液状化ハザードマップ、作成した市区町村は3割未満…「県が作ったから作っていない」自治体多数
地震による液状化の危険度を示すハザードマップについて、全国の市区町村の作成率が26・7%と低迷している。
地震防災対策特別措置法の改正で、作成が努力義務となってから20年経過したが作業は進んでいない。液状化は建物倒壊や道路陥没を生じさせ、避難や救助の妨げにもなるため、専門家は「早く対応して地盤改良などの対策につなげるべきだ」と指摘する。
液状化は、埋め立て地のほか、内陸部の大河川沿いもリスクがあり、全国で発生の恐れがある。2011年の東日本大震災では、千葉県浦安市の埋め立て地や、同県香取市など内陸の利根川流域で深刻な住宅被害を招いた。24年の能登半島地震でも海沿いの石川県内灘町や、震源から150キロ離れた新潟市の信濃川流域で生じた。南海トラフ地震が起きれば、液状化によって、東日本大震災の被害を上回る約11万棟が全壊すると国は試算している。
国は地震防災対策特別措置法で、避難場所などを盛り込んだマップを作るよう市区町村に求めている。しかし、全国1741市区町村を対象に毎年実施している調査では、作成・公表済みは今年2月時点で464市区町村と3割未満。取り組みに温度差がある。
東京都港区は、約50メートル四方に区切って危険度を色分けした詳細なマップを公表しているが、昨年12月の震度6強の地震で液状化が疑われる被害が出た青森県八戸市は未作成。「人手も時間も足りなかった」と説明する。「県が作ったため市区町村単位では作っていない」という自治体も多い。
作成が進まない背景として、専門家は液状化対策に対する行政の優先度の低さを指摘する。国立研究開発法人・防災科学技術研究所の先名(せんな)重樹主任専門研究員(地盤地震工学)は「人が亡くなる直接的な原因になりにくく、洪水や土砂災害より発生頻度が低いので軽視されがちだ」と話す。
ただ、東日本大震災で津波に見舞われ、306人(関連死含む)が犠牲になった宮城県亘理町では、液状化による道路陥没で車での避難が遅れた。
国土交通省は「予算や他の業務との優先度の問題もあるが、現状は十分ではない。住民がリスクに備えられるよう作成を進めてほしい」とする。先名主任専門研究員も「マップ作りはあくまでスタートライン。地盤改良などの対策を行政と住民で考えることが重要だ」と訴えている。
