@AUTOCAR

写真拡大 (全7枚)

FスポーツがISのトップモデルに

GSが整理されレクサスの現ラインナップのセダンはIS、ES、LSの3系統となり、ISはセダンとFRレクサス車のエントリーに位置するモデルである。

【画像】予算1000万円! V8のスポーツカー3選 レクサスIS 500 Fスポーツも【細部まで見る】 全58枚

代を重ねる毎に車体サイズを拡大しているが、スポーツセダンを基本に置いたコンセプトは変わっていない。


レクサスIS500 Fスポーツ・パフォーマンス・ファーストエディション(チタニウムカーバイトグレー)。エンジンフード、フロントフェンダーパネルの意匠をIS 350 Fスポーツから変更。V8の存在を物語る力強い造形になった。    宮澤佳久

そんなISを象徴したモデルが「IS500 Fスポーツ・パフォーマンス」であり、現行車の中でもレクサスのスポーツ性を代表する存在としてラインナップに追加された。

搭載パワーユニットは「先代IS F」に採用され、性能面でその後継モデルとなるRC Fにも搭載されている2UR-GSE。

5LのV8はレクサス車でも最大排気量にして最多気筒エンジンであり、最近では少数派となったNA仕様の高性能エンジンである。ミッションには8速ATを採用する。

シャシー周りではバネ/ダンパー(AVS)を専用セッティングとし、リアパフォーマンスダンパーを追加。デフにはトルセンLSDを採用し、ブレーキローターも大径化するなどポテンシャルアップが施されている。

また、エンジンの大型化に伴いボンネット形状を変更。フロントフェンダーパネルやエグゾーストマフラーなども変えられ、外観も500 Fスポーツ専用となる。スペックも見た目も特別仕立てのISなのだ。

481psの自然吸気V8 どんな感じ?

大排気量も多気筒も、エコの観点からすれば時代に逆行した印象は拭えない。

と理性が語りかけてもクルマ好きには抗い難い昂揚感、快感を覚えさせるエンジンである。


IS500 Fスポーツ・パフォーマンス・ファーストエディション(チタニウムカーバイトグレー)。4本出しのエグゾーストは専用品。    宮澤佳久

大排気量特有のトルクに乗せた太い力感、7000rpm超まで一気に上り詰めるハイチューンの加速。高精度で重質な回転感覚。加速の途切れなく、それでいて小気味よい変速感のミッション。どれもがパワートレインを操る心地よさに優れている。

高性能BEVのように踏み込み直後に蹴り出すような瞬発力はないが、巡航から深く踏み込めばダウンシフトとともに素早く加速が立ち上がる。

しかも、粗雑な加速度の変化は抑えられている。ごく短い変化の中に“滑らかな繋ぎ”が織り込まれているような感覚。

それがNA仕様内燃機特有のタイムラグであるか、制御によって生み出されたものかが分からないにしても、阿吽の呼吸とも以心伝心とも表せない操り心地を生み出している。「間」のよさと言い換えてもいいだろう。

「IS F」を名乗らないワケ

回転数上昇と排気音の高まり。

全開6000rpm超でも威圧的な騒音はなく、抑えの利いた昂揚感で運転の因果を示すようなエンジンフィールもまた操り心地のよさ。


IS500 Fスポーツ・パフォーマンス・ファーストエディションの前席(内装色:ブラック/ブラウンパーフォレーション+ブラウンステッチ)。    宮澤佳久

ドライバーを脅す、あるいは乗りこなしを要求するような所作もなく、大人味のパワーフィールに良質なスポーツ性を感じてしまう。

「500 Fスポーツ」であって「F」ではない。

前述のとおり、パワートレインは「RC F」と同等であっても二代目IS Fとならないのは、“フットワークの視線の違い”と考えていいだろう。

IS Fやその後継となるRC Fは、高速サーキットでの限界走行まで見据えてサス/タイヤはもちろん、車体まで手を加えている。結果、揺るぎないグリップ性能により際立つ安定性・コントロール性を得ている。

それは性能的には素晴らしいが、一般走行プラスαレベルでは安定志向が強すぎて、切れ味とか軽快感が低下してしまう。

Fスポーツの走り 気に入った所

Fスポーツは、軽いサーキット走行なら難なくこなせるくらいの限界性能を与えられているが、基本は“普段から”小気味よさ・ドライビングのリズムを楽しめる運転感覚と、“スポーツモデルらしい性能”との調和。

そしてIS500 Fスポーツ・パフォーマンスはその通りに舵角追従よく、5LのV8を鼻先に収めているとは思えないキレを示した。


IS 350 Fスポーツと比べて、制御定数を変更したAVS/EPS、ばね定数を変えたコイルスプリングを採用。リアにもパフォーマンスダンパーを追加し、乗り心地・操縦安定性を追求した。    宮澤佳久

また、速度変や路面状況の変化による操縦特性への影響も少ない。

480ps超級のFRスポーツにして、じゃじゃ馬にならずに信頼感の高いハンドリングでまとめたのは感心させられた。

乗り心地とのバランスも「Fスポーツらしさ」であり、電子制御可変ダンパーの効能もあって、路面当たりは意外と穏やか。

細かな揺れの収束に甘さが感じられたが、スポーツセダンに興味のない同乗者でも許容値に収まる乗り心地である。

レクサスを駆るならいつかは「F」。といっても、2ドアクーペのRC Fでは実用性が高いハードル。

IS Fの復活を望むユーザーも少なくないだろう。そこで、代替案として浮かぶのがIS500 Fスポーツ・パフォーマンスである。

雑念を吹き飛ばすほど V8の魅力

悩ましいのは代替案と同時に妥協案でもあること。エンジンフィールとパワーフィールは「F」の系譜そのもの。

一方、フットワークは「Fスポーツ」の立ち位置を汲み取ったものであり、一般用途の中に昂揚感や操る手応えを織り込んだのが身上。限界性能主義のスポーツ性とは異なる。“Fスポーツの頂点”であっても、IS Fの視点なら妥協案になってしまう。


481ps/54.6kg-mを発揮する自然吸気V8。「F SPORT」のエンブレムがバンクの谷間に配置される。    宮澤佳久

RC Fは標準仕様でも1000万円を超える。対してIS500 Fスポーツ・パフォーマンスは850万円。3.5LのV6を搭載したIS350 Fスポーツの約200万円高である。

それでも高性能型V8のパワートレインはあまりにも魅力的。

加えて言うなら環境性能の要求の高まりを考えれば、このようなパワーユニットを搭載したモデルが今後も継続的に供給されるとは思えない。RC Fにしても、IS500 Fスポーツにしても、今代限りで終わってしまう可能性も否定できない。

これが最後のチャンスと思えばコレクションとしての付加価値も高まる。

もちろん、内燃機ならではのファントゥドライブが第一の魅力だが、それらを考慮するなら価格以上の投資価値を見出せるモデルである。

IS500 Fスポーツ・パフォーマンス スペック

価格:850万円(写真はファーストエディション:900万円)
全長:4760mm
全幅:1840mm
全高:1435mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):9.0km/L
CO2排出量:258g/km
車両重量:1720kg
エンジン形式:4968ccV型8気筒
使用燃料:ガソリン
最高出力:481ps/7100rpm
最大トルク:54.6kg-m/4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック
駆動方式:後輪駆動
乗車定員:5名


試乗車は、IS500 Fスポーツ・パフォーマンスの特別仕様車「ファーストエディション(900万円)」で、500台限定。すでに抽選受付を終了した。カタログモデルの方は、11月から商談を開始している。    宮澤佳久