【ディズニー/ピクサー】感情心理学者が『インサイド・ヘッド』を解説! 鑑賞前に知っておきたい心理学の基本3つ
現在公開中のディズニー/ピクサー映画『インサイド・ヘッド』。ご覧になりましたか?
【画像】ヨロコビだけじゃない…5つの感情がそれぞれ持つ“特別な役割”
この映画の舞台はずばり、11歳の少女ライリーの頭の中。
ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミの5人の感情たちが、ライリーの心と行動をコントロールする物語です。
荒唐無稽にも思えるこのストーリー、実は周到な心理学の理論に基づいているってご存知でしたか?
今回は、『インサイド・ヘッド』をこれから観る予定のあなたに、鑑賞前に知っておきたい「映画の見どころ&心理学のきほん3つ」をお教えします!
感情の専門家である樋口匡貴先生の解説を手がかりに、『インサイド・ヘッド』のポイントとそれにまつわる感情心理学の知識を押さえておきましょう!
1) 5つの感情は誰もが生まれたときから持っている
この映画に登場する感情は「喜び」「悲しみ」「嫌悪(ムカムカ)」「怒り」「恐怖(ビビリ)」の5種類。
心理学の世界ではこれに「驚き」を加えた6つの感情を「基本的感情」と呼ぶそうです。
「基本的感情」のおもしろい所は、誰もが生まれたときから抱く感情だという点。
「恥ずかしい」とか「誇らしい」というような感情は、自己を振り返る力が備わる3歳くらいにならないと育ってきません。
しかし、映画に登場する感情は誰もが生まれた時から、そして国や文化を越えて世界中のみんなが持っている感情なのだそうです。
つまり、『インサイド・ヘッド』を観れば、難しい心理学の論文を読まなくても、私たち人間の基本中の基本と言うべき感情が理解できるようになっちゃいます!
2) ネガティブな感情も大切。5つの感情すべてに重要な役割がある
この映画では、登場する5つの感情の役割が明確に描かれているのも見どころのひとつです。
一般的に、学校でも会社でも、「笑顔が大切」とか「暗いのはよくない」とか言われますよね。
ライリーの頭の中でも、ヨロコビがリーダーとなってライリーの幸せを守ろうと活躍します。
だけど、この映画のすごい所は、「喜び」以外の一般的に「ネガティブ」だと思われている感情にも光を当ててくれるところです。
5つの感情のそれぞれに役割があり、それぞれが重要であることは、心理学的な裏付けもあるそうです。
例えば、喜びはそれを表現することで人が集まってきてくれます。自分と社会とを結びつける役割があるのです。
また、ビビリは不安を感じることで、私たちを危険から守ってくれます。映画でも、幼いライリーがコードに足をひっかけないように誘導する役目を果たしていました。
さらに、イカリは相手を威嚇することで、またムカムカは体内に毒物や病原菌が入らないよう嫌悪を示すことで、自分の身を守ってくれるのです。
イカリやムカムカの役割は、ライリーが親に初めてピーマンを食べさせられるシーンによく表れています。
では、カナシミの役割とはなんなのでしょう?
カナシミにも、とてもとても重要な役割があるのです。
カナシミの持つ役割の秘密ついては、ぜひ映画館で確かめてみてくださいね。
3) キャラの行動や表情に注目! それぞれの役割に応じて表現されている
ガタガタ震えているビビリや、イカリの頭から出る炎など、それぞれのキャラクターが個性豊かに感情表現するのも『インサイド・ヘッド』の楽しいところです。
樋口先生によると、映画に登場する感情たちの表現方法は、心理学の研究とも一致するとのこと。
例えば、ヨロコビがよくジャンプしたり手をたたいたりするのは、喜びを共有するために、人を呼び集める行動なのだそうです。
一方、ビビリが「わ〜!!!」とよく叫ぶのは、周りに危険を知らせるため。
そしてカナシミは無気力な動きで神経の活動を抑え、喪失によるダメージを最小限に抑えようとしているのだそうです。
行動の特徴に加え、もっと細かい点までこだわりたい方は、ぜひキャラクター達の顔の表情にも注目してみてください。
人は恐怖を感じると、緊張から目を大きく見開くことが心理学的に立証されているそうです。確かにビビリはよく目を見開いていますね。
ムカムカは、目や口を閉じ気味にした表情で、毒素や病原菌が体内に入らないようにしています。
同じように、目が細くなるイカリの表情には、自分の攻撃準備が相手に伝わらないようにする目的があります。
そのためイカリは、ヨロコビやビビリに比べて、目を細めるシーンが多いようです。
心理学の研究を踏まえた、各キャラクターの細やかな動きや表情にも注目ですね。
いかがでしたか?
『インサイド・ヘッド』を楽しむポイントが、心理学の知識とともにお分かりいただけたでしょうか?
『インサイド・ヘッド』は誰もが持っている感情がテーマだからこそ、世代や性別を問わずみんなが楽しめる映画です!
この記事を参考に、映画館でじっくり感情の世界にひたってみてくださいね。
解説:樋口匡貴(感情心理学者、上智大学総合人間科学部心理学科准教授)
