「一番じゃなきゃ気がすまない」――天性の目立ちたがり!? 山本涼介の原点にある“悔しさ”に迫る。
“涼介”という名前そのままのクールな顔立ち、穏やかな口調と裏腹に、この若者、心の内はなかなか熱い! なんせ、「TVで同世代の俳優を見るだけで“なんでそこにいるのは俺じゃないんだ!”と悔しくなる」というほどの負けず嫌い。「悔しさこそが原動力」とうなずく。舞台への出演は、稽古、そして公演と、毎日が「悔しい」と「できない」の連続である。最新舞台『リトル・ヴォイス』は山本涼介に、どのような試練を与え、21歳にどのような景色を見せてくれるのか?

撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
ヘアメイク/小田昌弘(coo et fuu)



ユアン・マクレガーも演じた、ビリー役への挑戦に喜び!



――舞台『リトル・ヴォイス』はシャイで部屋に閉じこもりがちな少女リトル・ヴォイス(大原櫻子)が、魅力的な歌声で新たな世界を切り拓いていく物語です。1992年にロンドンで初演され、その後、映画化もされ話題を呼びました。最初に出演が決まったときの気持ちは?



最初、お話をいただいたときは、失礼ながら…この作品を知りませんでした。僕が生まれる前から上演されている名作で、映画では僕が演じるビリーを、あのユアン・マクレガーさんが演じていると知って、そんな作品に出演できることを本当に光栄に思いました。

――過去の舞台や映画版は、すでにご覧になったんですか?

映画はもういまの時点(※取材が行われたのは稽古開始前の2月下旬)で4回見てます!(笑) とくに、海外を舞台にした作品ということもあり、世界観をきちんと理解しないといけないと思いまして。

――本作に限らず、普段から原作やオリジナル版のある作品に出演されるときは、かなり読み込んだり、繰り返し見たりされるんですか?

原作があれば、読み込みます。より深く、作品のことを知りたいという思いもあるし、僕が観客の立場で、すごく好きな漫画や小説が映像化されるとなったとき、キャラクターが全然違ったり、浅かったら気になってしまうので、自分が演じるときは、できる限り原作に寄せたいという気持ちはありますね。



――物語についてどんな印象を持たれましたか?

難しい作品だなと思いました。脚本も何度も読み返してるんですが、先ほども言ったとおり、イギリスが舞台で、世界観も価値観も、日本とはかなり異なります。セリフひとつひとつに対して、「どんな気持ちで言ってるんだろう?」と考えてはいるんですが、初めは読み解いていくのに時間がかかりました。

――今回、山本さんが演じられるビリーは、リトル・ヴォイスの家に出入りする電話会社の従業員で、リトル・ヴォイスに恋する青年ですね。

これまで、僕が舞台や映像作品で演じてきた役とはタイプが全然違って、繊細なところのある青年で、言葉や行動でリトル・ヴォイスの背中を押してあげるという役どころです。新しい挑戦になりそうだなと楽しみです!

――いまの時点で楽しみにしているシーンはありますか?

ビリーはライティング(照明)の仕事を夢見ていて、それについて語るときは熱いんです。自分の好きなものについて話すときの目の輝きや、楽しそうな表情をどうやって表現しようかと、いまから楽しみにしています。

――ビリーと似ているところ、共通点などはありますか?

それがあまり似てないんです(苦笑)。僕は全然、繊細じゃないし、どちらかというと雑なタイプです(笑)。でも、かけ離れているからこそ演じやすいのかなと思います。

――物語の中心にいるリトル・ヴォイスとビリーのふたりがシャイでおとなしい性格ということで、表現が難しそうですね…。

そうなんですよ(笑)。舞台なので、大きく表現して伝えたいところなんですけど、どう表現すればいいのかな? と。ふたりが出会って、「リトル・ヴォイス、歌ってごらん。自分のために」と背中を押す。どうやってそこまでたどり着くのか? 大原さんとはまだ顔を合わせていないんですが、一緒に作り上げていくのが楽しみです。

――山本さんは、これまでいろんな取材やインタビューで、ご自身のことを「目立ちたがり屋」と言ってますね。リトル・ヴォイスのように、すごい才能を持ちながら、表舞台に立とうとしない気持ちは理解できますか?

たしかに僕は目立ちたがり屋です(笑)。小学生の頃から、応援団長とかやりたがってたし、リレーはアンカーじゃなきゃイヤだ! ってタイプ(笑)。ただ、「自分のためだけに歌いたい」というリトル・ヴォイスは、それはそれでカッコいいなと。芯のある、ひとつの生き方なんじゃないかなと思います。



わずかなニュアンスの違いで、劇場の空気感が変わる



――舞台の出演は昨秋の『サバイバーズ・ギルト&シェイム』以来で、その前が一昨年の『曇天に笑う』。ほぼ年に1本のペースで出演されていますね。作品のジャンルから演出家のタイプまで毎回、バラバラですが、どういう部分に舞台の面白さを感じていますか?

前作の舞台『サバイバーズ・ギルト&シェイム』は、主演でセリフも多かったということもあって、そこで、より強く感じたことがあるんです。毎日の公演で、ちょっとずつセリフの言い方やニュアンスを変えるというチャレンジをしてみたんですが、そうすると、見事にお客さんの反応が変わるんです。

――ちょっとした言い回しの違いが大きな変化に?

同じセリフなのに、ピクリとも笑わなかったり、逆にドッとわいたり。そういうわずかな変化で劇場の空気感を変えることができる。同じ脚本の芝居をしてるのに、毎回、生き物のように、お客さんを含めて劇場全体の空気が変わるというのが楽しいですね。

――前作のときは、百戦錬磨の共演陣のアドリブに苦しめられたともおっしゃっていましたが、自分から仕掛けることも?

いや、さすがにまだ自分からは仕掛けられなかったんですけど、片桐 仁さんを筆頭に、みなさん、いろんなアドリブを…(苦笑)。気持ち的には少しずつ、こちらも余裕が出てきて、セリフがすごく耳に入ってくるので、笑うのをずっと我慢してました。笑っちゃいけないシーンに限って、いろいろ仕掛けてくるので…(笑)。



――前作で初めて主演を務めたことで、今回、稽古場などでの立ち振る舞いという点でも変化が生まれるのでは?

どうなんでしょうね? 前回は主演らしいことは一切できず、年上のみなさんに必死でついていくだけだったので。ただ、今回は役柄的にも主人公を支え、背中を押すという立場ですし、何か変化はあると思います。いまの時点でそれが何なのか? わかりませんが、気持ち、現場でのたたずまいなど、どう変化するか楽しみです。

――山本さん自身は、リトル・ヴォイスのように歌や音楽に救われた経験、あのときに耳にした音楽が忘れられないといった経験はありますか?

小学生のときに所属していたサッカークラブの卒団式で、レミオロメンの『3月9日』をみんなで歌ったんです。それはいまでも心に残ってますね。

――卒業シーズンの定番ですね!

みんなで泣きながら歌いました(笑)。歌にはそんな強いエネルギーがあって、場所やシチュエーションによって、心に刺さるんだなって。僕は経験ないですが、失恋した友人が好きな歌を聴きながら号泣していたり(笑)。見えないエネルギーが詰まってるんだなと。

――今回、主演の大原さんはもちろん、歌声を披露されますが、山本さんは…。

歌わないです。最初に出演が決まったとき、「僕は歌うんですか?」と聞いて、「歌わないです」と言われてホッとしました(笑)。



――歌は得意ではないんですか?

好きですけど、どちらかと言うと不得意です。

――友達とカラオケに行ったりすることは…?

たまに…酔っぱらうと歌うんですけど、あまり歌いたくないんです。ひとりカラオケのほうが好きですね。

――ひとりカラオケはよく行くんですか?

よく行きますね。ストレス発散のために(笑)。選曲とか上手い下手を気にせず、好きなように好きな曲を歌えるじゃないですか。歌うのは好きなんです。

――ちなみに、どんな曲を歌われるんですか?

僕、BIGBANGが好きなので、延々とBIGBANGですね。あとはKREVAとか。ヒップホップ系が多いかな? で、店員さんが入ってきたらスッとマイクを置く(笑)。