音楽祭で国内初の5Gサービス、ソフトバンクに寄せられた体験者たちの要望
広大環境で実証
「従来の実証実験はエリアが限定されていたが、大人数が集まる広大な環境下でデータを集められた」。ソフトバンク5G戦略課の堀川学課長は今回のプレサービスの意義をこう説明する。
最適な高さ
5Gは高精細な映像や音声を遅延なく伝送できる半面、高周波数帯のため、電波の直進性が高く減衰しやすい。建物などの遮蔽(しゃへい)物があると電波が届きにくくなる。会場は山間部で木々が多く高低差もあり、多数の来場客が移動している。この環境下で5G電波がどのような影響を与えたのか、基地局のアンテナの最適な高さは何メートルなのかを知るデータ収集の場になった。
一方、来場客にとっては5Gに初めて触れる機会になった。会場内に設置したソフトバンクブースには、ライブ映像を5G網により会場内ブースに設置した仮想現実(VR)ヘッドセットで視聴できるコーナーを設けた。
動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信されたライブ映像を5G基地局から5G網でブース内の5Gスマホに伝送。Wi―Fi(ワイファイ)経由でVRヘッドセットに配信した。ヘッドセット装着者は、ライブ会場をコンピューターグラフィックス(CG)で再現したVR空間内にアバター(分身)となって入場。フジロック会場の装着者5人と東京・六本木のイベント会場にいる装着者5人の計10人が、VR空間内でリアルタイムに会話したり、コントローラーでアバターを動かして手を振ったりした。
一緒に観戦
超高速大容量、超低遅延、同時多数接続が売りの5Gを使えば、例えば東京都と札幌市、福岡市の自宅にいる友人たちがVR空間に集合してリアルタイムに会話をしながら、迫力あるVR映像を一緒に観戦できるサービスが可能になる。
ただ、装着者からは「数百人でVR空間を共有できれば、もっと盛り上がる」「ヘッドセットが重く長時間の装着はつらい」「より高品質な映像や音質にしてほしい」との声が聞かれた。5Gの性能を最大限引き出す装置、より使いやすい電子機器を開発するメーカーとの連携も商用化に向けた通信各社の課題となる。
(取材・水嶋真人)
