RKK

写真拡大

梅雨を迎えて、外は雨。洗濯物の「部屋干し」が増えてきました。

【画像を見る】「部屋干しの正解」をいろいろやってみた

やはり気になるのが、生乾き臭です。

やっと乾いたと思っても、袖を通した瞬間に鼻を貫くのは、「えっ?これ私の服」と疑いたくなる嫌なニオイ…。

洗っても消えず、お気に入りの服が臭くなり気分まで湿ってしまいます。

こんなサイクルから抜け出すため、生乾き臭とは何なのか、部屋干しでもできる対策を一気に調べてきました。

1.そもそも「生乾き臭」って何?
2.“驚異のバリア” で洋服に居座り続ける
3.戦いは、服を脱いだ瞬間から始まっている
4.洗剤の「むやみな増量」は逆効果?
5.理想は5時間以内!“干し方テクニック”
6.“輪っか干し” に “ずらし干し”
7.「生乾き臭」の唯一の弱点
8.最強リセットはダブルアプローチ
9.お気に入りの服を守るために

そもそも「生乾き臭」って何?

まずは敵を知ることからです。

嫌なニオイの正体を突き止めた、生乾き臭研究の第一人者、愛知学院大学の河村好章教授に話を聞きました。

愛知学院大学 河村好章教授「生乾き臭は、モラクセラ・オスロエンシス(以下:モラクセラ菌)という菌の代謝物のニオイです」

モラクセラ菌は台所や靴箱の上、そして口の中など日常のあらゆるところに存在する常在菌。体温に近い30℃から37℃が一番発育が活発で、これから梅雨の時期は湿度も高くなるため、モラクセラ菌にとっては天国のような環境になり、増殖しやすくなるそう。

日常のあらゆるところにいる菌ですが、洋服や雑巾で特にニオイを感じるのには理由があります。

色々なものをエサにするモラクセラ菌が、皮脂などの油汚れをエサに代謝したときに「4-メチル-3-ヘキセン酸」という物質を放出します。これこそが、あの嫌な生乾き臭の正体なのです。

さらに厄介なことに、この菌は、他の菌と違って、洗っても落ちにくい『しぶとい菌』だと言われています。

 “驚異のバリア” で洋服に居座り続ける

それは、モラクセラ菌が分泌するものが関係しています。

河村教授「モラクセラ菌は布の上に乗っかっているだけではなく、繭(まゆ)のようにネバネバしたものを分泌して自らを覆います。紫外線や乾燥から身を守ったり、布から離れないようにするために利用していると考えています」

モラクセラ菌が分泌する粘着質の自己防衛物質は、一般的に「バイオフィルム」と呼ばれています。

洗っても他の菌より落ちにくく、古着や何度も使ったバスタオルが臭くなりやすいのは、この驚異のバリアで菌が長期間居座り続けるからだそう。

生乾き臭がしぶとい菌のせいだとわかったところで、防ぐ方法はあるのでしょうか。

戦いは、服を脱いだ瞬間から始まっている

生乾き臭予防は、洗濯前から始まります。

家事代行ベアーズ 末次千裕さん「汗や水分を含んだ衣類を丸めたまま放置すると、生乾き臭や黄ばみの原因になります。すぐに洗えない時はハンガーにかけるなどして一度、湿気を逃がすのがおすすめです」
※末次さんは、家事代行の最高峰プラン「ロイヤルクオリティプラン」を担うTOP1%未満の精鋭スタッフ。

濡れたままカゴに放り込んでいた筆者は大反省。洗濯前に一度乾かすことで、菌の好む環境を作らないことが重要です。

また、
・洗濯機を「洗濯かご代わり」にしない
・通気性の良いかごを使用
・洗濯槽の中は常に空に、蓋は開けたまま
にするのが理想です。

洗剤の「むやみな増量」は逆効果?

洗濯機に入れる衣類は、容量の7~8割におさえて、衣類が十分に動く余白を作ることが大切だそう。

末次さん「縦型なら手を入れて余裕がある程度、ドラム式であれば窓の上部が見える程度が適量です。落ちにくい皮脂汚れの場合は、40℃から50℃程度のぬるま湯を使用したり、すすぎの回数を1回から2回にするのがおすすめです」

洗濯物が汚れているからと、むやみに洗剤の量を増やすのはかえって逆効果。洗剤が残ると、ニオイやごわつきの原因になるため、何事も適量が大切です。

理想は5時間以内!“干し方テクニック”

そして重要なのが「干し方」です。

末次さん「エアコンの風が直接当たる位置や、換気扇に向かって空気が流れる通り道に干すのがおすすめです。サーキュレーターを併用する場合は、風を下から当てると、洋服が広がりやすくなりより早く乾かすことができます」

風の通り道を意識して、洗濯物同士の間隔は5cm以上空けると良いとのこと。

多くの洗濯物を一気に干せる角ハンガーを使う場合、外側に長い洋服、内側に短い洋服を干す「アーチ干し」にすると空気が通りやすくなるそう。

私は考えたこともなく、ただ無心で干していましたが、大切なのは「余白」でした。

“輪っか干し” に “ずらし干し”

また、タオル類を干す際は、あえて端をそろえずに10~15cmほどずらして重なる面を減らすと乾きやすいということです。

末次さん「Tシャツなどの衣類は裾側を上にしてピンチで止めると、空気が入りやすくなって乾燥効率が高まります。4点ほど留めて輪っかを作るとより効果的です」

ワンルームなどで干す場所が限られている場合は、100円ショップの鴨居フックなどを活用するのも手です。

これらの工夫で、菌が本格的に増殖してニオイを発する前の「5時間以内」に乾かし切ることが理想だといいます。

とはいっても、すでにニオイが染みついている衣類は、普通に洗濯をしても、あの悪臭が襲ってきます。一体どう対処すればよいのでしょうか。

「生乾き臭」の唯一の弱点

実は、驚異のバリアで居座るモラクセラ菌もタジタジの弱点があります。それは「熱」です。

しかし、家庭で熱だけで菌を退治しようとすると、大きなジレンマに直面します。

河村教授「モラクセラ菌を完全に死滅させるには80℃から100℃近くまで温度を上げる必要があります。60℃のお湯につけると菌の数は1000分の1や1万分の1に減るので臭いは一旦消えますが、生き残った菌がいるため使い続けるとまた復活して臭くなります」

熱湯を使えば菌は死滅しますが、それではほとんどの衣類が傷んでしまいます。

そこで末次さんが推奨するのが、熱だけに頼らない「お湯と成分のダブルアプローチ」です。

最強リセットはダブルアプローチ

末次さん「洗濯表示を確認した上で、60℃程度のお湯と酸素系漂白剤を使った つけ置きをするのがおすすめです」

菌を完全にゼロにすることは難しくても、お湯と漂白剤で、菌のエサとなる皮脂汚れやニオイの元を強力に分解することができます。

洗面器などに60℃程度のお湯を張り、酸素系漂白剤を入れて、ニオイの気になる衣類を20分から30分程度つけ置きをします。

その後、ゴム手袋などを着用して一度軽く絞ってから洗濯機に入れて通常通り洗うことで、衣類へのダメージを抑えながら、残ったしぶといニオイをしっかりとリセットできるのです。

お気に入りの服を大切にするために

末次さん「洗濯をする上で、一番大切にしていることは、『洗濯表示を見ること』です。今回お伝えした対策も、生地が縮んだりしないよう、表示をしっかり把握した上で行うのが一番安心かと思います」

憂鬱な部屋干しですが、菌の弱点とプロの干し方さえ知っていれば、もう怖くありません。

<まとめ>服を守る3か条
・【洗濯前】湿気を溜めない
濡れたまま放置せず、洗濯機には7~8割の量で
・【干し方】5時間以内に乾かす
アーチ干しや輪っか干しで「風の通り道」を作る
・【リセット】60℃のお湯×酸素系漂白剤
※必ず事前に洗濯表示を確認する

今年こそ、あの不快な生乾き臭のループから一緒に抜け出しましょう!