子どもが「YouTuberになりたい」と言ってきたら…元外資系投資銀行トレーダーのママによる"流石すぎる"答え
※本稿は、池澤摩耶『子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育』(光文社)の一部を再編集したものです。

■「将来の夢がお金持ち」は健全である
「将来の夢は?」と聞かれて、「お金持ちになりたい!」と答える子どもたち。
以前は、そんな言葉を聞くと周囲の大人たちは苦笑いをしたり、「もっと人の役に立つ夢を持ちなさい」とやんわり否定する場面も少なくありませんでした。
でも私は思います。
「お金持ちになりたい」って、ものすごく健全な夢だと。
自由な人生を送りたい、大切な人に好きなことをさせてあげたい、叶えたい夢を叶えられるだけの力がほしい。そんな気持ちがあるからこそ、お金という道具を手にしたいと思う。それは人としてごく自然で前向きな願いです。
そして、そうした個人の素直な欲求が、経済を元気にしていく原動力でもあるのです。
では、親としてそんな「お金持ちになりたい子ども」をどう支えたらいいのでしょうか?
一番大切なのは、「否定しないこと」。
子どもが「将来はお金をたくさん稼ぎたい」と言ったとき、「下品」とか「欲深い」と決めつけてしまうと、その芽はつぶれてしまいます。
■親にできる最初の“後方支援”とは
まずは、その気持ちをまるごと受け止めて、「どんなふうにお金持ちになりたいの?」と問いかけてみてください。それが起業なのか、アーティストとしての成功なのか、投資による資産形成なのか。
子ども自身が言葉にしていくことで、その夢はだんだんと“実行可能な構造”を持ち始めます。
さらにその夢に“値札”をつけてみる。
「その夢を叶えるには、いくらくらいかかるのかな?」
そう問いかけていくと、数字が出てきて、より現実的な目標になります。そしてその目標があるからこそ、「じゃあ、どうやってそこに行こうか?」という次のステップが見えてきます。
子どもの夢を真剣に扱うこと。それが、親にできる最初の“後方支援”です。
たとえば、娘が「将来はアーティストになりたい」と言ったとき、私たちは一緒に夢に“値札”をつけてみました。
絵を描くには、画材が必要。個展を開くなら会場費もかかる。SNSで発信するにも機材や時間が必要。どこに住みたい? どんな生活がしたい?
そうやってひとつずつ現実を積み上げていくと、年間200万円くらいは最低でも必要だね、というおおまかな数字が見えてきました。
■「収益化には何本投稿すればいい?」
そこで、次の問いが生まれます。
「じゃあ、それをどうやって稼ぐ?」
絵を上手に描くだけではなく、それを“届ける力”、つまりマーケティングやビジネスの視点が必要なんだと、娘と一緒に気づいていきました。
同じように、「YouTuberになりたい」という夢にも現実的な準備はつきもの。動画撮影の機材、編集ソフト、投稿にかかる時間、企画力、そして継続力。
「収益化には何本投稿すればいい?」「最初に何を投資するべき?」

こうした問いを持つことで、夢が“願望”から“プラン”へと形を変えていきます。夢には、ちゃんとコストがある。でも、その現実と向き合ってこそ、本当に夢を叶える力が育っていくのです。
ここで伝えたいことのひとつは、「働く」という言葉のアップデートです。
“働く=時間と労力を提供して報酬を得ること”だけではありません。“自分のお金に働いてもらう”という考え方も、大事な選択肢。
たとえば、高校生がマクドナルドでアルバイトをするのは立派な経験です。でも、もし「マクドナルドの成長を応援して、その株を持っていたい」と考えられるなら、それもまた立派な“働き方”。
労働力を出すか、資本を出すか。どちらも経済に参加する手段です。
「時間」だけではなく、「お金」や「アイデア」を使って社会に関わる。令和を生きる子どもたちには、そんな“選択肢の多さ”を知ってほしいと思います。
■失敗した時に親がやるべきこと
もちろん、うまくいかないことだって、たくさんあります。
たとえば、おこづかいで買った株が下がってしまったり、動画撮影のために買った材料が無駄になったり……。
その失敗を「授業料」と思うとつらくなります。でも、「研究費」だと思えば、気持ちが軽くなる。
子どもが小さなうちに、小さな金額で小さく失敗する。その経験は、大人になって大きな挑戦を前にしたとき、自分を守る“センサー”になります。
「なんでダメだったんだろう?」「次はどうしたらうまくいく?」
その問いを持つことが学びを深め、行動を磨き、未来の糧(かて)になっていきます。
そして親としてできるのは、その失敗に対して「責めない」こと。「どうしてこうなったのか一緒に考えよう」と寄り添うこと。子どもが失敗を怖がらず、チャレンジし続けるためには、安心して戻れる“場所”が必要です。親がその場所として機能できたら――。
失敗は、きっと未来を照らす道しるべになります。
■おこづかいは「夢のスタートアップ資金」
だから私は、おこづかいを“単なる小遣い”ではなく、“夢のスタートアップ資金”として捉えています。

おこづかいをもらったとき、「何に使おう?」と考えるのももちろん楽しい。
でも、そのお金を「どう使えば夢に近づけるかな?」という視点で見るようになったら、それはもう立派な“投資家マインド”です。
子ども自身が“お金を使う”だけではなく、“お金を働かせる”意識を持つことができれば、その先の未来は大きく変わります。

夢は、待っていても向こうからやってこない。準備して動いて、つかみにいくもの。
「夢はお金持ち」という一見シンプルな願いの中にも、自分らしい働き方、選択の自由、誰かを応援する力、そして社会とつながる手段が詰まっています。
その夢を現実に落とし込むための知恵と準備を、親子で一緒に育てていけたら、それはきっと未来を生き抜く強くてやさしい力になる。
お金を通して未来とつながれるということを、これからの子どもたちにこそ、私は伝えたいのです。
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池澤 摩耶(いけざわ・まや)
会社経営者・投資家
東京都在住。実家はアメリカ。小学校を卒業後、カナダに留学。ブリティッシュコロンビア大学卒業後、ウォール街でのインターンを経て、東京の外資系投資銀行に金利トレーダーとして入社。現在はベンチャー立ち上げ、不動産、マーケティング会社の運営をしながら、インフルエンサーとして活動中。息子(17歳)、娘(11歳)を持つ二児の母。
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(会社経営者・投資家 池澤 摩耶)
