「映画祭を創る、女性たち。」vol.2 作品チーム ゲストホスピタリティ担当 浅田智穂さん

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東京国際映画祭「映画祭を創る、女性たち。」第2回は、映画祭の花形であるゲスト達の身の回りのお世話から、スケジュール管理まで、多岐にわたってフォローする、ゲストホスピタリティ担当の浅田さんからお話を伺いました。


――浅田さんの詳しい仕事内容を教えてください。

浅田:私は、作品チーム内で、「ゲストホスピタリティ」を担当しております。ゲストホスピタリティチームは、映画祭で上演される作品が決まった後、海外からの作品に関わるゲストを招待する担当です。

――ゲストを選ぶ際に基準はあるんですか?

浅田:出品交渉の段階で部門別に条件は軽く決まっているんです。コンペティションなら監督1名と役者1名です。ただ、ゲストによっては他の映画祭と重なっている場合もあるので、スケジュール調整は重要。また、ご家族と一緒という場合は、飛行機やホテルの手配だけでなく、会期中のパーティや公式イベントの予定も調整します。ゲストの皆さんは、日本語は話せない方がほとんど。初来日という方も少なくないので、アテンドが大切になってくるんです。だから、現場でゲストをフォローするインターンの学生に向けてのアテンド研修も行っています。

――今回作品数が多いと思うのですが、その全部の作品のゲストのアテンドをするのでしょうか?

浅田: 5人のメンバーで 100人近くのゲストの仕切りを行います。 私は主にコンペティション、WORLD CINEMA、natural TIFFを担当しています。

――大変な作業ですね。

浅田:正直楽ではないですね、やはり時差もあるので、南米やヨーロッパとの連絡は深夜になりますよ。日本に入国するためのビザが必要な事もあるので、 電話で詳細を確認したり、大変なんです(笑)。例えば一昨年に、ニカラグアから10歳の男の子が一人、役者として出演している映画があったんですが、許可がないとパスポートがまず手に入らないんですよね。彼の住む村からは「書類は彼の家に直接送れないから、彼の学校に送ってくれ」って言われたりもしました。でも、彼が自分の村を出て、国を出て、日本に来ることは東京国際映画祭がなければありえなかったことなので、彼が来日した時は、苦労も報われ涙が出てしまいました。そういうお手伝いをしてると思うと、すごく大変な作業なんですけど楽しいんです。

――ワガママなゲストもいるのではないでしょうか。

浅田:いますねー(笑)。必ず窓がある部屋にしてほしいとか(笑)でも、彼らは、映画祭に来ることイコール“日本”に来ることなんです。観光や食事など、日本での滞在自体を楽しみに来られるんです。だから、ワガママも許せる範囲ですよ。楽しみにしているっていう事がすごくわかるので。

――ある程度のワガママだったら、聞き入れているんですね。

浅田:そうですね、どうしても予算の都合でできないことは、できないってお断りしなきゃならないのですが、「ゲストホスピタリティチーム」というからには、“おもてなし”をしたいじゃないですか。できる限りのことは最大限聞いてあげたい。だからこそのホスピタリティチームなんです。

――これだけ大変な仕事だと、ストレスが溜まったりすると思うのですが。

浅田:溜まりますね(笑)。

――解消法はあるんですか?

浅田:私は旅行の為に仕事をしてるといっても過言じゃないくらい旅行好きなんです。長期で休みが取れる時は海外へ。短い期間の時は1泊2日の温泉で、ストレスを解放しています。それと、鎌倉も大好きなんです。最低月1回は、鎌倉へドライブして、好きなカフェに行きますね。

――本当に鎌倉がお好きなんですね。

浅田:大好きです。鎌倉に家買うために仕事してます。お金貯めてます。

――夢はもう鎌倉にお家?

浅田:鎌倉、湘南、海が見えて山があってっていうあの辺に家を建てるために、そして、旅行するために仕事してます、私は(笑)。

――そういう目的があったら、仕事も楽しいですよね。

浅田:そうですね。

――最後に、浅田さんのように、将来「東京国際映画祭」携わりたいと思う女性たちに、絶対に必要なスキルを教えてください。

浅田:英語がどうとか、映画の知識がなどは置いておいて、この仕事に関すると、どれだけ人を喜ばせたいか、おもてなしの心をどれだけ持っているかにつきます。例えば、会社でこれあったら絶対喜ぶと思うことがあったら、それを上司に交渉して取り入れる。海外ゲストに対してだけではなく、どれだけ身近な人に楽しんでもらえるかっていうのを常に考えていますね。

――常に誰かに対してサービスというか、こうしたら嬉しいんじゃないかなっていうのを?

浅田:ええ。だから「おいしいお店探しているんだけど、知ってる?」って聞かれたときに、答えられないときは辛いんです。仕事そっちのけで、そればかり調べてたりとか。

――リサーチ能力も必要ですね。

浅田:リサーチ能力はすごく大切ですね。私のリサーチ能力はすごいですよ(笑)誰かが、「こういうのわかんないかなー」と言っているのを聞くと、私がすぐに調べ始めてしまうのを上司は知っているんです。だから上司がわざわざ「調べなくていいからね」って。

――このお仕事をしていて、一番喜びに感じることはなんですか?

浅田:ゲストが帰られるときに「ありがとう、楽しかった。」って言ってもらえる時ですね。

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「第23回東京国際映画祭」浅田さんのオススメ作品
コンペティションWOLRD CINEMA
「素数たちの孤独」
過去に精神的なトラウマを抱え、自分の殻に閉じこもる少年と少女の長年に渡る関係を描き、イタリアで爆発的なベストセラーとなった原作を、新鋭監督が独特の世界観を構築して完璧に映画化。ヴェネチア映画祭コンペ部門参加作品。

浅田さんのおすすめコメント:誰にでも共感できる部分が必ずある作品です。恋をしたり、不安になったり、切なくなったり。家族や恋愛、友達との関係などの描かれ方に、自分と重ねて考えられるシーンがあると思います。そして、自分自身、自分の抱える問題とどう向き合うかということが、とても大きなテーマになっています。映像の美しさにプラスして、音楽の使い方がとても大胆で、監督の独特の世界に引き込んでくれます。素晴らしい作品ですので、ぜひ楽しんでいただければと思います。