今やスマホ1つで、誰もが“発信者”になれる時代。その中でも、一攫千金や自由な働き方の象徴として、華やかなイメージもあるYouTube。一方で、チャンネルの飽和や厳格化するポリシー、収益化の停止といった問題も浮上しており、クリエイターがどのように生き残っていくかが課題となっている。

【映像】登録者数96万人超の夫婦YouTuber『くぼたび』の“撮影裏”(実際の映像)

 『ABEMA Prime』では、登録者数96万人超、総SNSフォロワー数300万人以上の夫婦YouTuber『くぼたび』の2人に話を聞いた。

■ショート動画投稿の翌月に予約が1億5000万円分増加

 旅しながら生きる夫婦YouTuber『くぼたび』のゆうき氏とまなみ氏は、元々は旅好きの会社員だった。プライベートでInstagramやTikTokへショート動画の投稿を始めたところ、多くの反響を呼ぶようになり、その流れでYouTubeチャンネルを開設。現在はホームページ制作などの本業から完全にシフトし、SNS発信を主軸に活動している。

 編集技術は独学で、まなみ氏は「初心者に優しい編集の本を買って、片手に開きながら『もうわからないよ』と叫びながら勉強した」と振り返る。現在は、ショート動画はまなみ氏が主に編集し、ロング動画はチーム体制で制作しているという。

 合計の登録者数が20万人から30万人ほどになった頃から、動画制作の依頼や企業・行政のSNS運用の裏方といった仕事が舞い込むようになった。その影響力は凄まじく、ゆうき氏は「動画を出して翌月に何百万円、何千万円分の予約が入ったという反響は頻繁にいただいている。一番すごかった時は、ショート動画を投稿した翌月に1億5000万円分の予約がホテルに入った」と明かす。

 さらに、まなみ氏も「ホテルの担当者の方が『次の日から電話が鳴り止まなくて、電話機が壊れたかと思った』と仰っていた」との手応えを語った。

 宿選びの基準は「自分たちが一番楽しめるか、行きたいと思えるか」という視点であり、これまでに訪れたホテルは1000箇所を超えている。動画のネタ切れによる枯渇感はないものの、お互いに動画に関するこだわりが強いため、3日に1回は喧嘩になるという。ゆうき氏が「次のスケジュールのために切り上げたい」と考えても、クリエイター気質のまなみ氏は「晴れてきたからまた1から全部撮りに行きたい」と妥協を許さない。まなみ氏は「良い動画を作りたいという思いが大きい。時間を削るなら命を削る」と、凄まじい熱量をのぞかせた。

■「似たり寄ったりな量産型」は淘汰される時代へ

 一方で、YouTube全体を見渡すと、近年は収益化を止められるクリエイターが相次ぎ、声を上げる事態も起きている。この収益化停止の背景について、 Google公認プロダクトエキスパートの竹中文人氏は「大きな影響があったのが、AI生成動画を使用したチャンネルや、フリー素材を中心としたチャンネルの停止だ。AIで誰でも簡単に動画が作成できるようになったが、自動で作られた動画やフリー素材と合成音声を組み合わせただけの、似たり寄ったりな量産型の動画が溢れるようになった。YouTubeは視聴者の満足度を優先するため、今まで以上に厳しい審査を行って、こうした低品質な動画の収益化を厳しく停止していると考えられる」と解説。

 番組がGoogleの広報担当者に取材したところ、「ここ数年で違反措置が急激に強化されたという事実はない。時代やトレンドに合わせてポリシーを常に更新しており、それに基づいて従来通りポリシー違反を確認した動画やチャンネルなどに対して措置を講じている」との回答が得られた。

 これからのYouTuberが気をつけるべき点について、竹中氏は、「社会みんなのインフラになったからこそ、広告を出してくれる企業を守るためにも、その動画が本当に安全で危険ではないクリーンな内容か。どこの国や地域で見られても問題ないかを、クリエイター自身も気にしなきゃいけない」と指摘した。

■万人に受けるよりも「狭くても愛される世界」を

 ゆうき氏は、今後の戦略について、「最近は、自分の『好き』を貫く動画の方が伸びると思っている。自分たちであれば、ビュッフェと海鮮とお酒が好きな視聴者さんが集まっている。違うジャンルに手を出してしまうと、せっかく集まってくれた視聴者さんも離れてしまう」と語る。まなみ氏も「万人受けを狙うよりも、特定の人に深く刺さるような動画を作ることを意識している」と続けた。

 この姿勢に対して、文筆家の佐々木俊尚氏は、「バズりや怒りといった感情を煽るのではなく、もっと小さなコミュニティで、そこにちゃんと刺さるものを作っていく方向に向かっている。お二人が『好きを貫くのが大事』と言ったのはまさにその方向だ。みんなと同じことをやるのではなく、狭くてもいいからその世界の中でみんなに愛されるものを作っていく。そこにある種の人間としての信頼感があるかどうかが、今後のYouTubeに限らずインターネットすべてにおいて凄まじく大事なポイントになる」との見方を示した。

 タレントのあおちゃんぺ氏も「お二人のように自分たちをしっかり外に出す状態で数字を取っているということは、情報だけでなくお二人自身に魅力があってファンがついていること。また、最近はショート動画しか再生されないクリエイターが多い中で、1時間の長尺動画をしっかり見せられているのは本当に凄いことだ」と称賛した。

 今後の展望として、ゆうき氏は「これからも頑張って自分たちの『好き』を続けるYouTubeを続けていきたい」。まなみ氏は「47都道府県すべてを制覇するというのをモットーにしているので、日本全国の知られていない素敵な場所の魅力を、もっともっと伝えていけたらいいなと思う」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)