突然だが、読者のみなさんはたまごのカラザをどう扱っているだろうか。

カラザは、たまごを割ったとき、卵黄の横に見られる白いひも状のもの。白くモヤッとした見た目が気に入らず捨ててしまう、筆者のように取るのが面倒でそのままにするなど、理由はどうであれ扱いが人によって変わってくる部分だろう。

そんなたまごのカラザについて「たまご屋からのお願い」と題したツイートが話題を集めた。

「カラザを取らないでください!(大声)」
「カラザは最強の健康効果を持つシアル酸を始め、カルシウムやビタミンB群など栄養満点! 卵を割って大きめカラザが出た際には、ぜひ大喜びして食べてほしいです」

こちらは、半澤鶏卵(山形県天童市)の3代目跡継ぎで、鶏卵をはじめとする食品卸売やクラウドファンディングのコンサル業務を行う半澤清哉(@bigban110)さんが2022年3月5日に行ったツイート。半澤さんの投稿は、3月22日16時までにリツイートを約4000件、いいねを約1万1000件集めるほどの反響を集めた。さらに、こんな声も半澤さんのもとに集まっている。

「知らなかったです」
「なんと!今後はとらないで絶対食べるようにします」
「カラザは悪だと思いすぐさま 取り除いておりました」

多くの人の関心を集めた半澤さんの投稿。普段は意識しないが、話題にあがってくるとよりカラザについて知りたくなってくる。

そこで、Jタウンネット記者は3月16日、キユーピーの研究開発本部に所属し、 「卵のソムリエ」である「五ツ星タマリエ」の資格を持つ児玉大介(こだま・だいすけ)さんに取材を行った。

カラザを取るのがもったいなく感じる......

まず、半澤さんの投稿にもあったカラザに含まれるという「シアル酸」という聞き慣れない成分がどんなものなのかを聞いた。

「鶏卵のカラザには、シアル酸が含まれています。シアル酸は燕の巣等にも含まれている成分です。
シアル酸の薬理機能としては、免疫力向上、インフルエンザ感染予防、学習能力向上、薬効の上昇(ヒアルロン酸の効果増)、育毛、抗アレルギー、抗ストレスなどが確認されており、その用途は医薬品原料や診断薬原料から、食品まで多岐に渡っています」(児玉さん)

こうしてシアル酸の説明を見ると、カラザを取るのがもったいなく感じてくる......。

やはり、キユーピーとしても半澤さん同様に、カラザは取らないほうが良いと考えているのだろうか。

「カラザの主成分はタンパク質であり、もちろん安心して召し上がっていただけます。
ただ、茶わん蒸しなど料理によっては、食感や見た目が気になる方は取り除かれることもあるかと思います。好みなどによっても異なりますので、栄養や食感や見た目等を考慮して、ご自身でご判断いただければ幸いです」(児玉さん)

ちなみに、たまごが使われるキユーピーの製品でカラザは取り除かれているのかを聞くと、

「多くの製品においては、割卵後、ストレーナーと呼ばれる夾雑物(きょうざつぶつ)を取り除く装置で除かれています。茹卵の製品等においては、カラザを取り除く工程はありません」

との回答があった。

無理に食べる必要はないとはいえ、カラザを「食べられるけど、意味もなく取っていた」という人がいれば今後は取らないほうがいいのかもしれない。