本田圭佑

写真拡大

 0−1の劣勢でも本田圭佑は冷静だった。60分、カウンターから香川真司のクロスを受けると、胸トラップからの流れるような動きで正確なクロスを送り、遠藤保仁の同点弾をアシストした。しかし試合後のミックスゾーンでは、記者の呼びかけに一切答えることなく、無言のまま通路を抜けて行った。

 一昨日のスポーツ紙の1面で、昨年末に出術したのど元の傷痕を大きく掲載されたせいかもしれない。そんな本田をチームメイトも気遣った。岡崎慎司が「体が重いとか、怠いとかいうより、(本田は)チームの信頼がある。もっともっとキレとプレースピードを上げて欲しい。絶対と言うことはないけど信頼している。ボールを預ければ必ず返って来る。皆もプレースピードのアップは要求している」と、本田が本調子ではないことを認めながらも、チームメイトが厳しい要求を出していることを明らかにした。

 去年9月のガーナ戦以来のゴールを決めた遠藤も、「まぁ、残りの期間でトップコンディションになると思う。もちろん(チームも)サポートしないといけないし、信頼もしている。今日も要所要所で良いプレーがあったので、これからコンディションを上げて行くと思う」と本田の復調を期待し、それを信じて疑わないことを彼なりの淡々とした口調で話していた。

 コスタリカ戦で決勝点を決めたのは柿谷曜一郎とのワンツーから抜け出した香川真司だし、その柿谷の3点目につながるパスを出したのも香川だった。新旧のセレッソ・コンビでのゴールはW杯へ向けて明るい材料ではある。しかし、香川が復調したからといって、彼に本田の代役は務まらない。トップ下というフィジカル・コンタクトの多いポジションで、パスを受けたら確実につないで日本の攻撃陣をリードする。本田がいるからこそ、香川も左サイドを主戦場に輝きを取り戻しつつあるのだ。

「1点目のアシストのように、本調子でなくても決定的な仕事のできる」(原博実・JFA技術委員長)。それが本田の真骨頂だけに、トップコンディションに戻ればブラジルでも活躍を期待できるだろう。

【取材・文/六川亨】

【関連記事】
ザック日本、コスタリカに逆転勝ちするも長友と岡崎のバックアップに不安