1919年、カルピス発売時のパッケージ(アサヒグループHD提供)

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 ほぼすべての日本人が飲んだことがあるといわれる乳酸菌飲料「カルピス」が7月7日、発売100周年を迎えます。子どもの頃、何倍に薄めるかで親に文句を言ったり、こっそり「原液」をなめてみたりした経験のある人も多いのではないでしょうか。カルピスの“濃度”といえば、そのまま飲めることから人気の「カルピスウォーター」が最適の濃度なのでしょうか。カルピスにまつわるさまざまな疑問とともに、アサヒグループホールディングス(HD)の広報担当者に聞きました。

お勧めは5倍「原液1に水4」

Q.カルピスは、薄めて飲むことを想定した希釈用の「原液」で販売されています。開発経緯と、カルピスウォーター登場後も原液を販売し続ける理由を教えてください。

担当者「『カルピス』は創業者の三島海雲が、内モンゴルで出合った『酸乳』の健康への効果に感銘を受け、『日本でも乳酸菌を用いた食品を作り、人々の健康に貢献したい』という思いを抱いたことから誕生しました。脱脂乳を乳酸菌と酵母で発酵・熟成させ、カルシウムを添加したカルピスは滋養飲料として愛されるようになりました。海雲の(1)おいしいこと(2)滋養になること(3)安心感のあること(4)経済的であること、というカルピスの4つの本質価値を守るために希釈用の原液を販売し続けています」

Q.1919年の7月7日、「七夕の日」が発売日というのは、何か理由があるのでしょうか。

担当者「理由については資料が残っていませんが、カルピスの生みの親・三島海雲はアイデアマンであり、広告宣伝にたけていたことなどから、何らかのインパクトを狙ったのではないかと考えられています」

Q.発売当初のパッケージが「ミロのヴィーナス」だった理由は。

担当者「先述した通り、当時は健康に良い滋養飲料として販売していたことから、女性の健康美の象徴としてデザインしたのではないかと推測されます」

Q.キャッチフレーズの「初恋の味」誕生の由来を教えてください。

担当者「三島海雲の学生時代の後輩が『カルピスの甘くて酸っぱい、純粋な味わいは初恋の味である』と告げたことに由来しています。海雲は一度断ったようですが、『初恋という言葉に人々の夢と希望とあこがれがある』との言葉に共感し、キャッチフレーズに使うことにしたようです」

Q.かつて「鉄道駅売り用希釈カルピス」があったそうですが、薄めた状態で売ったのは駅売り用が初めてでしょうか。

担当者「薄めて売ったのが、駅売り用が初めてかは定かではありません。1930年ごろ販売していたと記録されています」

Q.カルピスソーダの発売が先行して、カルピスウォーターが遅かった理由は。

担当者「カルピスを炭酸で割ったストレート飲料は比較的、商品化が容易でした。しかし、カルピスは水で薄めてから時間がたつと、成分であるタンパク質が沈殿してしまい、品質を均一化、安定化することが難しかったため、技術的な問題で『カルピスウォーター』の発売は遅れました」

Q.カルピスの最適濃度は「カルピスウォーター」の濃度なのでしょうか。

担当者「5倍希釈といって、カルピス1に対して水を4入れて飲んでいただくことをお勧めしています」

Q.パッケージの裏には「4〜5倍希釈でお試しください」とありますが…。

担当者「お客さまのお好みに合わせてくださいという趣旨で『4〜5倍』と書いていますが、私どもとしてお勧めしているのは『5倍希釈』です。黄金比、とでもいうのでしょうか」

Q.ちなみに、濃度をうまく調整したらカルピスウォーターの味になるのでしょうか。

担当者「カルピスを水で割ってもカルピスウォーターの味にはなりません。原材料の一部が違うことなどで、同じ味にはならないのです」

Q.お客さんから「何倍が一番いい」といった声はありますか。

担当者「濃い味が好きだったり、逆に薄い味が好きだったりと、お客さまそれぞれに好みの味があるようです」

Q.現在、何種類、どれくらいの量が販売されているのでしょうか。

担当者「時期によって新商品が発売されたり、販売を休止したりしていますので一概にはいえませんが、容器・容量の違いも含めて約60商品を常時販売しています。2018年のカルピスブランド製品の出荷容量は約68万キロリットルとなっています」