家族旅行にも自粛を強要してくる会社「行く必要ある?」とイヤミを言われ…

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 新型コロナの感染拡大によって、帰省や旅行の自粛やイベント事中止など異例となった今年の夏。学校の夏休みが全国的に短縮される中で、「会社の命令でどこも出かけることができない……」と頭を抱えるのは都内のITメーカーに勤務する橘康介さん(仮名・35歳)だ。

 現在、8歳の息子と妻の3人暮らしだという橘さん。例年通りなら今頃、岡山県の実家に帰省しているはずだったが……。

◆会社から「外出自粛要請」のワケ

「妻の実家は広島なので夏休みは毎年、車でお互いの田舎に帰省して海水浴やバーベキューを楽しんでいたんです。でも、今年は僕の祖父が高齢で持病持ちということもあって帰省は控えることに。それどころか、会社からお盆休みの不要不急の外出は控えるように言われてしまい、どこにも出かけることができませんよ」

 橘さん自身は、都内が第二波だと騒がれ出した7月中旬から在宅勤務になっていた。しかし、会社がここまで厳しく通達するようになったのには橘さん自身にもきっかけがあるようで……。

「2週間ほど前に発熱したんです。熱が39度まで上がって喉に痛みを感じて。でも、僕はすでに在宅になっていてどこにも外出していないし、妻も息子も特に変わった様子はない。それに僕は元々、軽度の扁桃腺肥大でこの時期はいつも夏風邪を引くんですよね。

 行きつけの病院に電話をして、それを伝えると『濃厚接触者がいなそうならコロナの可能性は低そうなのでうちで診ますよ』と言ってくれたので、病院に行くと扁桃腺炎と診断されました。それから3日もしないうちに熱も下がって今は症状もまったくないのですが、会社からは『この時期に風邪引くなんて、なんのための在宅だ』とまるでコロナだと疑っているかのような口ぶり。

 さらに、『コロナのPCR検査受けて陰性の証拠出して来い』とまで言われました。会社側が万が一の感染の可能性を考えるのも分かるのですが、担当の医師からは『症状がないのにわざわざ感染リスク冒して検査を受ける必要はない』と言われているのに。会社には、もしまた熱が出たら検査に行くということでどうにか納得してもらえました……」

 そこで、会社が下した判断がお盆休みの外出自粛だというのだ。

◆帰省を楽しみにしていた息子&嫁は…

「帰省はしないと決めていたのですが、近所に住む僕の弟家族と日帰りでBBQに行くことになっていたんです。でも、直前で上司に『サービスエリアで感染したらどうするんだ?』と言われたので、うちの家族だけ急遽キャンセルに……。

 楽しみにしていた息子には泣かれるわ、嫁には『なんで直前になって言うの?』と怒られて険悪なムードになるわで、連休なのに家の空気は最悪ですよ。遠出がダメなら、近所の人が少ない川に行って息子を遊ばせるのはどうかと上司に聞くと『わざわざ今、行く必要ある?』とバッサリ……。さすがの妻も『夏休みは2週間しかないのに可哀想』とボヤいていました。

 結局、外出したのは在宅で使うPC機器を揃えるよう会社にいわれたので、電気屋に買い物に行っただけ。バーベキューよりも電気屋のほうが、よっぽど3密だと思うんですけれどね。息子も外で遊べないのは僕のせいだと思っているのか、最近は以前のように甘えて来なくなって、家の中では気まずい空気が流れています……」

 子供が女の子なら家での楽しみ方もたくさんあると思うが、遊び盛りの男の子が外で遊べないストレスは相当なことだろう。息子の機嫌をとるために、橘さんはゲームを買い与えたというが「本当にこれでいいのか」という不安を抱えているともいう。

 子供にとって夏休みは特別なもの。会社、橘さん自身、そして家族とそれぞれの意見があるが、どれも正解とも不正解ともいえないだろう。せめて外出が自由にできる日を願うしかないのだ。<取材・文/結城>