くらいは最後に「Clouds Across The Moon」を置いて終わるようにしてたんです。ブチ上がって終わるのも大好きですけど、今のライヴの組み方としては、PassCodeが続いていくことを感じてもらえるようなストーリー性を大事にしていて。そういう意志をストレートに伝えるようになってこられたんじゃないかなと思います。
──ストレートとはまさに、鎧を脱げたことの表れですよね。
南:自分の弱さを曝け出せたことで、取り繕うものがなくなったので。ストレートなものがしっくりくるようになったのは、それが本当に大きいですね。4人でステージに立っていること自体が意味になるっていうのは、ストレートなもののほうが伝わるので。これは「ストレートにしていきましょう」っていう話し合いをしたわけでもなく、自然な変化なんですけど。逆に言えば、4人が自分らしくやることがそのまま曲のストレート化に繋がっているんでしょうね。

──マインドの変化とサウンドの変化。それが相まって、耳より心に近い音楽になってきたと思います。それに、曲ごとに“和”を感じるメロディが増加してきたこともトピックのひとつだなと感じていて。日本ならではの要素を増強することで、“アイドルとラウドミュージック”という日本ならではのミクスチャーを屋号にするより、純粋に音楽として広い世界に開いていきたいという意志がここに表れているのかなと邪推したんですけど。
南:それは単純に、平地さんの好みのような気がします(笑)。世界に行くぞ!みたいな計算ありきではないと思いますね。ただ、3年前にアメリカツアーをやった時に感じたことが私にとって大きくて。やっぱり私は人の心を動かす瞬間が好きで。でも日常生活の中で、自分の表現によって大勢の人の心が動く瞬間を見られることは少ないじゃないですか。だからこそ私はステージに立ち続けていると思うんですけど、言葉が通じない国の人にも伝わるかどうかは未知数なので、アメリカでライヴをすることが本当は怖かったんです。でも実際にやってみたら、言葉が通じない中でも、たくさんの人の心が動く瞬間を感じられて。なので、そういう挑戦も今後できたらいいなっていうのは思います。
──この面白い曲達が連れて行ってくれるといいですよね。
南:ね。バンナムに来てからはアニメのタイアップも増えているので、そういう挑戦の機会が増えたら面白そうやなって思ってます。
──自分の心に敏感で、人の心を動かすことが好きで、人の心に興味があるのはどうしてだと思いますか?
南:私は、鬱になったことがあって。<ZENITH TOUR>(2017年開催)の時に、メンバーの体調不良などもあって背負い切れなくなってしまったんですよ。気づいたら涙が流れてきて、本当に絞り出さないと仕事にも行けない状態になってしまった。で、病院で診てもらったら「すぐに休んでください」って言われたんですけど、もうツアーも始まるし、私がステージに出ないと成り立たないじゃないですか。それで何とか気持ちを奮い立たせてツアーを走り出したものの、初日に声がまったく出なくて。それでも何とか歌わなくちゃいけないと思ってツアーを走り切ったんですけど……やっぱり私は、ステージの上では強い言葉を話せるし、その言葉が元気のない自分を引っ張り上げてくれるんだと実感できたんです。そう実感してから、元気のない症状が治ったし、自分は自分の言葉に救われてたんやなって。これはすごく不思議なことなんですけど、それこそ私がステージに立ち続ける理由なんですよね。私はフロアに対して言葉を放っているようで自分の心に対して言葉をかけているんやろうし、自分に対して話している言葉だからこそ、それが人に響いている瞬間が好きなんです。なので、それを大事にして歌い続けたいなって思い続けてますね。
取材・文◎矢島大地


■シングル「Liberator」
2026年3月4日発売
【初回限定盤(CD+BD)】LAMR-34040 \8,250
【通常盤(CD)】LAMR-4040 \1,540
▼CD | DISC1 ※初回限定盤・通常盤共通
01. Liberator
02. AWANE
03. Every time, I knew
04. Liberator -Instrumental-
05. AWANE -Instrumental-
06. Every time, I knew -Instrumental-
▼Blu-ray | DISC2 ※初回限定盤のみ
<PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 “DESTINEX”>
DESTINEX | ONE STEP BEYOND | Ray | VIRIVIRI | SKILLAWAKE | Club Kids Never Die | FLAVOR OF BLUE | Future’s near by | Voice | Liberator | MIRAGE WALKER | GROUNDSWELL | Freely | Anything New | アスタリスク | MISS UNLIMITED | Tonight | rise in revolt | WILLSHINE | It’s you | Echoes | Clouds Across The Moon
※with Audio Commentary

■<Liberator Release Tour 2026>
3⽉13⽇(金) 愛知・名古屋ElectricLadyLand
open18:30 / start19:00
3⽉17⽇(火) 東京・代官⼭UNIT
open18:00 / start19:00
3⽉18⽇(水) 東京・代官⼭UNIT
open18:00 / start19:00
3⽉23⽇(月) 大阪・OSAKA MUSE
open18:30 / start19:00
3⽉24⽇(火) 大阪・OSAKA MUSE
open18:30 / start19:00
▼チケット
オールスタンディング ¥5,800(税込/D代別)
学割チケット ¥3,800(税込/D代別)
※Linkageメンバー皆様に各地デザイン別ピクチャーチケットプレゼント
https://eplus.jp/passcode2026/
関連リンク
◆PassCode オフィシャルサイト
◆PassCode オフィシャルX
◆PassCode オフィシャルInstagram
◆PassCode オフィシャルFacebook
◆PassCode オフィシャルYouTubeチャンネル
