新型MacBook Airは「10万円モデル」投入と性能向上でお買い得感が満載(本田雅一)
Appleは一昨年末に発表した薄型ノートパソコン「MacBook Air」を刷新した。今回のアップデートは、見た目の形状こそ前モデルを踏襲してるが、フルモデルチェンジに近い内容となっている。

大きな改良点は3つだ。

1mmストロークのMagic Keyboard搭載とCPUの高性能化



1つめはキーボードが16インチMacBook Proと同様の構造の「Magic Keyboard」となったこと。実機での確認はまだだが、構造的な変化とストロークの増加によって、これまでのようにキーボードにまつわるトラブルが減り、タッチも柔らかなものになっているはずだ。

スペック上ではキーストロークが1mm、本体の厚みが0.5mm増加しており、その増分は16インチMacBook Proとその旧モデル(15.4インチモデル)の差分とまったく同じ。重量もやや増加しているが、その増分はわずか40グラムである。

インテル製プロセッサが第8世代(Amber Lake)から第10世代(Ice Lake)へとアップデートされたこと。これによりが外部チップに頼らずThunderbolt 3への対応を果たしている。

また、内蔵GPUが第11世代となって大幅に性能が向上する点も大きい。Appleによると前モデルに比べ最大80%向上するとのことだが、現在のMac用アプリケーションは、GPU性能で高速化するものが多い。とりわけApple純正のアプリはこれまでよりも快適になるはずだ。

コア数増加に加え、シングルコアの性能向上も期待



これらも無視できないポイントだが、上位モデルでは搭載されるCPUがMacBook Airとして初めて4コアになる。これが3つめの改良点だ。CPUアーキテクチャが一新されたうえ、搭載メモリのアクセス帯域が2133MHz LPDDR3から3733MHz LPDDR4Xへアップデートされたことも性能面に大きく影響する。

標準モデルは1.1GHz動作、TurboBoost時3.5GHzのIntel Core i5モデルだが、1.2GHz動作、TurboBoost時3.8GHz動作のCore i7もオーダー時に選択可能だ。Appleの主張では、このときのパフォーマンスは前モデルの2倍だが、当然、コア数が2倍になった影響が大きい。

しかし、インテル製プロセッサのトレンドを鑑みるならば、同一コア数のCore i3モデルでも大幅な性能向上が見込める。最大50%ほど向上していても筆者は驚かない。

なお、搭載メモリは最大16GB、搭載SSDは最大2TBまで増量できる。

隠れたベストセラー、10万円MacことMacBook Air(2017)を置き換えるCore i3モデル

これらに加えて別視点での注目点もある。それは2017年に発売された2世代前のMacBook Airがとうとうラインナップから落ちることだ。このモデルはWeb上のAppleStoreにこそ掲載されていなかったものの、昨年の商戦期まではApple Storeの実店舗や家電量販店で継続販売されていた。

Appleは新型MacBook Airのローエンドに、2コア動作のIntel Core i3-1000G4搭載モデルを用意し、8GBメモリ、128GB SSDモデルの価格を10万円4800円に設定。学生・教職員価格を9万3800円に抑えこんだのだ。

実はMacBook Airの旧型モデルは学生向けエントリーモデルとして隠れたベストセラーとなっていた。これは親が初めて子どもに買い与えるMacとして、求めやすいというだけではなく、若年層でもローン審査が通りやすいといった事情があるため。



新モデルの発表ではあまり注目されない下位モデルだが、新型コロナウイルスによるテレワーク普及などの背景も考えると、新しいMacBook Airのラインナップとしては重要なモデルになるだろう。しかも旧型はRetina Displayを搭載していなかったが、今回はローエンドモデルまでがRetina Displayとなるため、お買い得度がさらに高くなる。

現時点で仮に自身が選ぶのであれば、Core i5モデルを16GBメモリ、1TB SSDにアップグレードするだろうが、このときの価格は17万4800円。しかし、動画などを扱わないのであれば、カスタマイズを行っていない13万4800円のCore i5モデルで充分かもしれない。

いずれにせよ、これからの入学・就職シーズンを考えるならば、それ以上にエントリーモデルが重要になってくるだろう。2コアのCore i3搭載モデルの実性能にも注目したい。