長尾裕・ヤマトホールディングス社長

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人手不足、エネルギーコスト上昇などの資源制約下、いかに成長を図っていくか─。メール便などで日本郵政と提携を結んだヤマトホールディングス社長・長尾裕氏は、「いま経営で一番優先すべきは、いかに経営資源を有効に使うか」と語り、「コア(中核)とは言えない所に、経営資源を張り続けるべきではない」という判断を示す。同社の強みは何と言っても、宅配市場で4割強のシェアを誇る『宅急便』。メール便などの投函サービスは、それを得意とする日本郵政に委託することで、win-win(ウィン・ウィン)の提携関係を作って、”共存共栄”を確保。長年、”信書問題”で対立していた両社だが、今回の提携合意の背景には”2024年物流問題”で指摘される人手不足がある。同社の場合、ドライバーなどの人的資源(約21万人)と全国拠点(約3300カ所)の有効活用をどう図っていくかという課題。生き方・働き方改革とも重なる中、どう新しいサービス・新事業領域を開拓していくか─。


なぜ、日本郵政との提携に踏み切ったのか?

「やはり経営で一番優先すべきことは、いかに経営資源を有効に使うかというところだと思います。そう考えていくと、われわれもああいう投函の事業というのを、ある一定サイズはやっているわけですけれども、それが本当の得意領域かと言うと、そうでもないと」

 宅配便最大手、ヤマトホールディングスが日本郵政との間で、ヤマト運輸がメール便などの配達を日本郵政に全量委託することで提携することについて社長・長尾裕氏は〝経営資源の有効活用〟という観点で語る。

 同社の主力業務は宅配便(同社ブランドは『宅急便』)。全国でのシェアは約4割で年間約23億個を扱う。

 今回の日本郵政との提携で、メール便配達などを日本郵政子会社・日本郵便に委託。

 これに伴い、ヤマトは『クロネコDM便』の名称で展開するメール便サービスを来年1月で取り止め、日本郵便の『ゆうメール』を活用した『クロネコゆうメール』を新しく展開する計画。

 また、eコマース(ネット通販)利用客向けの小型薄型荷物の『ネコポス』のサービスも今年10月から2024年度末までに順次終了させ、日本郵便との共同事業に切り換えていく方針。

 これらメール便などの配達業務は日本郵便が行い、ヤマトは集荷業務のみを行う。ヤマトが利用者から集める荷物は、日本郵便の拠点に運び込み、仕分け・配達は日本郵便が手がける─という今回の提携内容である。

 ヤマトホールディングスの売上高(2023年3月期は1兆8006億円強)のうち、これらの投函事業関連は1300億円と全体の7.2%。

 コアの事業ではないと言っても、一定の売上はあげているわけだが、これについて、長尾氏は次のように語る。

「ですから、今現状やれないという話ではなくて、これから先の長い目線で考えて、では、このままずっと経営資源を張るのかという課題ですね。選択と集中で考えると、われわれのコア(中核)とは言えない所に経営資源を張り続けるべきではないのではないかと思っています」

 この日本郵政との業務提携が正式に発表されたのは6月19日のこと。実は、両者(ヤマト運輸と日本郵便)の間では、一部地域で、業務委託を2年前から試験的に取り組んできた。

 言わば、慣らし運転を行った上で、今回、本格提携に入ったということである。

 ヤマト運輸と日本郵便は荷物を運ぶということで言えば、ライバル関係にある。両社には、これまで『信書』問題で激しく対立してきた経緯がある。