こちらは、とびうお座の方向・約3億光年先の環状銀河「AM 0644-741」です。


環状銀河(Ring Galaxy)とは、リング状の構造を持つ銀河のこと。リング構造は銀河どうしの衝突や合体によって形成されると考えられています。


【▲ チャンドラX線宇宙望遠鏡(Chandra)とハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した環状銀河「AM 0644-741」(Credit: X-ray: NASA/CXC/INAF/A. Wolter et al; Optical: NASA/STScI)】

重力を介した銀河どうしの相互作用は、銀河に含まれるガスや塵(ダスト)を圧縮することで、星形成活動を活発化させることがあります。ある銀河が別の銀河の円盤部を通り抜けるようなめずらしいケースでは、池に石を落とした時に生じる波のような衝撃波がガスを外側へと押し出すことで、新たに誕生した星々がリング状に分布すると考えられています。


この画像は、チャンドラX線宇宙望遠鏡(Chandra)のデータと、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の光学観測データを組み合わせて作成されました。ちなみに、AM 0644-741は2004年のハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ14周年記念画像に選ばれた天体でもあります。


AM 0644-741を彩る紫色の斑点は、チャンドラが捉えたX線源です。ハッブルが捉えたリング構造に沿うようにしてX線源が分布しているのは、活発化した星形成と関係があるかもしれません。


【▲ チャンドラX線宇宙望遠鏡(Chandra)が観測した環状銀河「AM 0644-741」(Credit: X-ray: NASA/CXC/INAF/A. Wolter et al; Optical: NASA/STScI)】

ハッブル宇宙望遠鏡が観測したリング構造の青色は、星形成活動を通じて次々に誕生する若く高温の大質量星に由来します。大質量星は短い生涯の最後に超新星爆発を起こし、その後には高密度な天体であるブラックホールや中性子星が残されます。


これらの高密度天体に伴星のガスが流れ込むと、降着円盤が形成されるようになります。ガスどうしの摩擦によって高温に加熱された降着円盤は、チャンドラが検出できる大量のX線を放射するのです。AM 0644-741のリング構造で検出されたX線源はすべて、一般的なX線連星よりもはるかに強力なX線を放射する「超大光度X線源(ULX)」に分類できるほどの明るさがあるといいます。


なお、チャンドラはAM 0644-741のリング構造以外の場所にあるX線源も捉えました。AM 0644-741のぼんやりと輝く中心部から届いたX線も検出されていますし、その右側にある紫色の斑点は約91億光年先にある遠方銀河から届いたX線だと考えられています。


冒頭の画像は、チャンドラを運用するスミソニアン天体物理観測所のCXC=チャンドラX線センターから2018年9月6日付で公開されました。


本記事は2018年10月2日公開の記事を再構成したものです。


関連画像・映像

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した環状銀河「AM 0644-741」(Credit: X-ray: NASA/CXC/INAF/A. Wolter et al; Optical: NASA/STScI)】

 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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