ソニー、クロスオーバーSUV型EV初公開 「ソニーモビリティ」今後どうなる?
ソニーがつくるクルマ?
日本では正月気分がまだ抜けきれない1月上旬、アメリカから大きなニュースが飛び込んできた。
【画像】どんなクルマ?【ソニーのクルマ2モデルを詳しく見る】 全23枚
ソニーグループ(以下、ソニー)が「ソニーモビリティ」という新会社を設立するというのだ。
米ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー関連見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)2022」でお披露目された。
これまで、ソニーは新製品や次世代型技術の披露の場としてCESを活用してきた。
EVについては、いま(2022年1月)から2年前の「CES 2020」にコンセプトモデル「VISION-S」を公開している。
その後、「VISION-S」を基盤とした、走行可能な実験車両「VISION-S 01」を製作して世界各地で走行する様子が動画で紹介されてきた。
日本国内でも、報道陣向けに「VISION-S」を公開して、ソニーが考える将来事業を説明する場を設けた。
こうした流れを経て、今回は第2弾コンセプトモデルとしてクロスオーバーSUV型の「VISION-S 02」を初公開するとともに、吉田憲一郎会長兼社長がソニーモビリティ設立を発表し「ソニーEVの事業化を探っていく」と発言した。
そのため、テレビやネットでは「ソニーがEV事業に本格参入」というニュースが一気に広がった。
だが、今回の発表をより正確に理解する必要があると思う。
映画、ゲーム、音楽から……
今回の発表を受けて、日本国内では「B2BではなくB2Cもやるとは驚いた」という声が自動車業界やIT業界から聞こえてくる。
B2Bとは、ビジネス・トゥ・ビジネスの意味で、事業者間の取引きを指す。

ソニーモビリティ「VISION-S 02」(左)と「同01」(右) ソニー
ソニーが2020年1月に「VISION-S」を公開してから今回のソニーモビリティ設立発表まで、ソニーのスタンスは、自動車産業を含む広義でのモビリティに対して、これまでソニーが培ってきたさまざまな要素技術や量産技術を応用する、というものだった。
その筆頭は、予防安全技術の分野で使う車載カメラのイメージセンサー技術だ。
近年はADAS(先進運転支援システム)が軽自動車から高級車まで標準装備され、さらに段階的に高度化するトレンドが明確になってきた。
ここで、ソニーの事業全体を俯瞰すると、2020年度 連結業績概要(2021年4月28日発表)では、売上高は8兆9994億円。
セグメント別で売上が高い順では、ゲーム&ネットワークサービスが2兆6563億円、エレクトロニクス・プロダクツ&ソルーションが1兆9207億円、金融が1兆6689億円、イメージング&センシング・ソルーションが1兆125億円、音楽が9399億円、映画が7588億円と続く。
つまり、EVコンセプトモデルは、イメージセンサーや、映画、ゲーム、音楽などソニー既存の事業の全体像をB2B向けに具現化した存在という見方ができる。
単なるEVでは意味がない……
ソニーモビリティを設立したからといって、一気にB2C(ビジネス・トゥ・コンシューマ:消費者向け事業)を優先しているとは思えない。
ソニーモビリティの基本路線はB2Bであろう。
なぜならば、会見で吉田会長兼社長は、VISION-S 01と同02は、ソニーの既存事業と、ソニーが現在着手しているさまざまな新技術を受け止める基盤になると発言しているからだ。
そのうえで、B2Cの可能性についても含みを持たせた会見内容だった。
背景には、グローバルでの急激なEVシフトのトレンドがある。
では、ここからは筆者としてB2C型ソニーモビリティの行方を推測してみたい。
一般的な自動車産業の事業体系として、順に考える。
まず、商品企画についてはソニーモビリティがおこなう。その際、最も重要な課題は、明確な出口戦略だろう。
ソニーらしい新しい市場のニーズを創出することをも視野に入れた、綿密に事業戦略を練る必要がある。
この時点でソニーEV事業の勝敗は9割がた決まると思う。
つまり、トヨタ、テスラ、メルセデス・ベンツ、ボルボ、また中国の各種ベンチャーなどと同じような発想の、単なるEVを商品企画するのでは、ソニーがB2C型モビリティ事業に参入する意味がない。
商品企画および事業戦略の実行計画が固まれば、ハードウエアの部材はソニーの既存パートナーなどと組む手はいろいろあろう。
ライバルはアップルに?
では、製造をどうするか?
自社工場という発想はゼロではないだろうが、世界各地で現在、自動車メーカーや自動車部品メーカーがEV専用ラインの建設を進めている状況であることを考えると、ソニーとしてはこうした企業に生産を委託をする可能性が高いと思う。
キモとなるのは、販売、修繕、多次市場(中古車/中古車リメイク/部材リユース/部材リサイクル)といった領域だが、製造委託企業と連携するのが妥当だろう。
そのうえで、ソニーEVショップを展開するか?
こうした仮想案を基に、EVや自動運転に関する市場動向と、アップルやグーグルの親会社のアルファベットなどIT系企業のモビリティ事業の進捗など、ソニーは多方面から事業の持続性を検証することになろう。
そのアップルだが、EVや自動運転開発をおこなう「プロジェクト・タイタン」が本当に量産事業となるのか、アップル社内での検証が何度もおこなわれているとの報道がある。一部では2025年の量産化といったうわさもある。
ソニーとしても、やはりアップルの動きが気になるところだろう。
見方を変えると、アップルEV事業GOサインの可能性高いと見たソニーが、ある種の対抗策としてソニーモビリティという形態を発表したという推理も成り立つのではないか。
いずれにしても、ソニーの今後の動向を注視していきたい。



