「荒廃から希望への旅」を表現…5月23日発売開始のアドベンチャーゲーム「After Us」が生まれた理由とは?
このゲームは、命の精霊「ガイア」として、人類が絶滅した世界を探索し、動物の精霊を蘇らせて、荒れ果てた地球を復活させるという内容。プレイヤーは、世界で最後のクジラ、閉じ込められた最後のワシ、狩りの犠牲になった最後の鹿など、威厳あるさまざまな生き物たちの運命を知りながら、ガイアは持つ「命の炸裂」能力を使って光り輝くエネルギーを放ち、失われた大地を再生させ、巨大な木を成長させ、新しい道を切り拓いていくという。
「人間が絶滅し、荒れ果てた世界で動物たちの魂を救う」という壮大なテーマで作りあげられたこの作品。一体どのような経緯で誕生したのか。ゲームの開発を担当したPiccolo Studio・アレクシス・コロミナス氏に話を聞いた。
すべての生命体が同じように存在する権利を持っている。それをゲームの中で表現したかった
――「After Us」のアイデアはどのように生まれ、どのような経緯で開発されたのでしょうか?
私たちが初めて制作に取り組んだゲーム「A Simple Story」は、老人が過去を振り返るという内容でした。次に携わることとなった本作「After Us」では、逆の発想で、今後の未来、レガシー(遺産)をテーマにすることにしました。
私たち人類が残す遺産とは何だろう?今の子どもたちに、その先の世代に、遠い未来に残すものとは何なのか。私たちはこれからの世界を見据えてみることにしました。そして、今の私たちが直面している環境問題にリンクさせ、人類がすべてを使い果たした「死の世界」と、再び命を吹き込もうとする「小さな妖精」という対比で表現しています。

――「人間が絶滅した世界」「動物を救う」というテーマを選んだ理由を教えてください。
この地球上のすべての生命が消滅してしまうという世界は、私たちの目の前にある可能性であり、私たちが語りたかった「レガシー(遺産、残すもの)」という考え方にも合致する世界でした。
すべての生命を消滅させることで、人間は自分自身を消滅させることになる。そこを冒険の出発点にするということで、非常に興味深いものになると考えたのです。それゆえにゲームタイトル名も、「After Us」となりました。
人間はこの地球上に存在する数多くの生命体のひとつに過ぎず、すべての生命体が同じように存在する権利を持っています。イルカも、ライオンも、サメも、ゴキブリも、みんな同じように大切で、そのどれかが絶滅することは、私たち自身の絶滅につながりかねないのです。それをこのゲームの中で表現したかったのです。

ゲームの主な展開は、絶滅した「8種類の動物の死体」に宿る生命力を取り戻し、世界に再び命を吹き込むことです。それ以外にも解放できる動物の精霊が100体存在します。その霊を解放すると、その動物が世界の中で動き出し、死んだように荒れ果てた世界が、再び生き返っていくのです。その動物を救うことで得られる満足感、その動物が再び世界を歩き回るのを見ることが、このゲームの達成感なのです。
すべての動物が同等に重要であり、私たちはこの惑星にいるすべての動物の1つの命に過ぎません。そのすべての動物がいることで、世界はより美しい場所になる、という考えを重要視しました。私たちはこれを、「機械的な報酬」ではなく、「感情的な報酬」と呼んでいます。

――「人類が絶滅した世界」を作るにあたって、こだわった点、気を付けた点はありますか?
そうですね、ゲームの冒頭や私たちが示す仮想の未来では、人類が地球上のすべての生命を軽視し、それによってすべてが絶滅してしまいます。これは現実に起こりうる世界であり、現実になりうる悪夢なのです。
すべての生命を無駄にする力を持っているのは私たち人間であり、それゆえにゲームのタイトルも、私たちが残していく遺産という考え方もあるのです。しかし、私たちは個人を責めているわけではありません。個人として、私たちは皆、自然を愛しています。美しい環境を破壊することを楽しんでいる人を知りません。私たちは、自分たちではどうしようもない、今の生活環境の上での集団的な行動の副作用として、環境を破壊しているのです。
このゲームの特徴のひとつは、終盤になるにつれて明らかになる、シーンや記憶の蓄積にあります。
その記憶が、正しいか正しくないかだけではなく、私たちそれぞれが、様々な価値観をもって存在しているという事を、このゲームではフォーカスしています。

「荒廃から希望への旅」、それを多くの方々に楽しんでほしい
――開発中に印象に残ったこと・エピソードがあれば教えてください。
「After Us」の核となるのは3Dプラットフォーマーですが、私たちは限りなく自然に近いオーガニックな世界観を目指しました。ゲーム用にデザインされたレベルではなく、プレイヤーがリアルに体験していると感じてもらえるものにしたかったのです。
風景の壮大さを引き立たせるためには、俯瞰の視点でプレイすることと同時に、主人公の移動方向を明確にしなければなりません。これらのコンセプトは、技術的に常にぶつかり合うものです。アートディレクション、読みやすさ、そして私たちがデザインしているトラバーサル動作との互換性のバランスを見つけるために、多くの時間を費やす必要がありました。

さらに、ガイアは時速80kmとかなり高速で走るため、コンテンツの消費スピードが速く、世界を構築しパフォーマンスを発揮させるための最適な方法を見つける必要がありました。加えて『After Us』でプレイする環境は100km以上あります。
それを可能にするためにゲームデザイナー、レベルデザイナー、環境アーティストが同時に作業を進めました。これは通常ではありえない進行行程です。しかし、チームには非常に優秀な人材が揃っていましたし、協力しあうことで、アートとゲームプレイの両方の観点から、巨大で興味深い世界を作り上げることができました。チームは本当によい制作パフォーマンスを発揮してくれました。
――主人公である生命の精霊・ガイアについて、詳しく説明してください。
ゲームの中で彼女の名前に言及する場面はありませんが、私たちは当初から彼女をガイアと呼んでいました。ガイアは多くの文化圏に存在する普遍的な神で、地球上の生命を象徴しています。
ガイアは女性のような容姿ですが、自然のタッチ、つまり樹皮のドレスのようなイメージと、白く輝く長い髪を持つ小さなニンフ(擬人化されているが、完全に人間ではない)のように見せたいと考えました。ガイアは小さな子供のような純粋な感情を持っていると同時に、強い意志をもっているのです。
ガイアは軽くて機敏で、速くて、ただただ流れるように移動する。しゃべらないが、精霊を発見するために歌い、心を投げ出して世界と交流することができます。また、彼女は周りの植物を成長させる力を持っています。
私たちは、多くの映画やカルチャーなどのキャラクターからインスピレーションを受けましたが、特徴的で特別なキャラクターを作るために、我々独自のミニマルなアプローチで、ガイアを生み出しました。

――最後に、このゲームを通してユーザーに伝えたいこと、感じてほしいことを教えてください。
このゲームでは、私たちと環境との関係について、多くのトピックやメッセージに触れています。それは、私たち人類が直面する最大の課題でしょう。しかし、人々がそれについて話しているのを見ると、ほとんどの場合、極端化され、様々な意見が交錯し、分裂を引き起こしているように思います。
私たちは、私たちなりのアプローチで、人々の心を動かし、意識を高める機会を作りたかったのです。私たちの仕事は、解決策を提示したり、何が問題で何が正しいかを議論したりすることではありません。それは皆さんが自分自身できづいてもらう必要があると思います。
私たちが目指しているのは、たとえトンネルの先にある小さな光に見えたとしても、希望が持てるような感情状態を作り出すことです。だから、このゲームを「荒廃から希望への旅」と表現しています。ぜひ、多くの方々に楽しんでほしいです。

Alexis Corominas (アレクシス・コロミナス)
共同ゲームディレクター、共同プロデューサー、共同クリエイティブディレクター。映画会社で経験を積んだ後、約20年間におよびデジタル広告に携わってきた。2015年にPiccolo Studio を共同設立後、同社のビジョン策定とクリエイティブ部門を牽引。
共同ゲームディレクター、共同プロデューサー、共同クリエイティブディレクター。映画会社で経験を積んだ後、約20年間におよびデジタル広告に携わってきた。2015年にPiccolo Studio を共同設立後、同社のビジョン策定とクリエイティブ部門を牽引。

作品概要
タイトル:『After Us』
発 売:2023年5月23日
対応機種:PC(Steam)、PlayStation®5、Xbox Series X|S
価 格:3,960円(希望小売価格)
ESRBレーティング:T(13歳以上)
タイトル:『After Us』
発 売:2023年5月23日
対応機種:PC(Steam)、PlayStation®5、Xbox Series X|S
価 格:3,960円(希望小売価格)
ESRBレーティング:T(13歳以上)
