GoTo停止でも「35%割引」継続 星野リゾートなど、独自の対応に乗り出す
Go Toトラベル事業について、政府は年末年始期間の一時停止を発表したが、星野リゾートなどは、予約時のままの料金で滞在してもらおうと、独自で35%割引を行うことを発表した。
医療状況がひっ迫している中で様々な意見も出ているが、ホテル側は、客には新型コロナウイルスの感染対策を徹底してもらうと説明している。
「旅の不要不急度は客によって異なるため、キャンセルも含めて対応する」
菅義偉首相がGo Toの一時停止を表明してから一夜明けた2020年12月15日。星野リゾートから東京都内のホテル宿泊者に来たという1通のメールがツイッター上に投稿され、話題になった。
そこでは、停止期間であっても、公式サイトですでに予約していた客には35%割引のままで宿泊できると明確にうたっていたからだ。
実は、政府がGo Toの取り扱いを再検討していた2020年11月21日ごろ、同社からは今回のことを予告するようなメールが来たとツイッターで話題だった。Go Toの中断が決まっても、公式サイトで予約した客には35%割引で宿泊できるよう検討していると説明されていた。
これらのメールについて、星野リゾートの広報担当者は12月15日、J-CASTニュースの取材に事実だと認めた。そして、同社では、全国のホテルで35%割引適用を導入すると同日夜に公式サイトで発表した。キャンセルを希望する人は、それが不可とされた予約でも客の負担なくするとした。独自割引をする理由については、こう述べている。
「ご予約いただいている目的は観光旅行だけでなく、結婚式、新婚旅行、記念日、この時期に毎年リピートしていただいているご家族連れなど、さまざまであり、旅の不要不急度はお客様によって異なります。また長期でご滞在中の方もいらっしゃいます。そこで、それぞれのご事情にあわせてお客さまにご判断いただきたいと考えております。なお、対象除外期間の新規予約についてはGoTo割引の適用はすでに中断し、通常料金でのご予約を承っております」
「感染対策を徹底させるのが大前提。最高水準のコロナ対策を行う」
ただ、35%割引の適用については、星野リゾートでは、「もちろん、感染対策を徹底させるのが大前提になります」と強調する。
人との接触を避けるため客室でチェックインを行ったり、客への検温やフロントでのパーティション設置をしたりしているなどと公式サイトで説明しているとして、「これまでもずっと、最高水準のコロナ対策に取り組んできています」と話した。
Go To一時停止発表後、星野リゾート以外にも、独自に35%割引を行うとツイッター上などで告知するホテルもいくつか出てきた。
沖縄県石垣市内のリゾートホテル「THIRD石垣島」では12月15日、客に感染対策への協力を求めたうえで、Go To停止期間でも35%割引で宿泊できる「年末年始独自割引プラン」を販売すると公式サイトで発表した。このホテルでは11月24日、Go Toの地域制限がある客でも公式サイトからの予約なら35%割引で宿泊できると公式ツイッターで発表しており、その試みを拡大した形だ。
ホテルを運営するスターリゾートの佐々木優也社長は、「批判覚悟で出します」とツイッター上で告白し、次のように説明した。
「緊急事態宣言発令の日に開業したTHIRDですが、多くの方々に支えていただきながら、何とか歯を食いしばってここまで来れました。しかし昨晩、GoToの一時停止が発表されキャンセル通知が止まらない状況です。今後を生き残れるかどうかを争う状況になる可能性もあります
国の意思決定と逆行していることで、様々な意見が出てくることは承知しています。しかし、小さい会社とはいえ社員23人の雇用とそのご家族を守るためにも、何としても生き残りたい。強い覚悟を持って今回の意思決定をいたしました」
石垣島のホテル「キャンセルも依然多く、苦しい状況に変わりない」
これらのツイートは、大きな反響を集め、様々な声が寄せられている。
感染拡大が続く中で、「地元の人に説明つくんですか?」と指摘する声も一部であったが、激励の声の方が多い。「つらいな。。。これは。何とか生き延びて欲しい」「観光業って一部業界じゃなくて実は地域経済丸ごとだったりする」などと書き込まれている。
スターリゾートの広報担当者は12月15日、J-CASTニュースの取材に独自に35%割引を行うことを決めた理由について、こう話した。
「Go Toキャンペーンが急に内容を変える可能性があることは、理解しています。仮になくなったときのことを常に考えてプランを作っており、今回のアイデアもそのうちの1つです。星野リゾートの情報もきっかけになり、やってみようとなりました」
「批判は一部でありました。これは、観光事業をしていれば仕方がないことだと思っています。ホテルには、検温システムを導入し、このほか、持ち運び用のアルコールジェルをお客さまに配布しており、あくまでもこうした感染対策を行うことが前提です」
年末年始期間は、ほぼ100%の予約が入っていたが、キャンセルが相次いで80%ほどにまで下がったという。
「旅行予約サイトの対応が終われば、これからも減っていく可能性があります。独自プランの発表は、想定以上の反響がありましたが、その後もキャンセルが相次ぎ、新たに予約が入っても相殺される状況です。正直あまり変わりはないですが、ルールに則ってやるしかありませんので、自分たちでできることがないか今後も模索していきます」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)