『君は天国でも美しい』JTBC公式サイトより

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 死後の世界を明るく描いた『君は天国でも美しい』が、4月20日よりNetflixで独占配信スタート。配信翌日には日本ランキング3位で初登場し、その後もランクインが続く人気作となっている。主演を務めるのは、韓国が誇る大女優キム・ヘジャと、大人の色気が魅力のソン・ソック。仲睦まじい夫婦が天国で再会したことから始まるファンタジーヒューマンロマコメだ。

参考:『君は天国よりも美しい』主演ソン・ソックの出演作5選 『私の解放日誌』から最新作まで

 本作は、演出を『まぶしくて -私たちの輝く時間-』(以下、『まぶしくて』)、『私の解放日誌』『ヒップタッチの女王』のキム・ソギュン、脚本を『まぶしくて』『ヒップタッチの女王』『今日もあなたに太陽を』のイ・ナムギュと、同じく『まぶしくて』『恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ』のキム・スジンが務めた再タッグ作品だ。“人生ドラマ”のヒットメーカーたちが集結し、『まぶしくて』と『私の解放日誌』のそれぞれの主演である、キム・ヘジャとソン・ソックによる年の差ロマコメ作品として配信前より話題となっていた。本稿では、第1話、第2話を中心にご紹介したい。(以下、ネタバレを含みます)

 キム・ヘジャ演じる80歳のイ・ヘスクは、下半身不随の夫コ・ナクジュン(パク・ウン)と、幼い頃に借金のカタに引き取ったヨンエ(イ・ジョンウン)、そして猫のソニャと暮らしていた。ヘスクは、若い頃に下半身不随となったナクジュンの代わりに大黒柱となり、地域の人にお金を貸す“街金”を生業にして一家を支えてきた。ヘスクは、町の人からは忌み嫌われ、水をかけられるような日々を送っていた。ヘスクの願いは、夫ナクジュンが天国へ行けることと、できれば自分も一緒に行きたいというもの。ヘスクは、教会で神にそのことを願う最中に、ナクジュンが死神に連れて行かれそうになる場面を目撃する。彼女は、必死で死神に「連れて行かないで!」と叫ぶが、死神はナクジュンの寝室に近寄っていき、そこで猫のソニャが死神に襲い掛かる。猫のソニャが亡くなり、間もなくナクジュンも亡くなってしまう。憔悴したヘスクも後を追うかのように、じきに亡くなった。

 ここからヘスクの“死後”が描かれはじめ、いよいよ“本番”の天国編が始まっていく。天国に行くのか地獄に行くのかは、この段階では知らされない。お裁きを受ける審判も自動化され自然に分かるようになっているというのだ。さらに、三途の川を渡る乗り物は、船頭さんが曳いて川を渡る舟ではなく、タクシー、バス、自転車、飛行機、地下鉄という現代バージョンにアップデートされており、この先がどうなるのかワクワクする。お花畑が現れるでもなく、天国に入る前には飛行機に搭乗するかのようなイミグレーションを通過する。その先には現世のものは何も持って行けない。持って行けるのは「思い出」だけとよく言うが、ヘスクたち現世を卒業した人たちは、「身一つ」で天国へと渡っていく。亡くなった直後から、システマティックに進んでいく「世界移行」の描写が興味深い。これまで“死後の世界”を描いた作品は古今東西無数にあるが、お花畑が現れるでもないデジタル化された明るく軽やかな天国描写に「こんな死後なら面白い」と、観ている側も気分が軽やかになる。

 天国に着いたヘスクは、好きな年齢になることができると言われるも、ナクジュンが生前に美しいと言ってくれた80歳を選択する。天国では好きな人と住むことができると言われ、ナクジュンの元を訪れるヘスク。ナクジュンとの再会に胸を弾ませるヘスクの前に現れたのは、ソン・ソック演じる30代の姿に戻った若いナクジュンだった。

 待ちに待ったソン・ソックの登場シーン! どんなソン・ソックが観れるのかと楽しみにしていたが、いきなり彼のコミカルな表情に笑わせられる。若さを選択したソン・ソック演じるナクジュンの前に現れた老婆の愛妻。目をシロクロさせるソン・ソックがかわいい(天国でのソン・ソックはかわいいの連発で甘いのだ!)。天国の住人は若い姿の人ばかり。そんな中、老婆の姿で愛する妻ヘスクが現れ、驚く姿が面白い。80代にだけ渡される心の声を代弁する「ナレーションボタン」によって、ヘスクの心の声がダダ漏れとなり、ナクジュンとのコミカルなやり取りが繰り広げられる。

 1983年生まれで現在40歳のソン・ソックは、2016年に33歳という遅咲きで映画『ブラックストーン』でスクリーンデビュー後、『マザー~無償の愛~』『最高の離婚~Sweet Love~』『サバイバー:60日間の大統領』と話題作に出演し、みるみるうちにその高い演技力と、一度見たら強烈に記憶に残る匂い立つような艶と存在感でスター街道を駆け上がる。『私の解放日誌』ではソン・ソックの色気に沼る人が爆誕し、「魔性の男」の称号を持つようになった。

 善と悪が共存したような雰囲気を持つソン・ソック。演じる役柄によって、視聴者を震え上がらせるほどの恐ろしさと狂気を表現したり、渋さと色気と魔性の魅力で沼落ちさせてしまう独自の魅力がある。そんなソン・クックが本作では、43歳の年の差がある83歳のキム・ヘジャと“ラブラブ夫婦”ぶりを見せ、愛妻家をキュートに演じている。ソン・ソックがまるで大型犬のように愛妻にまとわりつくなんて、思いもよらないかわいさではないか! またソン・ソックの深い沼が更新されそうだ。

 ヘスクとナクジュンの夫婦の物語を中心に、突然もたらされた思わぬ涙。天国にいるのは人間だけではなく、なんとペットたちが人間化して、愛する飼い主を待っているという号泣案件が投入される。先に天国に行った愛犬たちが、自分よりも後に来る飼い主であるご主人様に向かって駆け走る場面で、涙が溢れて止まらない。ヘスクが天国に着いたときから、じーっと彼女を眺める鋭い目つきの若い女性(チェ・ヒジン)の正体は、ぜひご自身の目で確かめてもらいたい。

 天国だけでなく地獄も“ちらり”と描写されたが、ヘスクを慕うヨンエが怪しい霊媒師を訪れた。彼女の身がどうなったのかが気になって仕方ない。さらに、『まぶしくて』でキム・ヘジャの若い頃を演じたハン・ジミンも登場。記憶のない彼女の正体は一体誰なのだろう。「人生」の終着駅のその先、「めでたしめでたし」のその先の「ハッピーエンド」の描き方は、観るものの人生に何をもたらしてくれるのか。どんな映像体験と感情体験ができるのかとワクワクさせられている。

(文=にこ)