さまざまな物事をアニメーションで分かりやすく解説するYouTubeチャンネルの「Kurzgesagt - In a Nutshell」が、アレルギーがなぜ発生するのか、そしてなぜ人体を死に至らしめるような威力を持つのかについて動画で解説しています。

How This Prawn Can Kill You - Allergies Explained - YouTube

アレルギーは寝室でクモを見つけて核爆弾を爆発させるようなものです。



クモは死ぬかもしれませんが、周囲に甚大な被害を与えてしまいます。



アレルギーの原因として代表的な物質は花粉です。



その他、さまざまな食べ物や、動物の毛、ほこり、昆虫の刺し傷、ゴム、自分の汗など、アレルギーの原因となり得る物質は非常に多様です。



人生で過去に何回も食べていたものや触れていたものでも、突然アレルギーが発症することも。



普段通り過ごしていたはずが、いつの間にか救急車で運ばれているということもあり得るのです。



人体がこうしたアレルギーを引き起こすようになった原因には、過去の人類の生活が深く関わっています。かつて、人類は衛生的ではない水を飲んでいました。



汚い水を飲むことで寄生虫に感染することも多々ありました。



寄生虫は人間の体内で成長した後、便とともに排せつされます。



かつては下水と上水が厳密に分離されていなかったため、寄生虫に汚染された水を飲むことで再び感染するというループが発生していました。



寄生虫は人間の体に悪影響を及ぼすため、人類は免疫システムを発展させて寄生虫に対抗してきました。



寄生虫の体表は皮膚ではなく弾力性のある保護層で、胃酸にも耐えるバリアとなっています。そのため、寄生虫にダメージを与えるには強力な攻撃が必要です。



人類の免疫システムにおいては、まず樹状細胞が寄生虫の侵入を検知します。



樹状細胞はリンパ節に移動し、B細胞と呼ばれる特殊な抗体工場を活性化させます。



そしてB細胞がIgE抗体と呼ばれる寄生虫と戦うための特殊な兵器を生産します。IgE抗体は寄生虫にくっつくための特殊な腕を持っています。



メインの攻撃を担当する肥満細胞にIgE抗体が結びつけば寄生虫と戦う準備完了というわけ。



肥満細胞にはヒスタミンなどの化学伝達物質が格納されています。



肥満細胞は寄生虫の侵入を待ち構えています。



寄生虫が侵入してくると、肥満細胞は寄生虫にくっついて攻撃開始。



肥満細胞の攻撃方法は、自身に格納されている化学伝達物質を放出することです。



放出された化学物質は炎症を引き起こし、寄生虫を体外へ排出しようとします。また、杯細胞も寄生虫が動きにくくなるような粘液を放出します。



また、肥満細胞が放出する化学伝達物質の一部には「警報を鳴らす」かのように、寄生虫を倒すための兵士を集める役割があります。



白血球の一種である好酸球が警報を聞きつけ、炎症が発生している場所へ急行します。



好酸球には寄生虫を直接攻撃する能力もあり、場合によっては寄生虫を倒すこともあるとのこと。



好塩基球も警報を受けて現場へ行き、免疫システムが機能し続けるよう調整を行います。



こうした寄生虫との戦闘で放出される化学物質の中には、平滑筋を急速に収縮させる働きをするものも存在します。



平滑筋が収縮することで、腸内にあるものをすべて排出することができるわけです。



寄生虫との戦いの中で、身体は大量の水を放出して寄生虫を追い出そうとします。これが皮膚の下で発生すると皮膚が膨れ、赤くなり、かゆみを感じるようになります。



ここまでみてきたように、人体には寄生虫と戦うための強力なツールが備わっています。しかし、時代の進歩とともに衛生観念が向上し、寄生虫に悩まされることはほとんどなくなりました。



特に、上水と下水が完全に分離され、寄生虫が再感染するループが途切れたことの影響が大きいとのこと。



寄生虫がいなくなっても、体内の免疫システムは寄生虫の侵入に備え続けています。



寄生虫の反応でなくとも、寄生虫に似た存在が体内に侵入すると免疫システムは「寄生虫が免疫システムを欺こうとしているのではないか」と疑い、寄生虫の警報を鳴らす場合があります。



こうした免疫の過剰反応がアレルギーを引き起こすというわけです。



体内には大量の爆弾とも言える肥満細胞が蓄えられています。



普段食べ慣れている食べ物でも、ある時に「しきい値」を超えると免疫の過剰反応によって大量の爆弾が爆発します。本来は外敵を攻撃するための武器が、自分自身を攻撃してしまうのです。



運が良ければ鼻づまり程度の影響ですみます。



しかし最悪の場合、命の危険も存在しています。



エボラ出血熱のような恐ろしい病気でも、死ぬまでにはしばらくの時間がかかりますが、一方でアレルギーは数分程度という極めて短い時間で命を落とす危険があります。



免疫システムにはまだ未解明の部分がたくさんあります。まず、なぜ人によって抗体のでき方が異なるのかが分かっていません。



また、大人になってから突然アレルギーを発症したり、逆にアレルギーがなくなったりする理由も不明です。



環境の変化が原因の可能性もあります。



アレルギーを持つ人は年々増加する傾向にあり、「寄生虫がいなくなったことが原因」と言う人もいますが、今後の方針として1つだけ確かに言えるのは「再び寄生虫の居る生活には戻りたくない」ということです。アレルギー対策のために寄生虫を復活させるのは寝室に出たクモにおびえて核爆弾を爆発させるような方策であることは間違いなさそうです。