その一瞬を追い求め、その一球にかける高校球児の夏がある。勝者は笑い、敗者は泣く。たとえ敗れても、その戦いに充実感を覚え、笑顔で球児の夏を終える敗者もいる。彼らが追いかける「一瞬」は夏風とともに過ぎていく。そんな高校野球には、悲喜こもごもの人間模様が映し出されるものだ。今夏の岩手大会決勝は、思いがけぬ大差での決着(花巻東12−2大船渡)となった。試合直後、敗れた大船渡が陣取る三塁側ベンチは涙であ